
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
2026年地価公示(基準日:令和8年1月1日)によると、西麻布4丁目の公示地価は323万円/㎡、坪単価1,068万円に達した。前年比上昇率は+18.3%。港区内でも突出した伸びを示すこのエリアに、国内外の資産家が改めて注目している。
西麻布はどんな街か
西麻布は港区の南西部に位置し、六本木と広尾の間に広がる住宅地だ。行政区画は1丁目から4丁目まで存在し、六本木通りと外苑西通りに挟まれた地形が外部の喧騒を自然に遮断する。
街の性格を規定しているのが用途地域の指定だ。西麻布1丁目の大部分は第二種中高層住居専用地域(建蔽率60%・容積率300%)に指定されており、大規模商業施設の立地が制限されている。六本木の繁華性を徒歩圏内に持ちながら、自らは静寂を維持する。東京都心でこの条件を満たすエリアは限られる。
東京でセレブ街と呼ばれる地域は松濤・番町・白金台・南青山など複数存在する。その中で西麻布が際立つのは、都心機能へのアクセスと住環境の静粛性を同時に確保できる地理的条件にある。麻布の高級住宅街としては元麻布・南麻布も知名度が高いが、用途規制の厳格さと再開発ポテンシャルの両立という点で、西麻布は現在最も市場の評価が高い。
東京で1番住みやすい街はどこかという問いに対して、単一の答えは存在しない。ただし「都心アクセス・静粛性・生活利便性の三拍子」という基準を設けるなら、西麻布は上位に位置する。麻布十番商店街・広尾の商業集積・乃木坂の文化施設という個性の異なる街を徒歩圏内に持つ生活圏の厚みは、港区内でも際立っている。
駅アクセスと交通利便性
西麻布に「西麻布駅」は存在しない。最寄り駅は東京メトロ日比谷線の六本木駅と広尾駅、千代田線の乃木坂駅、大江戸線・南北線の麻布十番駅だ。西麻布交差点を起点とすると、六本木駅まで徒歩約10分、乃木坂駅まで徒歩約10分の距離にある。
首都高速3号渋谷線の高樹町出入口が至近に位置し、渋谷・新宿まで車で約15分、羽田空港まで約40分という立地は、専用車を日常的に使用する経営者層にとって実用的な条件だ。
地価と物件相場の現在地
2026年地価公示の西麻布2地点平均は坪単価889万円、前年比+17.21%。西麻布1丁目の地点(六本木駅から430m)は215万円/㎡、坪換算710万円で前年比+15.6%の上昇を記録した。2016年時点の同地点が119万円/㎡であったことを踏まえると、10年間で約1.8倍の水準に達している。5年連続の上昇継続中であり、調整局面の兆候は現時点で確認されていない。
東京カンテイが2026年3月24日に公表したデータでは、東京23区の中古マンション70㎡換算価格は2026年2月時点で1億2,349万円(前月比+1.9%、22ヵ月連続上昇)となっている。都心部では一部エリアで37ヵ月ぶりの在庫増加が観測されており、価格改定の動きが出始めている物件も存在する。西麻布の超優良立地物件への影響は軽微とみられるが、購入検討時のデューデリジェンスにおいて在庫動向の確認は欠かせない。
再開発が変える西麻布3丁目の将来像
西麻布3丁目北東地区の第一種市街地再開発事業が進行中だ。A街区は2025年3月に着工し、地上54階・最高高さ201.20mの超高層複合タワーとして2029年12月の竣工を予定している。住宅498戸に加え、商業・業務・ホテル機能を含む複合施設であり、六本木ヒルズに隣接する位置に建設されることから、完成後の周辺地価への影響は相当程度見込まれる。
2026年3月時点で建設工事は予定通り進行中だ。分譲価格の公式発表はまだないが、同規模・同立地の都心タワー物件の実勢から推算すると、上位階の坪単価は1,500万円を超える水準になる可能性が高い。近隣の麻布台ヒルズ(麻布台1丁目、2023年11月竣工)が周辺地価の押し上げ要因として機能してきた経緯を踏まえると、西麻布3丁目の竣工後も同様の波及効果が期待される。
物件選定で押さえるべき注意点
丁目による環境差が大きい。西麻布1丁目・2丁目は住居系用途地域の指定が厚く、静粛性が高い。3丁目・4丁目は六本木通りや外苑西通りに近く、交通量・夜間の人通りが増す。再開発後の3丁目は商業・ホテル機能が加わるため、現在の閑静な住環境が変化する可能性を織り込んだ上で購入判断を行うことが求められる。 日影規制と眺望の関係も確認が必要だ。第二種中高層住居専用地域では建物高さに一定の制限がかかるが、容積率300%の範囲内で高層化した物件では、隣接する超高層棟の建設によって日照・眺望条件が変化するケースがある。重要事項説明書の周辺開発計画の記載を精査することが前提となる。 賃料動向については、東京23区の賃料は2026年2月時点で5,149円/㎡(前月比+2.1%、5ヵ月連続上昇)を記録している。西麻布の高級賃貸マンションはこの水準を大幅に上回るが、再開発に伴う新規供給が今後数年で増加する局面では、賃料の上値が抑制される可能性もある。資産運用目的での購入を検討する場合、この点は投資効率の試算に反映させる必要がある。Koukyuu は西麻布・元麻布・北青山をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談はこちらから。
