不動産の減価償却で節税できる仕組みと2026年以降の戦略
不動産の減価償却で節税できる仕組みと2026年以降の戦略
Koukyuu Realty
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Koukyuu 宅地建物取引士 記事監修アドバイザー

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港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

21億円で取得した賃貸マンションが相続時の評価額4.2億円に圧縮された事例を、国税庁は令和8年度税制改正大綱の中で問題事例として明示した。2025年12月19日に公表されたこの大綱は、不動産投資を活用した相続税対策の前提条件を根本から書き換える内容を含む。2027年1月1日の施行を前に、減価償却による節税効果の構造と、改正後に残る手法・封じられる手法を解説する。

減価償却はなぜ節税になるのか

不動産投資における節税の核心は、現金支出を伴わない経費を合法的に計上できる点にある。建物を取得した年に全額を経費化するのではなく、法定耐用年数にわたって分割計上する。この仕組みが減価償却であり、帳簿上の赤字を作り出すことで課税所得を圧縮し、所得税・住民税の税金負担を軽減する。

具体的な計算方法を示す。RC造マンション(法定耐用年数47年)を建物価格3億円で取得した場合、定額法による年間減価償却費は次の通りだ。

> 3億円 ÷ 47年 = 約638万円/年

年間638万円を経費として計上できる。他の不動産所得や給与所得と損益通算すれば、所得税率45%・住民税率10%の合計55%が適用される高額所得者なら、年間約351万円の税金負担を軽減できる計算になる。土地は減価償却の対象外であるため、取得価格を土地と建物に適切に按分することが節税効果の大きさを左右する。

建物附属設備(電気設備・給排水設備等)の法定耐用年数は15年と短く、躯体より早期に経費化できる。設備費を建物本体と分けて計上する「区分経理」は、初期の節税効果を高める会計処理として実務上広く活用されている。重量鉄骨造の法定耐用年数は34年、木造は22年。RC造と比較して償却期間が短い分、年間の減価償却費は大きくなるが、建物の耐久性・賃料水準・流動性との兼ね合いで物件選択を行うべきであり、減価償却年数だけで構造を選ぶ判断は実務上は成立しない。

不動産を償却すると節税効果はどのくらいか

減価償却資産である建物を保有することで、実際にどの程度の税金が軽減されるかを所得水準別に整理する。

年収5,000万円の経営者が建物価格3億円のRC造マンションを取得した場合、年間638万円の減価償却費が発生する。税率55%(所得税45%+住民税10%)を適用すると、減価償却費だけで年間約351万円の税金軽減効果が生じる。47年の法定耐用年数全体では累計約1億6,500万円の税金軽減となる計算だ。

年収2,000万円の会社員(税率50%前後)が建物価格1億円の木造アパート(法定耐用年数22年)を取得した場合、年間減価償却費は約455万円、税金軽減額は年間約227万円となる。木造は償却期間が短い分、初期の節税効果が集中する。

一方、減価償却が終了した後は経費計上がゼロになるため、不動産所得がそのまま課税対象となる。この「デプレシエーション・クリフ」を見越した出口戦略の設計が長期保有物件では不可欠だ。

損益通算と給与所得圧縮の仕組み

不動産所得が赤字になった場合、その赤字を他の所得(給与所得・事業所得等)と合算して課税所得を引き下げられる。これが損益通算であり、高額所得者ほど節税効果が大きくなる理由だ。

年収5,000万円の経営者を例に取る。不動産所得の赤字が年間800万円(減価償却費600万円+その他経費200万円)生じた場合、課税所得は5,000万円から4,200万円に圧縮される。所得税の限界税率45%・住民税10%の合計55%で計算すると、税金の軽減額は年間440万円に達する。

一方、土地取得に要した借入金の利息は、不動産所得の計算上は経費として認められない。建物部分に対応する利息のみが経費算入の対象となる。また、不動産所得の損失のうち土地取得に係る借入金利子相当額は損益通算の対象から除外される(所得税法第69条第2項)。この制限規定を見落としたまま節税シミュレーションを組むと、実際の税金軽減額が試算を大幅に下回る事態が生じる。

令和8年度税制改正が変える節税の前提条件

2025年12月19日公表の令和8年度税制改正大綱は、相続税対策としての不動産活用に二つの重大な制限を加えた。2027年1月1日施行予定の内容を正確に把握しておく必要がある。

貸付用不動産の評価見直し(5年ルール)

相続・贈与の発生前5年以内に取得した貸付用不動産(土地・建物)は、従来の路線価・固定資産税評価額による評価が適用されなくなる。改正後の評価額は取得価額の約80%となる。5年超保有の物件については従来通り路線価等での評価が継続するため、すでに長期保有している賃貸不動産の評価上の優位性は維持される。土地を5年超保有し、建物のみ5年以内に新築した場合は、建物部分のみが改正対象となり、土地は従来評価が継続する。

不動産小口化商品への時価評価適用

不動産特定共同事業契約や信託受益権型の不動産小口化商品については、取得時期を問わず通常の取引価額(時価)で評価される。国税庁が問題視した「3,000万円の小口化商品が評価額480万円」という事例を封じる措置であり、この商品類型を相続対策の中心に据えていた場合は戦略の全面的な見直しが必要になる。

相続税評価の具体的な計算方法については、不動産の相続税評価額の計算方法|2026年度税制改正による5年ルールと3000万円相続時の具体的計算例で詳しく解説している。

賃貸経営による相続税評価圧縮の現行スキーム

5年超保有の物件については、現行の財産評価基本通達に基づく評価減が引き続き適用される。

貸家建付地の評価計算

> 自用地評価額 × (1 − 借地権割合 × 借家権割合30% × 賃貸割合)

借地権割合がE(50%)の地域で満室の場合、評価減は自用地評価額の15%となる。港区・渋谷区の主要地では借地権割合が70%(C)または60%(D)の地点も多く、その場合の評価減はそれぞれ21%・18%に拡大する。

賃貸建物の評価計算

> 固定資産税評価額 × (1 − 30% × 賃貸割合)

満室時は固定資産税評価額の30%が評価減となる。建物の固定資産税評価額は一般に建築費の60%前後であるため、現金で5億円の賃貸マンションを建築した場合、建物の相続税評価額は建築費の約42%(60% × 70%)水準に圧縮できる計算になる。

小規模宅地等の特例(貸付事業用)

貸付事業用宅地等として認定される場合、200㎡を限度として評価額の50%減が適用される。特定居住用宅地等(330㎡・80%減)との比較で不利であることは、複数の不動産を保有する場合の特例適用の優先順位を検討する際に影響する。

法人が不動産で節税する際の論点

法人が不動産を保有する場合、減価償却費の計上方法・計上額の選択自由度が個人より高い。法人税法では任意償却が認められており、利益が出た年に償却費を積み増すことで課税所得を機動的に調整できる。これが法人による不動産投資の節税上の優位点の一つだ。

法人が建物価格3億円のRC造マンションを保有する場合、年間約638万円の減価償却費を計上できる。法人税の実効税率は2026年時点で約30%であるため、年間約191万円の税金軽減となる。個人の高額所得者(税率55%)と比較すると軽減額は小さいが、役員報酬の設計・内部留保の活用・複数物件の損益調整など、法人格を通じた総合的な税務戦略が可能になる点で意義がある。

法人が不動産で節税する際の具体的な手法として、以下の三点が実務上有効とされている。

第一に、建物附属設備の区分経理による早期償却だ。法定耐用年数15年の設備を躯体と分離計上することで、取得初期の法人税負担を大幅に圧縮できる。第二に、修繕費と資本的支出の区分判断だ。20万円未満または3年以内の周期で行われる修繕は全額経費計上が認められるため、大規模修繕を複数年に分散させることで各年の課税所得を平準化できる。第三に、グループ法人間での物件売買による含み益の実現タイミング調整だ。ただし、グループ法人税制の適用範囲と移転価格の妥当性については税理士との事前確認が必須となる。

法人設立・維持コスト、役員報酬の設計、将来の事業承継における株式評価への影響など、不動産保有目的の法人化には複合的な検討が必要になる。税理士・弁護士との連携なしに実行すべき判断ではない。

青色申告特別控除と少額減価償却資産の特例拡充

令和8年度税制改正大綱には、不動産賃貸業の収益管理に直接影響する二つの改正が含まれる。いずれも2027年分申告から適用される。

青色申告特別控除の引き上げ

e-Tax申告に加えて「優良な電子帳簿」の保存要件を満たす場合、青色申告特別控除額が65万円から75万円に引き上げられる。e-Tax申告のみの場合は65万円で変更なし。紙申告については複式簿記の要件を満たしても控除額が10万円となり、従来の55万円控除は廃止される。

少額減価償却資産の特例拡充

青色申告者が一括経費計上できる少額減価償却資産の上限が、30万円未満から40万円未満に引き上げられる(3年間延長)。年間合計上限の300万円は変更なし。設備の更新・リフォームを複数年にわたって計画している場合、1件あたり40万円未満に収まる工事・設備調達を優先することで、その年の経費計上額を最大化できる。

2026年以降の節税戦略における注意点

事業用資産の買換え特例

10年超保有の賃貸住宅・駐車場を含む事業用資産の買換えについては、譲渡所得の80%繰延が可能な特例が2029年3月31日まで延長されている。含み益を抱えた物件の入れ替えを検討する際に活用できる制度だが、繰延はあくまで課税の先送りであり、最終的な税金の消滅ではない。売却時の譲渡所得税との兼ね合いも含め、保有期間全体を通じた税負担のシミュレーションを事前に行う必要がある。詳細は不動産譲渡所得税2026年完全ガイド:税率・計算方法・特別控除を具体的数字で解説で確認できる。

タワーマンション節税への規制強化

区分所有マンションの相続税評価については、2024年1月以降の改正でマンションの市場価格と評価額の乖離率に応じた補正が導入されており、高層階ほど評価額が引き上げられる仕組みが定着している。詳細は2026年4月時点のタワーマンション節税規制と相続税評価の実態で確認できる。


Koukyuu は南青山・西麻布・白金台をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が全段階を一貫して担当します。個別のご相談はこちらから。

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