マンション通達が書き換えた評価の基準、規約の文言が資産価値を左右する条件
マンション通達が書き換えた評価の基準、規約の文言が資産価値を左右する条件
Koukyuu Realty
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Koukyuu 宅地建物取引士 記事監修アドバイザー

Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修

港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

2026年5月、国税庁はマンション通達の運用を2年超にわたり継続している。2024年1月1日に適用された新評価ルールは、従来の路線価と固定資産税評価額に基づく単純計算を終わらせ、区分所有補正率という4変数の乗数を導入した。結果として、港区のタワーマンション最上階と同区内の築25年中低層階では、相続税評価額に1.5倍から1.8倍の差が生じる計算式が固定された。

この変化は相続税負担の増大を意味する。同時に、管理組合規約の条文が資産評価に与える間接的影響も無視できなくなった。規約に定める規約共有部分の登記状況、使用制限、譲渡制限の有無が、時価との乖離を左右する要素として浮上している。

敷地利用権と建物部分の分離評価

高級マンションの相続税評価は、土地部分である敷地利用権と建物部分に分離して計算される。敷地利用権の評価額は、敷地全体の相続税評価額に敷地権の割合を乗じて算出する。敷地権の割合は専有部分床面積の割合で決まり、登記簿謄本の表題部に記載されている。

建物部分は固定資産税評価額、いわゆる固定課税標準額をそのまま用いる。この二項の合計が相続税評価額の基礎となるが、2024年1月以降はここに区分所有補正率が乗じられる。補正率の適用後、評価額は時価の60%水準を下限とする調整が行われる。

敷地利用権の評価に用いる敷地全体の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式で算定される。東京の都心3区、特に港区や渋谷区の一等地では路線価が2026年時点で最高値を更新し続けており、敷地利用権の評価額上昇が顕著だ。固定資産税評価額は2023年度の基準地価を反映したものが適用されており、こちらも上昇傾向が続いている。

区分所有補正率の4要素と計算構造

マンション通達が定める区分所有補正率は、4つの要素から構成される。築年数、総階数、所在階、敷地持分狭小度の各項目に点数を割り当て、合計点数に応じて補正率を決定する。

要素評価への影響具体例
築年数新築ほど高評価築5年以内は最高点数
総階数高層ほど高評価20階以上で加点
所在階高層階ほど高評価最上階近傍で最高加点
敷地持分狭小度持分が狭小ほど高評価専有面積に対する敷地割合が小さい物件

この計算式の結果、麻布台ヒルズや虎ノ門ヒルズレジデンスなどの築浅タワーマンション高層階は、従来の評価額比で1.5倍から1.8倍の評価上昇を受ける。逆に、広尾や西麻布の築20年以上の低層マンションでは補正率が1.0を下回り、従来と同等かやや低い評価額に留まる。

補正率の基礎データは2018年の取引データを使用している。資材価格高騰等の一時的影響を排除するため、意図的に古いデータを採用した。国税庁は3年ごとの見直しを示唆しており、次回の見直しは2027年頃と推測される。

規約共有部分と法定共有部分の法的区分

管理組合規約が相続税評価に与える影響を理解するには、規約共有部分と法定共有部分の区別が必要だ。法定共有部分は廊下・エレベーター・屋上など、区分所有法で定める共用部分である。これらは専有部分と一体で評価され、個別の相続税評価は行われない。

規約共有部分は、管理組合規約で定める駐車場・集会場・ゲストルームなどの施設である。これらは個別の登記と評価が必要となる。

区分定められる根拠相続税評価の扱い
法定共有部分区分所有法第4条専有部分と一体評価、個別評価不要
規約共有部分管理組合規約の定め個別の登記・評価が必要

規約共有部分については、被相続人が取得時に登記を完了しているかの確認が不可欠だ。登記漏れがあると、相続登記時に手続きが複雑化し、評価額の確定が遅れる。特に高級マンションでは、規約により駐車場やトランクルームが専有使用権として付与されるケースが多く、これらの権利の登記状況は事前に確認すべきである。

規約条項が時価に与える間接的影響

管理組合規約の条項は、相続税評価額を直接的に変動させる仕組みは持たない。評価額の基礎となる固定資産税評価額や路線価は、規約の内容を反映しないからだ。しかし、規約に定める使用制限や譲渡制限は時価に影響し、結果として相続税評価額と時価の乖離率を変化させる。

具体的な規約条項の影響は以下の通りだ。

ペット飼育制限や事業利用禁止などの使用制限条項は、賃貸需要を制限し時価を押し下げる。外資系幹部や投資家をターゲットにした高級マンションでは、ペット可が前提となるケースが増えており、この制限は価格に敏感に反映される。

買取請求条項、いわゆる管理組合による先買い権条項は、物件の流動性を低下させ時価を圧迫する。売却時に管理組合が買取請求できる規定があると、市場性が損なわれ、実勢価格が割安に定着しやすい。

これらの規約条項が存在する場合、相続税評価額は時価の60%を下限とする調整を受けるが、時価自体が規約条項により押し下げられているため、節税効果が相対的に縮小する。規約の文言が資産価値の水準を決定づける条件として、2026年の市場では無視できない重みを持っている。

小規模宅地等の特例とマンションの適用条件

土地評価額を最大80%減額する小規模宅地等の特例は、マンションの敷地利用権にも適用される。適用条件と減額率は以下の通りだ。

用途区分減額率面積上限
居住用(配偶者・同居親族継続居住)80%330㎡相当
貸付事業用50%200㎡相当

マンションの場合、敷地利用権の面積は専有面積に応じた敷地持分で換算される。高級マンションの多くは敷地持分が狭小であり、330㎡の上限に抵触しにくい構造となっている。

重要な改正が2018年に行われた。相続開始前3年以内に貸付事業用に供した宅地等は、特例対象外となった。この改正は「タワマン節税」と呼ばれた直前の駆け込み投資を防ぐための措置であり、2026年時点でも厳格に適用されている。相続税対策として貸付事業用の特例適用を検討する場合、3年の猶予期間を確保した計画が必要となる。

2026年、相続税評価額と実勢価格の乖離が港区・渋谷区で縮小する条件については、別稿で詳述している。マンション通達の適用後、時価の60%を下限とする調整が入ったものの、実勢価格の上昇が評価額の上昇を上回るケースが増え、乖離率は縮小傾向にある。

2026年の評価実務と次期改正の展望

2026年5月時点での相続税評価実務では、2024年1月適用のマンション通達が安定した運用を見せている。税務署の査定も補正率の4要素に基づく計算式に沿ったものとなり、恣意性は大幅に減少した。

現在の評価動向を示す指標は以下の通りだ。

東京圏高級マンションの実勢価格は、2020年代前半の高騰後、調整局面にある。一方で相続税評価額はマンション通達の適用により上昇しており、評価額対時価比率は40%から50%程度に収束しつつある。60%の下限には未達しているが、従来の30%前後からは大きく改善された。

節税効果は現金保有に比べて評価圧縮効果が継続するが、従来の「タワマン節税」ほどの差は縮小している。2026年時点で新規に高級マンションを取得する場合、相続税対策としての純粋な節税効果は限定的であり、資産保全と節税の両面からの総合的判断が求められる。

次期改正の展望としては、2027年頃の補正率基礎データの見直しが注目される。2018年の取引データから最新データへの更新が行われれば、コロナ後の価格高騰や金利上昇後の市場調整が反映され、補正率の水準自体が変更される可能性がある。

相続税の「持ち戻し期間」7年化が富裕層の不動産戦略を書き換える動向も、中長期的な保有計画に影響を与える。相続時精算課税の適用後7年間は、相続税額の再計算と追加納税のリスクが残る期間として、資産の流動化戦略に組み込む必要がある。

Koukyuu は、麻布・広尾・白金をはじめとする東京の格式ある住宅地において、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーとして活動している。マンション通達適用後の複雑化した評価計算や規約条項の精査について、初回相談から引渡しまで有資格の宅建士本人が一貫して対応する。個別のご相談は 個別のご相談) より。

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