相続税法第13条の債務控除が、2026年の貸付用不動産評価見直しで複雑化する
相続税法第13条の債務控除が、2026年の貸付用不動産評価見直しで複雑化する
Koukyuu Realty
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2026年4月16日、令和8年度税制改正大綱が確定した。相続税評価額と実勢価格の乖離が最大だった貸付用不動産を巡り、相続開始前5年以内の取得物件について「取得価額の80%」という新評価方式が適用される。施行は2027年1月1日だが、2026年中の駆け込み取得・贈与が予想される一方、租税回避行為否認(総則6項)の適用リスクが指摘されている。

この評価方法の変更は、債務控除との組み合わせを狙った従来の節税構造を根底から揺さぶる。相続税法第13条・第14条に規定する債務控除は、表面的には単純な制度だが、富裕層の不動産相続においては見落としがちな落とし穴が複数存在する。

団体信用生命保険付きローンの見せかけの債務

港区や渋谷区の高級住宅・収益物件を購入する際、富裕層は多額の住宅ローンを組むことが多い。しかし、団体信用生命保険(団信)に加入しているローンについては、被相続人の死亡時点で保険金により自動完済されるため、債務控除の対象外となる。

実務上、これを見落とすケースが少なくない。金融機関から発行されるローン残高証明書をそのまま証拠として提出し、税務署から否認を受ける事例が後を絶たない。団信の有無は証明書だけでは判別できず、保険契約の個別確認が必要だ。

ペアローンや連帯債務の場合、負担割合の証明がさらに複雑化する。親子リレーローンでは、持分割合と返済義務の範囲を明確に文書化しておかないと、相続人間で争いが生じ、税務調査の対象となるリスクが高まる。

賃貸経営特有の前受家賃と預り金

高級マンションやビル賃貸を行う富裕層に多いのが、前受家賃の取り扱いだ。相続税法上、前受家債は債務控除の対象外となる。

具体例で示す。被相続人が6月20日に7月分賃料100万円を前受けし、6月25日に死亡した場合、相続人は賃借人に対して家賃を返す義務を負わない。前受家賃は確定した債務とは認められず、控除できないのである。

預り敷金・保証金については債務控除の対象となるが、高級賃貸物件で長期預かりする場合、将来の返還額を現在価値に割り引く必要がある。単純な簿価計上では過大控除となり、税務署から修正申告を求められるリスクがある。

限定承認のメリット:高級不動産を手元に残す先買権と2026年の活用戦略については別記事で詳述している。

2026年税制改正と貸付用不動産の評価方法

従来、貸付用不動産は路線価や固定資産税評価額を基準に相続税評価額が算定され、実勢価格の3〜5割程度まで圧縮できるケースが多かった。2026年税制改正では、この評価減と債務控除を組み合わせた節税効果が大幅に縮小する。

新ルールの対象となるのは、被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得または新築した貸付用不動産である。これらについては「取得価額の80%」で評価される。例えば、5億円で取得した物件は、従来なら路線価ベースで2億円程度まで評価減できた可能性があるが、新方式では4億円が評価額の下限となる。

不動産小口化商品については時価評価が原則となり、従来の節税構造が成立しにくくなる。2026年中に従来評価を活用しようとする駆け込み需要が予想されるが、総則6項による租税回避行為の否認を税務署から指摘されるリスクがある。

非課税財産と債務の二重取り扱い

富裕層が購入する墓地・仏壇などの祭祀財産は非課税財産に該当する。この購入代金の未払いは債務控除の対象外となる。非課税財産の取得と債務控除の両方を認めると「二重の利益」となり、課税公平性を損なうためだ。

同様の論理は、贈与税の非課税枠を活用した財産の移転にも適用される。生前贈与により非課税で移転した財産に関する債務を、相続税申告で控除しようとするケースは否認される。

海外居住者の制限納税義務者問題

海外居住の相続人が増える中で、制限納税義務者の要件が債務控除に影響を与えるケースがある。相続開始前10年以内に日本国内に住所がない場合、債務控除が制限・否定されることがある。

国籍と居住履歴、被相続人の属性により適格性が変動するため、事前の法的情報収集が必須だ。特に長期駐在後の帰国子女や、複数の居住国を持つグローバル富裕層は注意が必要である。

相続税納税資金の調達方法比較:2026年、延納の利子税0.4%が示す実務の落とし穴についても併せて確認すべきだ。

実務対応と文書化の重要性

債務控除を巡る紛争を避けるためには、被相続人の死亡時点における債務の確実性と金額の証明が不可欠だ。借入証書、賃貸借契約書、預り金証明書などの書類は、相続開始直後に収集・整理しておく必要がある。

特に2026年の税制改正を受け、従来の節税モデルが通用しなくなる中で、債務控除の正確な適用が税負担に与える影響は相対的に大きくなる。専門家によるデューデリジェンスと、税務署への事前照会も視野に入れるべきタイミングだ。

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