
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
2026年1月1日時点の公示地価が発表され、港区麻布エリアの地価上昇が鮮明になった。麻布エリア全体の平均地価は358万6153円/m²、坪単価1185万5054円で、前年比16.72%の上昇率を記録。これは5年連続の上昇であり、2021年以降の加速的な価格上昇が継続していることを示している。
麻布エリア全体の地価動向と推移
麻布の公示地価は2026年1月1日時点で、住宅地として全国屈指の水準を維持している。エリア全体の平均地価358万6153円/m²は、前年比16.72%増という高い伸びを示している。
この上昇率は東京23区内でもトップクラスだ。2021年までは横ばい気味の動きが続いたが、その後の回復は顕著だった。2022年以降、毎年2桁の上昇率が続いており、2026年の16.72%はその加速を裏付ける数字となっている。
坪単価に換算すると1185万5054円。これは東京の高級住宅地の中でも、表参道・南青山・広尾と並ぶ価格帯に位置づけられる。特に麻布十番駅周辺と南麻布の一部地区では、坪単価1600万円を超える地点が複数存在する。
令和8年のこの地価水準は、バブル期の約35%に相当する。1987年のピーク時には1026万円/m²、坪換算で3391万円に達していたことを考えると、まだ回復の余地は残されていると見られる。
2026年主要地点の公示地価ランキング
港区麻布エリア内の公示地価ランキングを見ると、上位地点の集中度が高いことがわかる。
1位は麻布十番2-20-7、地価522万円/m²、坪単価1725万6198円、前年比18.91%上昇。麻布十番駅から80mという至近距離が価格を支えている。
2位は南麻布4-9-34、地価499万円/m²、坪単価1649万5867円、前年比15.51%上昇。広尾駅から650mの地点だ。
3位は麻布台3-4-10、地価496万円/m²、坪単価1639万6694円、前年比18.10%上昇。六本木一丁目駅から320mに位置する。
4位は南麻布1-5-11、地価476万円/m²、坪単価1573万5537円、前年比16.95%上昇。麻布十番駅から350mの地点だ。
10位には元麻布2-3-24が入り、地価369万円/m²、坪単価1219万8347円、前年比16.04%上昇。広尾駅から700mの地点である。
このランキングから読み取れるのは、駅距離400m以内の地点が上位を占める傾向だ。特に麻布十番駅周辺のプレミアムが顕著で、80m地点と350m地点で坪単価に152万円の差がついている。
西麻布の詳細データと市場特性
西麻布は麻布エリアの中でも特性の異なる地区だ。2026年の公示地価データを詳細に見ていく。
西麻布1丁目1番147(西麻布1-8-19、六本木駅430m)は住宅地として215万円/m²、坪単価710万7438円、前年比15.59%上昇。建蔽率60%、容積率300%のRC造3階建ての基準地だ。
対照的に、西麻布4丁目52番5外(西麻布4-1-10、六本木駅680m)は商業地として323万円/m²、坪単価1067万7685円、前年比18.32%上昇。建蔽率80%、容積率400%と、住宅地より緩やかな規制が適用されている。
この差異は用途地域の違いを反映している。西麻布1丁目は低層住宅地域の性格が強く、西麻布4丁目は商業地との境界に位置する。実際の取引では、個人富裕層が低層住宅を求めて西麻布1丁目を、収益性を重視した個人・法人が西麻布4丁目周辺をそれぞれ対象とする傾向がある。
不動産鑑定士の評価によれば、西麻布は「利便性と品等の高い低層住宅地域としての成熟度が高く」「知名度が高い都心への利便性と良好な居住環境を兼ね備えた」エリアと位置づけられている。標準規模の土地で坪単価700万円程度、総額3億円台から5億円程度が取引の中心となっている。
麻布エリアの需要者層と取引動向
麻布の需要者層は明確に分かれている。個人富裕層が圧倒的多数を占め、収益性を重視する個人・法人がそれに続く。
個人富裕層の購入動機は、第一に居住環境の確保、第二に資産保全、第三に相続対策という順序になる。麻布の低層住宅地は、港区の中でも特に静謐さが保たれており、外資系幹部や開業医、経営者の家族に好まれる。
収益性を重視する層は、商業地や準工業地域に隣接する住宅地を対象にする場合が多い。建蔽率80%、容積率400%の地点では、小規模な賃貸マンションや共同住宅の開発が可能だ。
取引サイズを見ると、標準的な土地取引は3億円から5億円のレンジに集中する。これは公示地価の基準地規模(200m²前後)を想定した場合の総額に相当する。実際の取引では、400m²を超える大規模土地の場合、総額10億円を超えるケースも見られる。
2026年の市場では、新規供給の乏しさが価格を押し上げる要因となっている。特に麻布十番駅周辺の開発可能地は限られており、再開発による供給増も期待しにくい。
バブル期からの歴史的変遷
麻布の地価は日本のバブル経済の縮図とも言える動きを見せてきた。
1987年のバブル期ピーク時、麻布エリアは1026万円/m²、坪換算で3391万円に達した。これは2026年の平均地価358万円/m²の約2.9倍に相当する。
バブル崩壊後、地価は急落した。1996年には203万円/m²まで下落し、ピーク時の約20%水準まで落ち込んだ。この低迷は長期にわたり、2013年頃まで回復の兆しは見られなかった。
2013年以降の回復は緩やかだったが、2020年代に入り加速した。2021年には横ばいを脱し、2022年以降は毎年2桁の上昇率が続いている。2026年時点でバブル期の約35%水準まで回復している。
この回復ペースから見て、麻布の地価にはまだ上昇余地があるとの見方が多い。ただし、バブル期の水準まで戻すには、現状の上昇率を10年以上維持する必要がある計算になる。
今後の地価見通しと投資視点
2026年以降の麻布の地価動向を考える上で、複数の要因が挙げられる。
まず、麻布台ヒルズの開業による周辺価格への影響は継続する。2024年の開業以降、麻布台周辺の地価は特に高い伸びを示しており、2026年の麻布台3-4-10の18.10%上昇はその表れだ。
次に、インバウンド需要の回復と外資系居住者の増加が、賃貸市場と売買市場の両方に影響を与える。港区全体で外資系居住者の比率は上昇傾向にあり、麻布も例外ではない。
一方で、金利上昇リスクは留意すべきだ。住宅ローン金利の上昇は、購入資金の一部を借り入れる層の購入力を圧迫する。ただし、麻布の主要需要者層である富裕層は、現金購入の比率が高く、金利の影響は相対的に限定的だ。
投資視点から見ると、麻布十番駅周辺のプレミアムは継続しそうだ。坪単価1725万円という水準は、東京の住宅地の中でも最高クラスだが、駅距離80mという立地の希少性は代替不可能だ。
西麻布においては、用途地域の確認が重要になる。建蔽率60%・容積率300%の住宅地と、建蔽率80%・容積率400%の商業地では、開発の自由度と将来の資産価値に大きな差が出る。
Koukyuu は麻布・広尾・白金の物件について、個別の相談に応じている。取扱下限3億円以上の物件に特化し、有資格の宅建士が初回相談から引渡しまで一貫して対応する体制を持つ。麻布十番の詳細情報については別記事も参照いただきたい。
Koukyuu は麻布・広尾・白金をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)よりお問い合わせください。
