宅建5人に1人ルールが意味すること:3億円以上の取引で問われる宅建士の質
宅建5人に1人ルールが意味すること:3億円以上の取引で問われる宅建士の質
Koukyuu Realty
記事監修 ✓ 認定済み
Koukyuu 宅地建物取引士 記事監修アドバイザー

Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修

港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

「5人に1人」という数字が示す現実

2025年の東京23区新築マンション平均価格は1億3,613万円、前年比21.8%増。不動産経済研究所が2026年1月に発表したこの数字は、都心の取引が持つ金額的重みを改めて示している。同年12月単月では1億4,789万円に達し、首都圏全体の供給戸数は1973年の調査開始以来、過去最低の21,962戸を記録した。

この市場環境の中で、多くの購入者が見落としているのが宅地建物取引業法第31条の3第1項の規定だ。宅建業者は事務所ごとに、業務に従事する者5人につき1人以上の割合で、専任の宅地建物取引士を設置しなければならない。宅建業法上の設置基準の詳細によれば、この「5人に1人」は最低限の法定水準であり、上限を定めるものではない。

問題は、この規定が「最低限の義務」を定めたものに過ぎず、取引の現場で宅建士が実際にどこまで関与するかを保証するものではないという点にある。従業者4人の事務所でも1人の宅建士を置けば法令上は適法だ。その1人の宅建士が、日々の全取引に同席しているかどうかは、別の話である。


設置義務と「関与」は別概念である

宅建業法が定める「5人に1人」の設置義務は、事務所単位の人員配置に関する規定だ。宅建士を何人置くかを定めているが、個々の取引に宅建士が立ち会うことを義務付けているわけではない。重要事項説明と契約締結の場面における宅建士の関与は別途定められているが、それ以外の段階、つまり初回相談、物件の内見、条件交渉、デューデリジェンスの各プロセスでは、無資格の営業担当者が主体となるケースが多い。

東京の仲介会社の多くは、日常的な顧客対応を宅建士資格を持たない営業担当者が担い、署名直前の重要事項説明の場面だけ宅建士が登場する体制を採用している。この構造は法令上問題がない。しかし3億円を超える取引においては、交渉段階での判断や契約条件の精査が最終的な資産価値に直結する。その段階に専門知識を持つ人間が関与しているかどうかは、取引の質を根本から左右する。

宅建士(宅地建物取引士)の登録・証明書・義務・罰則を完全解説では、宅建士の法的義務として重要事項説明・記名・押印が明示されているが、それ以外の段階での関与は業者の裁量に委ねられている。この「裁量の幅」こそが、仲介会社ごとのサービス品質の差を生む。

3億円超の取引で「最低基準」に依存するリスク

ハースト婦人画報社が2025年12月に実施した調査(n=357名)によれば、購入予算「3億円以上」の層が2023年比で倍増し、「5億円以上」の層も新たに出現している。自宅の資産価値上昇を実感している富裕層は約60%に上り、住み替えや資産組み換えを具体的に検討している層は25%に達した。

こうした層が直面するのは、金額の大きさに比例して複雑化する取引構造だ。たとえば白金台や元麻布の一棟邸宅、あるいは麻布台ヒルズ周辺の大規模レジデンスを取得する場合、登記の確認、土地の権利関係、建物の法的適合性、将来の相続税評価額への影響まで、初回相談の段階から精査が必要な事項は多岐にわたる。

不動産の相続税評価額の計算方法と2026年度の5年ルールでも詳述しているように、取得時の意思決定が相続時の評価額に影響する。こうした判断を、資格を持たない担当者との商談だけで進めることのリスクは、取引金額が上がるほど大きくなる。

「名義貸し」と「形式的配置」が生む構造的問題

「5人に1人」の規定には、運用上の問題が指摘されている。専任宅建士の「専任性」の解釈が業者によって異なり、実態として別の業務と兼任しているケースや、登録上は専任でも現場への関与が限定的なケースが存在する。国土交通省の行政処分事例を見ると、専任宅建士の名義貸しや形式的配置による業法違反は繰り返し問題になっている。

法令上の最低基準を満たすことと、取引の全段階で資格者が実質的に関与することは、本質的に異なる。5人に1人という比率は、事務所の規模が大きくなるほど宅建士1人が担当する案件数が増えることを意味する。従業者20人の事務所であれば、4人の宅建士がいれば法令上は適法だ。しかしその4人が月に何十件もの案件を並行して処理している場合、個々の取引への関与の深さは必然的に薄まる。

高額な取引を検討しているクライアントにとって、担当者が宅建士資格を持つかどうかよりも、その宅建士が自分の取引に専属で関与しているかどうかの方が、実質的な意味を持つ。


千代田区・港区・渋谷区における2026年の市場動向

2025年1月から6月の期間、東京23区で新築マンションを取得した国外居住者の登記件数は308件に上った。国籍別では台湾が62.3%、中国が9.7%、シンガポールが6.8%を占める。短期売買、つまり登記後1年以内の売却は、千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷の都心6区で増加傾向にあり、その8割以上が100戸以上の大規模マンションに集中している。

この傾向は、番町・松濤・南青山といったエリアの邸宅物件や低層レジデンスへの需要を相対的に高めている。大規模タワーマンションに国際的な短期売買マネーが流入する一方、居住の格式と資産の安定性を重視する層は、戸数が限られた低層・中層の物件に向かう。Brillia一番町の4億7,990万円・3LDK物件のような千代田区の格式ある住所の物件が、こうした需要の受け皿になっている。

白金台の2026年相場と邸宅物件の選び方でも触れているように、白金台・白金エリアでは2026年に入り坪単価が600万円台後半から700万円台に移行しつつある。供給が絞られた市場では、物件情報の入手経路と、その情報を精査できる専門家の存在が、取引の成否を分ける。

宅建士の「設置」と「同席」を区別する視点

「5人に1人」という法定基準は、宅建業者が業を営むための最低条件を定めたものだ。この基準を満たすことは、業者としての適格性を示すが、個々のクライアントに対するサービスの水準を保証するものではない。

3億円以上の取引を検討する際に確認すべきは、担当者の資格の有無だけではない。初回相談の段階から、物件の内見、条件交渉、デューデリジェンス、契約、引渡しに至るまで、宅建士本人が一貫して関与する体制を持つ会社かどうかを確認することが重要だ。多くの仲介会社では、この問いに明確に答えることができない。体制として設計されていないからだ。

購入者が支払う仲介手数料は、取引金額に対して法定上限率で計算される。3億円の取引なら手数料は最大約1,000万円に達する。その対価として何を受け取るのかを、クライアントは問う権利を持つ。


Koukyuu は表参道・青山・北青山をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)はこちらから。

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