2026年4月、宅建業法の説明義務に五つの変化が同時に届いた
2026年4月、宅建業法の説明義務に五つの変化が同時に届いた
Koukyuu Realty
記事監修 ✓ 認定済み
Koukyuu 宅地建物取引士 記事監修アドバイザー

Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修

港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

2026年4月、説明義務の対象が拡大した

2026年4月1日、宅建業法の説明義務に関する複数の制度変更が同時に施行された。省エネ基準適合義務の説明追加、IT重説の運用整備、区分所有法改正との連動、不動産登記法改正への対応、そして相続税評価見直しの事前説明。五つの変化が重なり、宅建士が作成する35条書面の記載事項は従来より厳密化している。

東京の高額不動産市場、とりわけ3億円を超える取引においては、これらの変更が価格形成に直接影響する。説明義務の履行状況が、後の契約解除や損害賠償請求の争点となるケースが増加している。

省エネ基準適合義務と2028年の壁

2028年1月1日以降に建築確認を受ける住宅は、一定の省エネ基準を満たさない場合、住宅ローン控除の対象外となる。この制度変更は2026年4月から宅建士の説明義務に組み込まれた。

現在の取引において宅建士が確認すべきは、対象物件のBELS評価の有無、適合証明の存在、そして建築確認の時期である。2026年5月時点で港区の新築マンション平均価格は1億2,840万円を記録するが、3億円超の高額物件においては省エネ性能が資産価値の構成要素として位置づけられている。

売主側からの情報提供が不十分な場合、宅建士は独自の確認を行う義務を負う。確認書類の欠如は、契約後の瑕疵担保責任問題に発展するリスクがある。

IT重説の運用と高額取引の実務

2026年の改正でIT重説、すなわちテレビ会議等を用いた重要事項説明の要件が整理された。売買・交換・賃貸のいずれでもIT重説が認められ、以下の条件を満たす必要がある。

相手方が説明内容を十分に理解できる通信環境の確認。宅建士証の提示、画面越しでも可とする。重要事項説明書の電子交付または郵送による交付。

港区・渋谷区・千代田区における3億円超の高額取引ではIT重説の活用事例は増加している。ただし、複数の権利関係が錯綜する物件や相続絡みの案件、海外投資家を当事者とする取引では、対面説明が実務上の標準となる。宅建士の判断で説明方法を選択するが、後の紛争で説明の十分性が争われた場合、対面説明の方が立証上有利である。

区分所有法改正とマンション取引のリスク説明

2026年4月1日、約23年ぶりの大規模な区分所有法改正が施行された。宅建業法の重要事項説明にも直接影響する内容として、三つの項目が挙げられる。

第一に、普通決議の要件が「出席者ベース」に変更された。第二に、危険物件については建替え決議が4分の3以上で可決可能となった。第三に、海外在住者の代理人選任が可能な国内管理人制度が導入された。

これらの変更は築古物件の価値評価に影響する。築30年以上のマンションにおいては、建替え決議のハードル低下が資産寿命の短縮リスクとして説明義務の対象となる。管理組合の決議状況、修繕積立金の状況、管理計画認定の有無について、35条書面の記載要領が明確化されている。

3億円超の取引で瑕疵担保期間が変わる、2026年の民法・宅建業法・品確法の交差については別稿で詳述する。

不動産登記法改正と住所変更登記の義務化

改正不動産登記法が2026年4月1日に施行され、所有権登記名義人の住所・氏名変更登記が義務化された。変更が生じた日から2年以内の申請が必要で、正当な理由なく怠った場合は5万円以下の過料となる。

宅建士は重要事項説明書作成時に、売主・買主双方に対しこの登記変更義務の存在を説明する場面が増加している。35条書面の記載内容確認は従来より厳密化しており、登記簿謄本の取得と現況確認が標準化されている。

2026年4月、住所変更登記の義務化が高額不動産取引の書類審査を変えた実務への影響についてはこちらを参照。

相続税評価見直しと2027年の時限効果

令和8年度税制改正大綱により、2027年1月1日以後の相続から、相続開始前5年以内に取得した賃貸用マンションの評価方法が変更される。路線価等による評価から「通常の取引価額(時価)」評価へ移行する。

簡便法として「取得価額を基に地価変動等を考慮した価額の100分の80」も認容されるが、従来の節税効果は大幅に縮小する。2026年5月時点での取引において、宅建士は物件の取得から相続開始までの想定期間、賃貸用途か自己居住用途かの区分、2027年1月1日以降の相続に該当するかの時系列確認を説明義務として負うケースがある。

この評価変更は賃貸用マンションの投資効率を直接下方修正する。2026年の物件取得が2027年以降の相続に間に合う場合、節税効果の減少が投資収益率の再計算を必要とする。

3億円超の取引で増加する特別な確認事項

東京の高級不動産市場において、宅建士が追加で確認すべき事項を整理する。

固定資産税評価額については、地方税法第381条に基づき、令和8年度縦覧結果に基づく概算額の記載が求められる。登録免許税軽減措置としては、医師確保特定区域内診療所の特例が2026年4月から2028年3月まで適用される。

心理的瑕疵に関しては国土交通省ガイドラインに従い、人の死の告知に関する基準を確認する。境界未確定の場合は、宅建業法第35条に基づき明示と測量費用負担の確認を行う。

これらの確認項目は一般的な仲介取引では省略されることが多い。ただし3億円を超える取引では、後の紛争による損害額の大きさから、宅建士の説明義務の範囲が拡大解釈される傾向にある。

説明義務の履行と取引の安全性

2026年の宅建業法改正は、説明義務の対象拡大と同時に、宅建士の責任を厳格化する方向で進んだ。IT重説の整備は利便性を向上させたが、高額取引では対面説明の価値が相対的に高まっている。

35条書面の記載漏れは、契約取消しや損害賠償請求の原因となる。記載事項の増加に伴い、宅建士の作成負担は増大している。一方で、十分な説明がなされた取引は、後の紛争リスクを大幅に低減する。

Koukyuu は麻布・広尾・白金をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)より。

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