
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
2026年5月、国土交通省が公表した令和8年度税制改正大綱は、新築住宅に対する固定資産税・都市計画税の減額措置を2031年3月31日まで5年間延長した。これまでの措置が2026年3月31日で終了する見込みだっただけに、富裕層の資産形成戦略に直結する。特に注目されるのは、減免対象となる床面積の下限が50㎡から40㎡に緩和された点と、認定長期優良住宅を取得した場合のマンション減免期間が7年間に設定されている点である。
2026年改正の核心、床面積40㎡と120㎡の境界線
令和8年度税制改正で最も実務に影響を与える変更は、居住用部分の床面積要件の緩和である。従来、新築住宅の固定資産税減免を受けるためには居住部分が50㎡以上必要だったが、2026年4月1日以降の新築物件は40㎡以上で適用される。
この緩和は東京の高級マンション市場に二つの意味を持つ。第一に、これまで減免対象外だったコンパクトな高級ワンルーム・1K物件が税制優遇の輪に組み込まれた点である。白金台や麻布十番、代官山周辺で開発が進む40㎡台のブランドマンションは、投資用としても自宅用としても税負担が軽減される。
第二の境界線は上限の120㎡である。減免対象となるのは1戸あたり120㎡までの居住部分に限定され、それを超える部分は通常税率が適用される。白金台のタワーマンションで200㎡を超える住戸を購入する場合、120㎡までは半額の税率、残り80㎡以上は全額の税負担が生じる計算になる。この点は、広大な住戸を検討する際の総保有コストシミュレーションで見落とされがちである。
マンションの5年減免と長期優良住宅の7年減免
新築マンションの固定資産税減免期間は、構造要件によって異なる。3階建て以上で耐火構造または準耐火構造のマンションは、一般の一戸建ての3年間に対し5年間の減免期間が設定されている。
さらに認定長期優良住宅の基準を満たし、国から認定を受けたマンションは減免期間が7年間に延長される。この2年の差は、3億円前後の高級マンションを保有する場合、固定資産税と都市計画税の合算で数百万円単位の差額に相当する。
長期優良住宅の認定基準は厳格である。主な要件として、躯体などの主要構造部の耐用年数が長期にわたること、定期的な点検・修繕計画の策定、省エネ性能・バリアフリー性能の確保などが挙げられる。2026年現在、港区の新築高級マンションの多くはこの認定取得を標準仕様としており、購入検討時に確認すべき重要スペックとなっている。
Koukyuuが扱う物件では、認定長期優良住宅の有無を初回資料に明示し、7年間の税負担シミュレーションを提示している。これにより、購入時の価格だけでなく、保有期間中の実質コストを比較検討できる。
住宅用地特例と小規模住宅用地の恒久優遇
マンションの固定資産税議論で見落とされがちなのが、敷地に対する住宅用地特例である。建物の減免とは別に、マンションが建つ土地自体にも固定資産税と都市計画税の軽減措置が適用される。
小規模住宅用地(200㎡までの居住用敷地)は、固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1に圧縮される。都市計画税については、東京23区では評価額の3分の1が課税標準だが、都独自の措置としてさらに2分の1が減額される。結果として、23区内の小規模住宅用地は都市計画税が評価額の6分の1の負担で済む。
この住宅用地特例は恒久措置であり、期限がない。マンションの1戸あたりの敷地持分割合は小さくなるため、高級タワーマンションの場合でも多くの住戸がこの小規模住宅用地の枠に収まる。200㎡を超える敷地持分を持つ住戸については、一般住宅用地の適用となり評価額の3分の1の圧縮率に変更される。
減免を失うリスク、特定空家指定と災害ハザードエリア
固定資産税の減免は自動的に適用されるものではなく、減免を失うリスクを理解しておく必要がある。最も重いリスクは、空家法に基づく特定空家の指定を受けた場合である。固定資産税の納税義務者に対し、市町村長から除却等の勧告が出され、これに従わない場合は特定空家に指定される。指定を受けると、住宅用地特例の適用がなくなり、税額が最大6倍に跳ね上がる。
2026年現在、東京都心部でも空家の増加が社会問題化しており、富裕層が投資用マンションを複数所有する場合は管理の怠慢が税負担の急増を招く。賃貸に出している場合でも、居住用部分が建物全体の2分の1未満になると減免対象外となるため、間取り変更や用途変更の際は注意が必要である。
また、土砂災害特別警戒区域や洪水浸水想定区域などの災害ハザードエリアでは、適正立地勧告に従わない建築は減免対象から除外される。白金台や麻布の一部地域では、この指定が該当するケースがあり、購入前のハザードマップ確認は必須である。
2026年の税負担シミュレーション、実額で見る減免効果
具体的な数値で減免効果を確認する。例として、港区の新築高級マンション、評価額1億5,000万円、専有面積100㎡、敷地持分50㎡の住戸を想定する。
固定資産税の標準税率は評価額の1.4%である。減免なしの場合、建物評価額1億円に対し年間140万円。減免適用で5年間は年間70万円となる。都市計画税は23区で0.3%の税率だが、小規模住宅用地の特例と都の減額措置が重なり、実質的な負担は評価額の0.05%程度に抑えられる。
認定長期優良住宅の場合、7年間の減免期間で単純計算140万円×7年=980万円の税負担が490万円に圧縮される。これに加え、不動産取得税の軽減措置(住宅用は評価額の3%から半額の1.5%に軽減)も適用されるため、購入時点での一時金負担も軽減される。
ただし、これらのシミュレーションは評価額が実勢価格の7割程度で設定される前提であり、2026年の公示地価上昇局面では、翌年の評価替え時に税額が増額する可能性がある。負担調整措置により急騰は抑制されるが、3年ごとの評価替えサイクルでの推移を見通す必要がある。
Koukyuu は港区・渋谷区・千代田区をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)はこちらより。
