マンション固定資産税が上がる理由と2026年の税額シミュレーション
マンション固定資産税が上がる理由と2026年の税額シミュレーション
Koukyuu Realty
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Koukyuu 宅地建物取引士 記事監修アドバイザー

Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修

港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

2021年竣工の分譲マンションを所有するオーナーは、2026年度の固定資産税納税通知書を受け取った時点で、建物分の税額がほぼ倍増していることに気づく。新築後5年間適用されてきた軽減措置が2026年度をもって終了するためだ。港区・渋谷区・千代田区など都心の高額物件では、その絶対額の変化が年間十数万円規模に達することも珍しくない。固定資産税がいくら上がるのか、なぜ上がるのか、どこで上がりやすいのかを正確に把握することは、資産保全と長期保有コスト管理の基本前提となる。


マンション固定資産税の基本構造と東京23区の実効税率

固定資産税は地方税法第350条に基づき、課税標準額に標準税率1.4%を乗じて算出する。東京23区では都市計画税(最大0.3%)が加算されるため、合算実効税率は1.7%となる。課税標準の基礎となる固定資産税評価額は、地価公示価格の約70%が目安とされており、購入価格とは異なる点に注意が必要だ。

建物の評価額は再建築価格に経年減点補正率を乗じて算出される。非木造建築物(マンション)の経年減点補正率は築年数とともに逓減し、最終的に0.2まで下がる仕組みだが、都心の高額マンションは土地持分の評価額が大きいため、建物評価額の減少だけで税負担が緩和されるわけではない。

土地部分については住宅用地の特例が恒久的に適用される。小規模住宅用地(200㎡以下)は固定資産税が評価額の1/6、都市計画税が1/3に軽減される。マンションは敷地を区分所有戸数で按分するため、多くの区分所有者がこの1/6軽減の適用を受ける。

建物を解体して更地にすると住宅用地の特例が失われ、土地分の税額が最大6倍に跳ね上がる。固定資産税が6倍になるのはこの仕組みによるものであり、相続対策で更地化を検討する際には必ず確認すべき事項だ。更地化後に固定資産税の負担が急増した事例は都心の不動産取引において繰り返し発生しており、この点を見落とすと保有コストの試算が大幅に狂う。

マンションの固定資産税はいくら?2026年の平均額・計算方法・価格帯別シミュレーションでは、評価額の算出ロジックをさらに詳細に解説している。

マンション固定資産税が上がった理由:新築軽減措置の終了

マンションの固定資産税が突然上がったと感じる最大の理由は、新築住宅に係る税額の減額措置(地方税法附則第15条の6)の終了だ。軽減措置が終了するのは特定の竣工年ごとに決まっており、だれが・どこで・いつ影響を受けるかは竣工年と認定区分によって異なる。

一般新築マンション(3階建以上)

新築後5年間、建物分の固定資産税が1/2に軽減される。6年目からは軽減が消滅し、建物分の税額が約2倍になる。2021年竣工物件であれば、2026年度が軽減終了の初年度に当たる。

認定長期優良住宅マンション

新築後7年間、建物分が1/2軽減される。8年目から通常税額へ戻る。2019年竣工の長期優良住宅認定マンションは、2026年度が軽減終了の初年度だ。

この制度の適用期限は令和8年度(2026年度)税制改正大綱において2031年3月31日まで延長されることが決定した。ただし、延長の恩恵を受けるのは2026年4月1日以降に新築された物件であり、既存の軽減期間が終了した物件には遡及適用されない。

軽減措置の終了は「評価額が上がった」わけではなく、課税の特例が外れることで本来の税額が顕在化するものだ。この違いを理解しておくと、不服申立ての要否を判断する際に混乱を避けられる。

竣工年と軽減終了年の対応

| 竣工年 | 一般マンション軽減終了 | 長期優良住宅軽減終了 |

|—|—|—|

| 2020年 | 2025年度 | 2027年度 |

| 2021年 | 2026年度 | 2028年度 |

| 2022年 | 2027年度 | 2029年度 |

| 2023年 | 2028年度 | 2030年度 |

新築マンション固定資産税の初年度:2026年の軽減措置・税額・納付スケジュールでは、竣工年別の軽減終了スケジュールを一覧で確認できる。

計算方法と価格帯別シミュレーション:4000万円のマンションはいくらか

固定資産税の計算ステップを整理する。

  • 固定資産税評価額(土地)=地価公示価格の約70%相当
  • 課税標準(土地)=評価額×1/6(小規模住宅用地の特例)
  • 固定資産税評価額(建物)=再建築価格×経年減点補正率
  • 課税標準(建物)=評価額(軽減措置適用中は×1/2)
  • 税額=(土地課税標準+建物課税標準)×1.4%(固定資産税)+×0.3%(都市計画税)
  • 東京23区・長期優良住宅認定マンションを前提に、購入価格別の固都税合計年額の目安を示す(土地評価額=購入価格の70%、建物評価額=購入価格の60%、経年減点補正率0.7866・築8年・非木造を使用した試算値)。

    | 購入価格 | 軽減期間中(年額) | 軽減終了後(年額) | 増加額 |

    |—|—|—|—|

    | 3,000万円 | 約14〜15万円 | 約18〜19万円 | 約4万円 |

    | 4,000万円 | 約17〜18万円 | 約22〜23万円 | 約5万円 |

    | 6,000万円 | 約28〜29万円 | 約36〜37万円 | 約8万円 |

    | 1億円 | 約46〜47万円 | 約58〜59万円 | 約12万円 |

    4,000万円のマンションの固定資産税がいくらかという問いに対しては、軽減期間中で年間17〜18万円、軽減終了後で22〜23万円が2026年時点の目安となる。どのぐらい上がるかという観点では、軽減終了によって建物分の税額が約2倍になるため、物件価格帯に応じて年間4〜12万円程度の増加が発生する計算だ。

    3億円を超える都心の高額マンションでは、軽減終了後の固都税年額が150万円を超えるケースも出てくる。購入価格3億円の物件であれば、軽減期間中の年額は約138〜140万円、終了後は約175〜180万円程度が目安となる。この差額を5年・10年単位でキャッシュフローに織り込んでおくことは、不動産投資の収益管理において基本的な作業だ。

    なお、これらはシミュレーション値であり、実際の税額は各区の課税明細書で確認する必要がある。


    どこで固定資産税が上がりやすいか:評価替えサイクルと地域差

    固定資産税評価額は地方税法第409条に基づき3年ごとに評価替えが行われる。直近の基準年度は令和6年(2024年)であり、令和6〜8年度(2024〜2026年度)は同一評価額が適用される。次回評価替えは令和9年(2027年)だ。

    2026年は評価替えの年ではないため、評価額の変動に起因する税額上昇は発生しない。固定資産税が上がる理由として評価替えを疑うオーナーは多いが、2026年度については軽減措置の終了が主因であり、評価額の変動は2027年度以降の問題となる。

    どこで上がりやすいかという観点では、地価が継続的に上昇している港区・渋谷区・千代田区が最も影響を受けやすい。2024年の基準年度においても、東京都心部の地価公示価格は前年比で3〜6%程度の上昇を示していた。2027年の評価替えでこの上昇が評価額に反映されれば、土地分の課税標準が段階的に引き上げられる。

    評価替え年以外の年度でも、負担調整措置によって課税標準が「本来額」に向けて段階的に近づく仕組みが機能しているため、評価替え年でなくても税額が小幅に上がるケースがある。納税通知書を見て「評価替えの年でもないのになぜ上がるのか」と疑問を持つオーナーが毎年一定数いる理由でもある。


    タワーマンション高層階:階層別補正と実税負担

    2017年度税制改正により、高さ60メートルを超える居住用超高層建築物の固定資産税・都市計画税に「階層別専有床面積補正率」が導入された(地方税法附則第18条の3、2018年1月1日以降の新築物件に適用)。

    1階を補正率100として、1階上がるごとに約0.26%(正確には10/39)が加算される。30階であれば補正率は約107.4、40階では約109.7となる。同じ専有面積・同じ評価額であっても、高層階ほど税負担が重くなる構造は2026年現在も継続している。

    麻布台ヒルズや六本木ヒルズ周辺の超高層住宅を検討するクライアントにとって、この補正率は購入価格に加えて必ず試算すべき変数だ。購入価格5億円・45階の区分所有であれば、補正率は約110.3となり、補正なしの場合と比べて建物分の課税標準が10%程度増加する。固都税の年額換算では数十万円規模の差が生じ得る。

    Koukyuu では、南青山・元麻布・西麻布などの超高層物件についても、取得前のデューデリジェンスの一環として固定資産税の詳細試算を実施している。


    管理計画認定・不服申立て・売却時の留意点

    管理計画認定と固定資産税優遇

    2022年に開始された管理計画認定制度では、修繕積立金の水準や管理組合の運営体制を自治体が認定し、翌年度の固定資産税を半減する優遇措置を実施している自治体がある。東京都内でも一部区が対応済みだ。国土交通省は新築分譲マンションを同制度の対象に追加する方針を示しており、2027年春にも導入予定とされている(日本経済新聞、2026年1月報道)。購入検討段階で管理計画認定の取得可否を確認することは、長期的な税負担の軽減において実効性のある手段となる。

    評価額への不服申立て

    評価額に異議がある場合、納税通知書受領翌日から3か月以内に固定資産評価審査委員会へ審査申出を行うことができる(地方税法第432条)。縦覧制度を利用すれば毎年4〜6月に市区町村税務課で他物件との評価額比較が可能だ。都心の高額不動産では、評価額が近隣の類似物件と比較して割高に設定されているケースが稀にある。課税通知書を受け取ったら、縦覧期間中に同等グレードの物件との比較を行うことを勧める。

    売却時の固定資産税精算

    不動産の売却時には、固定資産税・都市計画税を引渡し日基準で日割り精算するのが慣行だ。東京23区では1月1日時点の所有者に年額全額が課税されるため、年の途中で売却する場合は引渡し日以降の日数分を買主が負担する形で精算する。高額物件では固都税年額が100万円を超えるケースもあり、引渡し日のタイミングが精算額に大きく影響する。売却を検討する際には、納税通知書の到着(通常4〜6月)前後のスケジュールを意識することが実務的に重要だ。

    固定資産税の計算方法と2026年の制度詳細については、sr-corp.jpの解説も参照されたい。

    2026年の実務チェックポイント

    竣工年の確認 自身の物件の竣工年を確認し、軽減終了年度をキャッシュフロー計画に反映させることが第一歩だ。 2027年評価替えへの備え 都心の地価上昇が続く中、2027年度の固定資産税通知書は現在より高い評価額を反映する可能性が高い。港区・渋谷区・千代田区の住宅地では、2024年基準年度からの地価上昇幅が相当程度に達している地点が複数存在する。 タワーマンション購入時の試算 高さ60メートル超の物件では、階層別補正率を加味した固都税試算を取得前に行う。同じ専有面積でも30階と10階では税額が数十万円単位で異なる。 管理計画認定の確認 購入対象物件が管理計画認定を取得しているか、または取得見込みがあるかを確認する。認定取得物件であれば翌年度の固定資産税が半減される自治体もあり、長期保有コストに直結する。 不服申立て期限の管理 納税通知書受領後3か月が申立て期限だ。評価額に疑義がある場合は、縦覧期間(4〜6月)中に近隣物件との比較を済ませ、必要であれば期限内に審査申出を行う。

    固定資産税評価額は相続税評価における家屋の評価基準にも連動するため、評価替えのタイミングは相続対策の見直し時期としても機能する。これらの確認事項を体系的に管理することは、都心の高額不動産を複数保有するオーナーにとって、資産全体の税効率を最適化する上で基礎的な作業となる。


    Koukyuu は北青山・白金台・番町をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談はこちらから。

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