2026年、所有不動産記録証明が権利調査の前提になった
2026年、所有不動産記録証明が権利調査の前提になった
Koukyuu Realty
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Koukyuu 宅地建物取引士 記事監修アドバイザー

Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修

港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

2026年2月2日、法務局の所有不動産記録証明制度が全国で施行された。特定個人が所有する不動産を一括検索し、リスト化した証明書を交付するこの制度は、相続未登記物件の発見や、複数地域に分散した資産の把握に有用だ。同日からオンライン請求が可能になり、窓口・郵送と並ぶ3つの取得経路が整備された。請求費用は1,600円で、従来の登記簿謄本取得と比較して情報の網羅性が大きく向上した。

高級不動産の購入検討者にとって、この制度は調査の起点として位置づけられる。港区や渋谷区、千代田区にまたがる資産を持つ相続人が、親の死亡後に全ての不動産を把握できていないケースは少なくない。所有不動産記録証明を取得することで、見落とし物件の有無を事前に確認できる。ただし、この証明書はあくまで「特定所有者名義の不動産リスト」であり、各物件の詳細な権利関係を知るためには、個別の登記簿謄本取得が依然として必要だ。

登記簿謄本の取得方法と費用構造

法務局で取得できる登記情報には、用途と費用に応じて3つの選択肢がある。まず、登記情報提供サービスでの閲覧は1件あたり142円と最も低廉だが、公的証明書としての効力を持たない。不動産購入前の本格的な権利関係調査には、登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)の取得が必須となる。

オンライン請求で郵送受取する場合は480円、法務局窓口での即日取得は600円だ。窓口取得の利点は、職員への直接相談が可能な点にある。表題部の地番表記と実際の住所が一致しないケース、権利部甲区の共有持分の計算方法、権利部乙区に記載された抵当権の消滅条件など、判読に疑問が生じた場合の問い合わせがスムーズに行える。

登記簿謄本の構成を確認する。表題部には所在地、地番、地目、面積が記載される。権利部甲区には所有権の移転履歴、現在の所有者名、共有持分が記載される。権利部乙区には抵当権、根抵当権、賃借権、地上権などの制限事項が記載される。2024年4月の民法改正による相続登記義務化以降、所有者死亡から3年を経過した未登記物件は減少傾向にあるが、改正前の相続については依然として未登記のリスクが残存する。

相続登記義務化と未登記リスクの実態

2024年4月1日に施行された民法改正により、相続登記の申請が法義務となった。相続を知った日から3年以内に申請しなければならず、正当な理由なく申請を怠った場合は10万円以下の過料が科される。この規定により、売買時に登記簿上の所有者が既に死亡しているという事態は減少しつつある。

しかし、2024年以前に発生した相続については義務化の対象外だ。特に昭和期に取得した資産を持つ高齢の所有者が死亡した場合、相続人が複数にわたると登記手続きが長期化する傾向がある。購入検討物件がこのような「相続未登記」状態にある場合、売主が形式的な登記名義人ではなく、実質的な処分権を有する相続人全員から同意を得る必要が生じる。

2026年4月、住所変更登記の義務化が高額不動産取引の書類審査を変えたにより、過去の住所のままの登記簿記載も是正が進んでいる。住所変更登記の申請義務化は、売買時の書類不備を減らす効果がある。購入前の権利関係調査では、登記簿記載の住所と売主の現住所が一致しているかを確認することが重要になった。

境界確定測量の必要性と費用相場

高級不動産の購入において、土地の境界確定は法的リスクの核心をなす。登記簿謄本に記載された面積は、筆界(明治時代以降に確定した公的な境界)に基づくもので、実際の所有権界と必ずしも一致しない。隣地との境界紛争は、購入後に数十年にわたる訴訟に発展する可能性がある。

境界確定測量は土地家屋調査士への依頼が必要だ。費用は35万円から80万円、期間は3ヶ月から4ヶ月を要する。測量の過程で隣地所有者の立会いが求められ、境界協議が成立した場合に測量成果が確定する。隣地所有者が不在である場合、あるいは協議が成立しない場合は、裁判所による境界確定訴訟を提起する必要が生じ、費用と期間は大幅に増大する。

測量の対象となるのは、登記簿上の「一筆」ごとだ。港区南青山や渋谷区松濤などの高級住宅地では、歴史的に細分化された土地が多く、隣接する複数筆をまとめて購入するケースがある。この場合、各筆ごとに境界確定測量を実施するか、筆界の統合を前提とした測量計画を立てる必要がある。測量成果の登記(境界確定登記)は任意だが、将来の売却時に買主の安心感を高める観点から、登記を併せて申請することが推奨される。

役所調査と現地調査の併用項目

登記情報に加えて、各自治体の窓口で確認すべき事項がある。都市計画図による用途地域の確認は不可欠だ。第一種低層住居専用地域に指定されている物件に対し、事務所使用や民宿営業を計画する場合は、建築基準法違反となる。用途地域の確認は、法務局とは別に区市町村の都市計画課で行う。

ハザードマップによる災害リスクの把握も同様だ。東京都の浸水想定区域図や土砂災害警戒区域図は、各区のホームページで公開されている。白金台や広尾などの台地エリアでも、谷部の物件については急傾斜地の崩壊リスクを確認する必要がある。

現地調査では、私道の負担状況を確認する。登記簿謄本には記載されない私道通行権や、管理費負担の有無は、実際の現況と近隣への聞き取りで把握する。特に麻布や元麻布の坂道沿いの物件では、車庫へのアクセス経路が私道に依存しているケースが多い。私道の所有者が不明である場合、将来の通行権確保に支障が生じるリスクがある。

地盤調査報告書の確認も重要だ。東京都心の埋立地や低地では、液状化リスクが指摘される地域がある。新築時の地盤調査報告書が残存していない場合、購入後に地盤改良工事が必要となる可能性があり、費用は200万円以上に達することもある。

所有不動産記録証明制度の実務的活用

2026年2月に開始された所有不動産記録証明制度は、従来の調査手法を補完するものとして位置づけられる。対象者本人または相続人が申請することで、全国の登記データベースから該当者名義の不動産を一括検索できる。この制度の最大の利点は、相続人が被相続人の全資産を把握していない場合に、見落とし物件を発見できる点にある。

制度の制限も理解しておく必要がある。証明書に記載されるのは、所在地、地番、家屋番号、権利の種類、登記の日付などの基本情報のみだ。各物件の詳細な権利関係、抵当権の有無、賃借権の内容までは記載されない。したがって、特定物件の購入を検討する段階では、個別の登記簿謄本取得に移行する必要がある。

不動産デューデリジェンスの方法:2026年東京高級物件向け完全実務ガイドでは、これらの調査項目を統合的に実施するフレームワークを詳述している。権利関係調査は、単なる書類収集ではなく、法務局、自治体、現地、専門家の4つの情報源を横断的に検証する作業だ。

購入前調査の実施体制

3億円を超える不動産購入において、権利関係調査は個人の知識と時間だけでは完結しない。司法書士、土地家屋調査士、建築士、税理士などの専門家が連携する体制が求められる。調査の目的は、リスクの完全な排除ではなく、リスクの可視化と価格交渉材料の収集にある。

例えば、抵当権が設定されている物件を購入する場合、売主による抵当権抹消登記を引渡しの条件とするか、あるいは残債を購入代金から差し引いて直接金融機関へ弁済するスキームを検討する。境界未確定の物件については、購入価格に測量費用と紛争リスクを織り込んだ上で、売主に境界確定測量の実施を求めるか、価格減額を交渉する。

Koukyuu は麻布・広尾・白金・港区・渋谷区・千代田区の高級不動産購入において、これらの調査をバイヤー側の立場から実施している。取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーとして、初回相談から引渡しまで有資格の宅建士本人が一貫して担当する。個別のご相談はこちら)より。

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