敷金・保証金・礼金の三つ巴が、2026年の東京賃貸市場を再編する
敷金・保証金・礼金の三つ巴が、2026年の東京賃貸市場を再編する
Koukyuu Realty
記事監修 ✓ 認定済み
Koukyuu 宅地建物取引士 記事監修アドバイザー

Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修

港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

2026年4月時点で、東京都内の賃貸物件の約95%が保証会社の利用を必須としている。連帯保証人を用意しても、保証会社への加入を求められるケースが主流となった。これは2020年4月施行の民法改正による保証人保護の強化が背景にある。

同時に、敷金・保証金・礼金という三つの預かり金制度の使い分けが、地域と物件グレードによって明確に分断されつつある。本稿では、2026年5月現在の法的枠組みと市場実態を整理する。

民法改正が定めた敷金の法的性格

2020年4月に施行された債権法改正(民法改正)は、敷金の法的定義を明確化した。改正民法は、敷金を「賃借人の債務を担保するための金銭」と位置づけ、賃貸借契約終了後に債務分を差し引いた残額の返還義務を課している。

具体的には、賃料滞納分や借主の故意・過失による修繕費用を除き、敷金は原則として全額返還の対象となる。これまで曖昧だった「通常損耗」の負担区分も明確化され、日焼けや家具の設置跡など通常使用による損耗は貸主負担となった。

ただし、タバコのヤニやペットによる傷など、借主の故意・過失による損傷については敷金からの充当が認められている。この線引きが、退去時のトラブルの核心となっている。

敷金と保証金の違い。関東・関西の制度分断

敷金と保証金は法的に同一の性格を持つ。いずれも賃借人の債務担保として預かる金銭であり、改正民法上の扱いに差異はない。実務上の違いは地域的慣行に由来する。

関東(東京中心)では「敷金・礼金制」が主流である。2026年4月時点の東京23区では、敷金1ヶ月・礼金1ヶ月が標準で、これを採用する物件が約60%を占める。敷金0の物件は約25%に達し、年々増加傾向にある。 関西では「保証金・敷引制」が一般的である。保証金が敷金に相当し、「敷引(しきびき)」という固定費用が退去時に差し引かれる。敷引は東京の礼金に近い性格を持ち、法的には「敷金の一部を返還しない」という特約として有効である。契約書での明記が要件となる。

この地域差は、投資用不動産のポートフォリオ管理においても無視できない。関西圏の物件を保有する場合、敷引特約の有無とその率を契約書で確認する必要がある。

2026年の相場データ。敷金は1〜2ヶ月分が中心

国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」(令和6年7月公表)によると、敷金・保証金を支払った世帯は51.5%に達する。そのうち「1ヶ月ちょうど」が63.4%で最も多く、「2ヶ月ちょうど」が19.8%を占める。

全国相場は「敷金1〜2ヶ月分」が中心である。ただし、高級賃貸市場ではこの限りではない。港区・渋谷区・千代田区のタワーマンションや低層高級物件では、敷金3ヶ月以上を求められるケースも珍しくない。

敷金の返還実態については、きれいに使用していれば30〜70%が返還されるケースが多い。1K・1Rの場合、クリーニング代3〜4万円を差し引き、敷金7万円なら3〜4万円の返金が目安となる。高級物件では、プロのクリーニング業者による原状回復費用が敷金を上回ることもあり、追加請求を受けるケースがある。

敷金礼金ゼロ物件の増加と、その罠

2026年の東京23区高級賃貸市場では、敷金礼金ゼロ物件が増加している。築年数の経過した物件や、入居率を重視するオーナーがこの手法を採用する。

ただし、初期費用の軽減には代償が伴う。敷金礼金ゼロ物件の多くは、退去時に実費でクリーニング費用(3〜6万円)を請求する条項を契約書に盛り込んでいる。表面上の初期費用は抑えられても、トータルコストで見れば標準的な敷金1ヶ月物件と大差ない場合がある。

さらに、敷金礼金ゼロ物件は家賃そのものが水準を上回る傾向がある。初期費用の軽減分が月額賃料に上乗せされているケースが多く、長期居住を前提とするならば、初期費用を支払う物件の方がトータルコストで有利となることがある。

保証会社の必須化も、敷金礼金ゼロ物件の増加と関連している。保証会社は賃料滞納リスクをカバーする仕組みであり、敷金の担保機能を一部代替する。ただし、保証会社への加入費用(初期費用0.5〜1ヶ月分、月額賃料の数%)は別途発生する。

敷金預かり証と預かり金の管理義務

敷金を預かる賃貸人(オーナー)は、預かり証の交付義務を負う。これは慣行として確立しており、預かり証には物件名、金額、預かり日、預かり者の氏名が明記される。

敷金の運用については、法的な運用制限はない。賃貸人は預かった敷金を自由に運用できるが、返還義務が生じた際に支払不能となるリスクを考慮する必要がある。実務上、敷金は別途管理されることが望ましい。

敷引特約については、関西圏を中心に採用されている。契約時に「敷金の◯◯%は返還しない」という条項を設定する。これは法的に有効であるが、契約書での明記が絶対要件となる。口頭での合意や、契約書の一般的な条項への含意では不十分である。

2026年現在、敷金のクレジットカード払いに対応する不動産会社が増加している。ただし、敷金・礼金・前家賃は大家への直接振込が基本であり、仲介手数料のみカード対応というケースが多い。分割払いの場合、2回払いなら手数料は発生しないが、リボ払いは年利15〜18%が適用される。

高級賃貸市場における保証金の特殊性

オフィスビルや商業施設の賃貸では、保証金の取り扱いに独自の慣行が存在する。賃料の6〜12ヶ月分を保証金として預かるケースが一般的であり、都心の一等地や大型ビルではさらに高額となる。

保証金の据置期間を設け、その後数年かけて返還する特約も有効である。例えば、契約満了後2年間は保証金を据え置き、以降3年かけて年1回に分けて返還する条項は、賃借人の債務残存リスクを考慮した合理的な設計と評価される。

この種の特約は、住宅賃貸よりも商業賃貸で頻繁に見られる。賃借人の事業継続性や、原状回復義務の履行状況を長期的に監視する必要があるためである。

Koukyuu は、港区・渋谷区・千代田区の高級賃貸物件において、敷金・保証金・礼金の条件を含む契約条項の精査を支援している。3億円以上の取引を対象とした賃貸借契約では、保証金の据置期間や敷引特約の有無が、数年単位のキャッシュフローに影響を及ぼす。

Koukyuu は麻布・広尾・白金をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)より。

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