都心5区の公示地価上昇率が示す、資産価値の再定義
都心5区の公示地価上昇率が示す、資産価値の再定義
Koukyuu Realty
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港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

2026年1月に国土交通省が発表した公示地価は、都心5区の資産価値の再定義を示している。千代田・中央・港・新宿・渋谷の5区平均は前年比+12%。残る18区の平均+7.4%を大きく上回る水準である。

この乖離は単なる価格差ではない。投資対象としての性質、流動性、リスク特性において、都心5区とその外側で明確な境界が生まれている。

公示地価の数字が示すエリア別の実態

港区:+15.0%の急騰と二つの顔

港区は都心5区の中で最も高い上昇率を記録した。高輪・虎ノ門エリアでは20%を超える上昇地点が複数存在する。麻布台ヒルズや虎ノ門ヒルズの開発効果が地価に直結した典型例である。

一方で、品川駅周辺は異なる動きを見せている。2026年2月のオフィス賃料データでは、品川区は主要7区の中で唯一下落した。高輪ゲートウェイ駅開業後の供給集中が、賃料形成に影響を与えている。

投資家が注視すべきは、この「二極化」の持続性である。新開発エリアの資産価値は、テナント品質と入居率で検証される段階に入っている。

渋谷区:桜丘町+28.99%の背景

渋谷区桜丘町が全国の上昇率1位となった+28.99%は、サクラステージを中心とした再開発の影響である。しかし、この数字には投資判断上の注意が必要だ。

公示地価の急騰は、将来の収益性を保証するものではない。渋谷駅周辺では2024年から2026年にかけて大規模な供給が集中している。競合物件の増加は、賃料上昇率を圧迫するリスクを内包する。

東京の高級住宅街2026年:三大エリアの現在地と富裕層の選定基準では、渋谷区の住宅地と商業地の特性を詳述している。

中央区・千代田区:商業地の回復と限界

中央区は+13.5%で、銀座エリアが全国最高地価6,710万円/㎡を記録した。インバウンド需要の回復が商業地価を押し上げている。

千代田区は+12.8%だが、観測地点の88%が商業地である。2021年以降、商業地の回復は住宅地に比べて遅れていた。現在の上昇は「追いつき」の側面があり、今後の持続性は個別地点のテナント品質に依存する。

丸の内・大手町のオフィスビルは堅調を維持するが、賃料上昇率は2025年のピークから鈍化している。三菱地所のレポートによれば、2026年2月の潜在空室率は2.47%と2か月連続で上昇している。

マンション市場の構造変化

築20年未満物件の優位性

2025年の首都圏新築マンションは、平均坪単価が前年比+16.9%と急騰した。平均専有面積は61.81㎡へと2.9%拡大している。

この価格上昇の中で、中古市場では築20年未満物件の成約割合が際立っている。築年数の浅い物件は、資産価値の減耗が抑制され、再流通時の流動性が確保しやすい。

特筆すべきは、竣工1年以内の短期転売が2024年から2025年に急増した点である。投機的な買いが価格を押し上げた側面があり、2026年以降は実需の消化力が試される。

都心5区の値下げ率拡大

2026年第1四半期のデータでは、都心5区の中古マンション値下げ率が前四半期の5.77%から拡大した。これは価格調整が進行していることを示唆する。

売り手側の期待値と買い手の支払能力のミスマッチが、成約に時間を要する状況を生んでいる。投資家にとっては、適正価格でのエントリー機会が増えているとも読める。

オフィス賃貸市場の現在

賃料上昇の鈍化と空室率の上昇

2026年2月の東京都心5区のオフィス賃料は、品川区を除き全区で上昇を維持している。しかし、潜在空室率の上昇が継続している。

千代田区は前月比で2,922円の大幅上昇を記録した。一方、新築ビルの供給集中エリアでは、入居率の確保に時間を要するケースが散見される。

オフィス投資の利回りは、賃料上昇率だけでなく、空室リスクとテナントクレジットの両面で評価する必要がある。築年数の浅いビルほど、初年度の満室想定と実績の乖離が大きくなりやすい。

品川区の下落と投資判断

品川区のオフィス賃料下落は、供給過剰の構造的問題を示している。品川新駅の開業見込みは2020年代後半に先送りされ、開発効果の実現が遅れている。

投資家は、再開発ストーリーと実際の賃料形成を峻別する必要がある。計画段階のインフラは、確定した需要を生まない。

周辺エリアの投資効率比較

城東エリアのキャップレート

都心5区と比較して、城東エリア(台東・墨田・江東・目黒・品川・大田・世田谷・渋谷・新宿・豊島・文京の一部)はキャップレートが4.0〜4.5%とやや高い。

利回り重視の投資家にとって、この差は無視できない。ただし、資産価値の安定性では都心5区が優位であり、ポートフォリオ全体のリスク調整として両者を組み合わせる戦略も有効である。

中野区・台東区の異彩

2025年公示地価では、中野区が+34.7%と突出した上昇を示した。区役所移転と大規模複合開発の期待が先行している。

台東区も+14.8%と高い伸びを記録。浅草のインバウンド効果が住宅地価に波及している。

これらのエリアは、都心5区の「セカンドベスト」として20〜30%割安で同等の居住性を確保できるケースがある。ただし、流動性と資産価値の安定性では、都心5区との差は縮まっていない。

2026年の投資戦略のポイント

実需と投機の乖離への対応

都心5区では、世帯増加率と価格高騰率の乖離が進行している。人口動態を上回る資産価格の上昇は、投機的な需給バランスを反映している。

投資家は、賃貸需要の実態を個別物件で検証する必要がある。特にワンルーム・コンパクトタイプは、実需の影響を受けやすい。

2026年公示地価:東京23区の1㎡単価ランキングと全国最高価格地点の分析で、個別地点の数値を確認できる。

相続税評価額との関係

公示地価の上昇は、相続税評価額の増加を意味する。都心5区の物件は、実勢価格と相続税評価額の乖離が大きい傾向にある。

この乖離は節税効果を生む一面があるが、相続発生時の税額負担を正確に見積もる必要がある。特に築年数の浅い高額物件は、評価額の算定方法に注意が必要だ。

再開発エリアのリスク管理

虎ノ門・高輪・渋谷・歌舞伎町など、大規模再開発が進行するエリアでは、供給集中による競合リスクが顕在化しつつある。

投資判断では、「開発計画」の魅力ではなく、「完成後の収益性」を中心に置く。テナント品質、入居率、賃料水準の実績が、資産価値を支える最終的な指標となる。

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Koukyuu は麻布・広尾・白金・港区・渋谷区・千代田区をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)はこちらより。

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