外国人の日本土地購入:2026年4月施行の国籍届出義務と新制度の実務
外国人の日本土地購入:2026年4月施行の国籍届出義務と新制度の実務
Koukyuu Realty
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2026年4月、外国人土地購入に新たな届出義務が発効

2026年4月1日、外国人による日本の土地・不動産取得に関する制度が大きく変わった。国土交通省はこの日、外国法人による大規模土地取得時の代表者国籍届出義務を開始した。同時に、外為法の改正により、居住目的であっても取得後の事後報告が求められるケースが拡大している。これらの変更は、従来の「投資目的のみが対象」という枠組みを根本から見直すものだ。

本記事は、2026年4月29日時点の法制度を整理する。対象読者は、東京の高級不動産市場に関心を持つ経営者・投資家・開業医・外資系幹部である。専門用語の説明は省略し、実務上のポイントに焦点を絞る。

外国人が日本の土地を購入できるのか:現行法の基本構造

日本法において、外国人の不動産所有権取得に国籍による制限は存在しない。永住権の有無も不問だ。外国法人においても、日本国内に支店を設けていなくとも所有権取得は可能である。

この原則は2026年現在も維持されている。変化しているのは「取得後の報告・届出義務」の範囲と厳格化の度合いである。つまり、購入そのものは自由だが、一定の条件を満たす場合に行政への情報提供が義務付けられている。

重要な区分は二つある。第一に「大規模土地取得」に関する国土利用計画法に基づく届出制度。第二に、外為法に基づく「対外直接投資」に該当する不動産取得の事後報告制度だ。2026年4月以降、両制度の適用範囲が拡大している。

2026年4月施行の新制度:国籍届出義務と報告拡大の詳細

外国法人の国籍届出義務(2026年4月1日施行)

国土交通省の新制度は、大規模土地を取得する外国法人に対し、代表者の国籍届出を義務付ける。対象となるのは、市街化区域内で2,000㎡以上、市街化区域外で5,000㎡以上、山林等で1万㎡以上の土地取得である。

従来は個人の届出が中心だったが、法人取引の増加を受け、実質的な支配者把握が目的だ。代表者の国籍に加え、役員や株式の過半数が同一国籍に属する場合も届出が必要となるケースがある。

外為法改正:居住目的取得の報告義務拡大(2026年4月施行)

外為法の省令改正により、2026年4月から海外居住者が日本の不動産を取得した場合の報告義務が拡大された。従来は「投資目的」の取得のみが対象だったが、改正後は「居住目的」であっても報告が必要なケースが生じている。

報告内容には、取得後の住所、物件価格、権利内容(所有権・借地権等)が含まれる。届出期限は取得日から20日以内である。

詳細な手続きと実務論点については、外国人の日本不動産購入:2026年の規制・手続き・実務論点を解説 を参照されたい。

大規模土地取得の届出基準と対象区域の具体例

国土利用計画法に基づく届出基準は、土地の所在区域によって三層化されている。

区域区分面積基準具体例
市街化区域2,000㎡以上港区・渋谷区・千代田区のほぼ全域
市街化区域外5,000㎡以上東京23区周辺の調整区域
山林等1万㎡以上西多摩・奥多摩等の森林地帯

東京23区の高級住宅地において、2,000㎡という基準は決して達成不可能な数字ではない。麻布・広尾・白金の一戸建て用地、あるいは複数戸のマンションをまとめて取得する場合に該当する可能性がある。

なお、2025年7月からは個人の国籍届出も既に義務化されている。2026年4月の拡大は、法人取引への対応である。

国交省調査が示す外国人取得の実態:東京23区のデータ分析

国土交通省は2025年11月、初めて外国人取得の実態調査結果を公表した。対象は2018年1月から2025年6月までの新築マンション約55万戸である。

主要な数値は以下の通りだ。

外国人取得割合:
  • 東京23区の新築マンションにおける国外居住者取得割合は、2025年1~6月時点で3.5%
  • 都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)ではやや高い水準を示す
  • 2億円以上の高額物件を外国人が活発に購入している傾向は特に見られない(都心6区において)
短期売買動向:
  • 東京23区・専有面積40㎡以上物件で、大規模マンション(100戸以上)の短期売買(購入後1年以内売却)割合は9.9%(2024年上期)
  • 大規模マンション以外では3.3%
  • 国外居住者による短期売買も増加傾向

国交省の結論は明確だ。「海外に住所がある人の割合は数%にとどまり、価格高騰への影響は確認できなかった」としている。ただし、東京都心部では国外からの取得割合が高く・増加傾向があり、中心部に行くほど顕著であることも指摘されている。

2026年以降の政策動向:骨格策定と中長期制度整備

大規模土地取得実態調査(2026年3月開始)

国土交通省は2026年3月から、過去数年分の届け出データを全国調査している。氏名・住所から外国人とみられる取得者の割合を推計し、2025年7月以降の取引については国籍に基づき外国人取得割合を別途公表する予定だ。

「骨格」策定(2026年夏予定)

政府は安全保障観点からの土地取得ルール見直しを進めている。検討項目には以下が含まれる。

  • 対象者:内外無差別か外国人限定か
  • 規制内容:許可制・届出制・立入検査等の選択
  • 対象土地範囲:現在の基準維持か拡大か

中長期整備

2027年度以降の実施を目指す「不動産ベース・レジストリ」は、土地所有等情報の集約データベースとなる。これにより法人取引における実質的支配者(ベネフィシャルオーナー)の把握が強化される見込みだ。

政策動向の最新情報については、外国人の日本不動産取得規制2026:登記国籍義務化・外為法改正・三大タブーを解説 で補足している。

外国人購入と不動産価格への影響:専門家の見解

国交省調査の結論は、価格高騰と外国人購入の因果関係を否定するものではないが、直接的な相関を確認できないとしている。3.5%という取得割合は、全体市場に与える影響は限定的という判断だ。

ただし、市場のセグメンテーションを無視してはならない。港区・渋谷区・千代田区の特定エリア、特に新築高級マンションにおいては、外国人購入の比率が平均を大きく上回る可能性がある。こうした局所的な影響は、統計的には「ノイズ」に埋没する。

開業医や経営者にとって関心が高いのは、自らの資産形成と相続対策に外国人購入動向が与える影響だ。現時点で、外国人規制強化が日本の高級不動産価格を押し下げるメカニズムは見当たらない。むしろ、透明性向上と制度整備は、長期的に市場の成熟を促す方向にある。

今後の法改正リスクと購入時の注意点

2026年現在、外国人の土地購入そのものを禁止する法改正は検討されていない。自民党と日本維新の会の連立政権合意書には「外国人による土地取得の規制を強化する法案を2026年の通常国会で策定する方針」と記載されたが、これは届出・報告制度の充実を指す。

購入時の実務的注意点を三つ挙げる。

第一に、大規模土地取得の届出期限は厳守が必要だ。遅延には罰則規定がある。

第二に、外国法人を利用する場合、実質的支配者の把握に備えて社内文書を整備しておくべきだ。役員構成や株主構成の変動が届出義務に影響する。

第三に、2026年夏の「骨格」策定後、さらに詳細な規制内容が示される可能性がある。中長期の投資計画を立てる際は、制度変更のリスクを織り込む必要がある。

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