相続税の実効税率が示す、都心不動産の実質的な税負担
相続税の実効税率が示す、都心不動産の実質的な税負担
Koukyuu Realty
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2022年12月に国税庁が発表した「相続税の申告実績の概要」によれば、申告対象となった遺産の平均額は1億2,014万円、対する相続税額の平均は1,439万円だった。これを単純除算すると、実効税率は11.98%となる。表面税率の最高55%とは大きく乖離するこの数字が、東京の富裕層にとって不動産継承の実質的な税負担を示している。

実効税率の計算式と国税庁の4ステップ

実効税率は「相続税額÷課税価格の合計」で算出される実質的な負担率である。国税庁が定める相続税計算は、以下の4ステップで進める。

ステップ1:課税価格の計算

各相続人の取得財産に、相続開始前7年以内の贈与財産を加算し、債務等を控除する。2024年1月1日以降の贈与については、相続財産への加算期間が3年から7年へ段階的に延長された。ただし、3年超から7年以内の贈与については、合計額から100万円を差し引いた金額のみを加算する優遇措置が設けられている。

ステップ2:課税遺産総額の算出

課税価格の合計から基礎控除を差し引く。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人数」で計算される。法定相続人が配偶者と子2人の3人であれば、基礎控除は4,800万円となる。

ステップ3:法定相続分での仮計算

課税遺産総額を法定相続分で按分し、速算表を適用して税額を算出する。この段階では、実際の相続割合ではなく法律上の相続分を用いる。

ステップ4:実際の取得割合で按分

算出された相続税総額を、実際の取得割合で配分し、配偶者控除や未成年者控除などの税額控除を適用する。最終的な税額を課税価格の合計で除算した率が、実効税率となる。

限界税率との違いと使い分け

相続税の文脈で頻出する「限界税率」と「実効税率」は、目的が異なる。

限界税率は、速算表に基づく表面税率(10%~55%の8段階)を指す。課税遺産総額が6億円を超える部分には55%の税率が適用される。この限界税率は、生前贈与の節税効果を測定する際に用いる。 実効税率は、実際の税額を遺産総額で割った率である。相続税の実質的な負担感を把握し、相続人間での負担配分を検討する際に用いる。

例えば、課税遺産総額が5億円で法定相続人が配偶者と子1人の2人の場合、限界税率は40%に達する。しかし、配偶者控除の適用後、子が実際に負担する相続税額を遺産総額で割ると、実効税率は15%前後に収まる。この乖離が、節税戦略の設計において重要な意味を持つ。

2026年実効税率早見表と具体的なシミュレーション

以下は、配偶者が法定相続分(1/2)を取得し、残りを子等が均等に相続する前提での実効税率早見表である。

正味遺産額子1人子2人子3人
1億円3.9%3.2%2.6%
2億円8.4%6.8%5.9%
3億円11.4%9.5%8.5%
5億円15.2%13.1%12.1%

具体的な数値で確認する。正味遺産額2億円、法定相続人が配偶者と子1人の場合、課税遺産総額は1億1,200万円(基礎控除4,800万円控除後)となる。法定相続分で按分し速算表を適用すると、相続税総額は1,760万円。配偶者が法定相続分を取得する場合、配偶者控除により納税額は0円となる。子が残り全てを取得すると、子の納税額は1,760万円。これを遺産総額2億円で除算すると、実効税率は8.8%となる。

相続税の基礎控除額が4,200万円から始まる理由については、別記事で詳しく解説している。

7年持ち戻しルールと贈与加算の留意点

2024年1月1日以降に開始された相続について、生前贈与の相続財産への加算期間は7年となった。これは、短期間での大量贈与による節税を抑制するための措置である。

ただし、3年超から7年以内の贈与については、合計額から100万円を差し引いた金額のみを加算する。例えば、相続開始6年前に1,000万円を贈与した場合、加算されるのは900万円となる。

このルールは、不動産の生前贈与タイミングに直結する。路線価や公示地価の上昇局面であれば、早期の贈与が実効税率の低減につながる可能性がある。一方、相続開始が近い場合は、7年ルールによる加算を考慮した上で、贈与と相続のトータル税負担を比較する必要がある。

配偶者控除で税額ゼロにするなら、小規模宅地は誰に残すかについても、併せて検討すべきポイントである。

都心不動産と実効税率の乖離構造

港区・渋谷区・千代田区の高額不動産を保有する層にとって、実効税率の低さは資産継承の構造上、重要な意味を持つ。

相続税の課税価格は、原則として時価に基づく。しかし、不動産については相続税評価額が用いられ、これは実勢価格と比較して2~3割低い場合が一般的だ。例えば、時価5億円のマンションが、相続税評価額で3億5,000万円と評価されれば、課税遺産総額は実質的に圧縮される。

この評価額の乖離に、実効税率の低さが重なる。表面税率55%が課されることは少なく、多くのケースで実効税率は10%~15%程度に収まる。結果として、都心の優良不動産は、相続税の観点からも資産保全に適したツールとして機能している。

ただし、これはあくまで現行制度下の話である。相続税評価額の見直しや、実効税率の引き上げ議論は、税制改正の文脈で常に存在する。2026年時点では、相続税の基礎控除や税率構造に大幅な変更は見られないが、中長期的な資産設計では、制度変更のリスクを織り込んだシミュレーションが求められる。

Koukyuu が対応する物件は、相続税評価額と実勢価格の乖離が大きいエリアに集中する。麻布・広尾・白金の優良物件について、実効税率を含めたトータルシミュレーションの相談を受け付けている。

Koukyuu は麻布・広尾・白金をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)よりお問い合わせください。

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