配偶者控除で税額ゼロにするなら、小規模宅地は誰に残すか
配偶者控除で税額ゼロにするなら、小規模宅地は誰に残すか
Koukyuu Realty
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2026年5月時点で、東京の都心3区に自宅を持つ資産家の相続税申告書には、一見矛盾した記載が増えている。配偶者控除の適用で一次相続税がゼロになるケースでも、小規模宅地等の特例を「配偶者ではなく子に適用」する配分が選ばれている。これは制度の重複適用を避け、二次相続まで含めた通算税額を最小化するための戦略的設計である。

配偶者控除の構造と限界

相続税法第19条の4に規定する配偶者控除は、配偶者が取得する財産について「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額まで相続税が非課税となる制度だ。適用には相続税申告書の提出が必須で、申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割が確定していることが原則となる。

この制度の限界は、あくまで「一次相続」での税額軽減に留まる点にある。配偶者が全財産を相続し、配偶者控除で税額をゼロにした場合、二次相続(配偶者の死亡時)では以下の問題が生じる。

  • 基礎控除が減少:法定相続人が配偶者1人から子へと減るため、3,000万円+600万円×人数の計算式で控除額が縮小
  • 配偶者控除の消失:二次相続では被相続人に配偶者が存在しないため、同制度は適用不可
  • 財産の増大:一次相続で配偶者に集約した資産が、そのまま二次相続の課税財産となる
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小規模宅地等の特例の残された可能性

相続税法第69条の4の小規模宅地等の特例は、特定居住用宅地(自宅)を相続する場合、最大330㎡まで評価額を80%減額できる。2026年時点でこの制度の重要な特徴は、配偶者が「同居の有無にかかわらず無条件で適用可能」であることだ。

しかし、配偶者控除で税額ゼロになる場合、小規模宅地の特例を配偶者に適用するのは明らかに非効率である。評価額8,000万円の土地が特例適用で1,600万円に圧縮されても、配偶者控除の枠内に収まるなら税額への影響はゼロだ。逆に、この特例を子に適用すれば、子がその土地を相続した際の税額が実質的に削減される。

より重要なのは、小規模宅地特例が「数次相続で繰り返し適用可能」である点だ。配偶者と子が共有で自宅敷地を取得した場合、一次相続で双方が特例を適用でき、二次相続時にも子が残りの持分について再度特例を適用できる。この「共有取得」による戦略的配分が、2026年の税務実務で注目を集めている。

具体例:麻布の自宅を巡る配分比較

以下のケースを想定する。土地評価額3億円(330㎡)、建物5,000万円、預金等2億円。相続人は配偶者と子2人の3名である。

配分パターン一次相続税額二次相続税額通算税額
①配偶者が全財産取得(配偶者控除+小規模宅地フル適用)0円約4,200万円約4,200万円
②法定相続分で分割(小規模宅地を子と共有配分)約150万円約1,800万円約1,950万円

パターン①では、配偶者控除により一次相続税はゼロになる。しかし二次相続で基礎控除が4,800万円から4,200万円に減少し、配偶者控除が使えないため税負担が増大する。対してパターン②では、一次相続で小規模宅地の枠を子にも配分し、二次相続で子が再度特例を適用できる余地を残すことで、通算税額を約2,250万円圧縮できる。

この計算は、土地評価額が高額になるほど差が拡大する。土地評価額5億円のケースでは、通算税額の差は3,500万円を超える。

配偶者居住権との併用検討

2020年の民法改正で創設された配偶者居住権は、相続税対策と居住安定の両立を図る制度だ。配偶者が自宅に無償で住み続ける権利を設定することで、所有権の継承と分離した設計が可能になる。

配偶者居住権を設定した場合、相続税評価額は所有権と居住権に分割され、居住権部分は「将来の使用収益の現価」として評価される。これにより、子が取得する所有権の評価額が抑えられ、小規模宅地特例の効果を相対的に高められる。

ただし、配偶者居住権の設定には登記が必要であり、設定後は居住権者の同意なしに建物の売却・賃貸ができなくなる。子世代の資産運用の自由度を制限するため、設定の是非は個別の家族状況に応じて判断すべきだ。

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2026年の申告実務と注意点

現時点(2026年5月)で、配偶者控除・小規模宅地等の特例に関する大きな法改正は確認されていない。ただし、以下の実務ポイントに留意が必要だ。

申告期限後3年以内分割特例

遺産分割が申告期限内に確定しない場合、期限内に「分割見込書」を提出し、3年以内に分割が完了すれば、更正請求により配偶者控除の適用が可能となる。この特例の活用により、税制上のメリットを損なわずに遺産分割の時間を稼げる。

暦年贈与との組み合わせ

高齢配偶者(80歳以上)がいる場合、配偶者控除と小規模宅地特例の組み合わせに加え、生前贈与の検討が有効だ。暦年贈与(年110万円)や相続時精算課税制度を活用し、二次相続までの期間に財産を早期移転することで、相続税の基礎控除を最大限活用できる。

特定事業用宅地との使い分け

自宅以外に事業用不動産を持つ場合、特定事業用宅地(400㎡・80%減)や貸付事業用宅地(200㎡・50%減)との優先順位を検討する必要がある。評価減率と面積制限を総合的に勘案し、通算税額を最小化する配分を設計する。

高額不動産を持つ世帯の設計指針

資産構成推奨アプローチ留意点
高額自宅(土地3億円超)+金融資産小規模宅地を子に配分、配偶者は配偶者控除のみ活用330㎡制限、配偶者の居住継続計画
複数不動産+事業用資産特定事業用宅地と特定居住用宅地の使い分け貸付事業用との優先順位
高齢配偶者(80歳以上)生前贈与と組み合わせ二次相続までの期間・財産増加リスク

港区・麻布・広尾・白金の高級住宅地では、土地単価が1㎡当たり150万円を超えるケースも珍しくない。このような高額物件を持つ世帯において、配偶者控除と小規模宅地特例の「どちらか一方」を選ぶのではなく、「誰にどちらを適用するか」を設計することが、通算税額に数千万円の差を生む。

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Koukyuu は麻布・広尾・白金をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)はこちらから。

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