2026年東京の地価は8.4%上昇、銀座と港区が牽引する都心の再編成
2026年東京の地価は8.4%上昇、銀座と港区が牽引する都心の再編成
Koukyuu Realty
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港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

東京の地価、5年連続上昇で伸び率が加速する

国土交通省が2026年3月17日に発表した令和8年公示地価(1月1日時点)は、東京都全用途平均で前年比8.4%の上昇を記録した。5年連続のプラスだが、前年の7.3%から伸び率そのものが拡大したことが注目される。調査対象2,560地点のうち97.7%にあたる2,445地点で価格が上昇し、下落は14地点にとどまった。バブル崩壊後の1992年以降、これほどの上昇幅は記録されていない。

東京都内の地価動向は、単なる市場回復ではなく、用途別・地区別の構造的な再編を示唆している。住宅地が6.5%の上昇(前年5.7%)に留まる一方、商業地は12.2%(前年10.4%)と倍近い伸びを記録した。この乖離は、訪日客の回復とそれに伴う都心部出店需要、駅周辺の大規模再開発、そして店舗併用マンションという新たな資産形態の台頭を映している。

富裕層が不動産投資判断を下す際、公示地価は相続税評価額の基準となり、実勢価格の妥当性を測る参照点となる。2026年の東京の数字は、単に「上がった」という事実ではなく、どこが、どの程度、なぜ上昇したのかを精密に読み解く必要がある。

銀座と中央区商業地、最高額を更新

中央区銀座4丁目2番4の店舗は、1㎡あたり6,710万円に達した。坪単価に換算すると約2.22億円である。前年比10.91%の上昇で、商業地としての求心力が衰えていないことを示す。銀座5丁目4番3が5,700万円/㎡、銀座2丁目6番7が4,960万円/㎡で続く。

銀座の地価上昇を牽引しているのは、訪日客の急速な回復とそれに伴う高級ブランド店舗、飲食店、ホテルの出店ラッシュである。2025年の訪日客数が過去最高を更新した後、2026年上半期も堅調に推移している。大手百貨店や高級ホテルチェーンが銀座での新規プロジェクトを相次いで発表し、その結果が地価に反映された形だ。

商業地の全国平均上昇率は2.8%に留まるのに対し、東京都商業地全体の12.2%上昇は、東京が訪日客需要の集中地として機能していることを端的に示す。中でも中央区の商業地上昇率は18.5%に達し、東京全体を大きく上回った。

港区の住宅地が16.6%上昇、高輪ゲートウェイと麻布台ヒルズの効果継続

住宅地の上昇率では、港区が最も高い16.6%を記録した。前年12.7%からの加速である。この背景には、高輪ゲートウェイ駅周辺の大型複合開発の完成・運用、そして2023年竣工の麻布台ヒルズの市場への定着がある。

麻布台ヒルズは、東京で最大級の大型複合開発として、住宅、商業、文化施設を統合した。竣工から3年を経た2026年時点で、その周辺地域の地価が本格的に上昇する局面に入った。麻布十番を含む麻布地区の坪単価は1,725万円に到達し、港区内でも最上位クラスに位置する。

港区全体では、商業地も15.0%の上昇(前年13.1%)を記録し、住宅地との乖離が小さい。これは港区が、単なる住宅地ではなく、働く場所・消費する場所としても再評価されていることを示唆している。麻布・広尾・白金といった従来の高級住宅街に加え、六本木ヒルズ周辺や赤坂の商業機能が一体となった地域としての価値が高まっている。

Koukyuu が対象とする麻布・広尾・白金のエリアでは、この地価上昇が実勢価格にどう反映されるかが、買主にとって重要な判断材料となる。相続税評価額の上昇に伴い、資産保全戦略も変わる可能性がある。

台東区の商業地が19.1%上昇、インバウンド需要の集中

上昇率の最高値は、台東区の商業地19.1%である。浅草・上野・スカイツリー周辺の観光需要が、直結した商業地価に反映された結果だ。台東区浅草1-1-2の店舗は、1㎡あたり915万円で前年比27.62%の上昇を記録した。

浅草は、訪日客の最重要目的地の一つである。2025年の訪日客数が3,000万人を超えた後、2026年も同等水準が維持されている。それに伴い、飲食店、土産物店、宿泊施設の需要が集中し、不動産投資家からの買い需要も高まった。台東区全体の住宅地上昇率も14.2%と高く、観光地としての機能が周辺住宅地の価値向上にも波及している。

この現象は、東京の地価上昇が均質ではなく、訪日客・観光需要の集中する地域に極度に偏っていることを示す。銀座・浅草・渋谷といった都心観光商業地と、麻布・広尾・白金といった高級住宅地の二つの軸が、2026年の東京地価の構図を形作っている。

区部全体と多摩地区の乖離が拡大

東京都区部(23区)の住宅地上昇率は9.0%(前年7.9%)、商業地は13.8%(前年11.8%)に達した。一方、多摩地区は住宅地3.9%(前年3.4%)、商業地6.0%(前年5.3%)に留まり、乖離が顕著である。

多摩地区で上昇率が高いのは、国分寺市(住宅地7.2%)、国立市(7.1%)、立川市(7.0%)である。立川市は商業地でも9.8%と多摩地区最高で、中央線・京王線の駅前再開発がけん引している。ただし、これらの上昇率も区部の主要エリアには及ばない。

富裕層の投資判断では、この地域間格差が重要な意味を持つ。都心3区(千代田・中央・港)への資金集中が続く一方、多摩地区への投資は分散的で、流動性の観点からも都心部が有利という評価が定着しつつある。相続対策の観点からも、都心部の不動産は評価額と実勢価格の乖離が大きくなりやすく、節税効果が高まる傾向がある。

文京区・品川区・渋谷区、13~15%の上昇で構造的な再編を示唆

文京区は住宅地13.9%、商業地17.8%の上昇を記録した。本郷・白山地区は、東京大学をはじめとした文教機関と医療機関の集積地であり、その周辺の不動産価値が向上している。医師や研究者といった高所得層の需要が、住宅地の堅調な上昇を支えている。

品川区も住宅地13.9%、商業地15.0%で、大規模再開発の継続と品川駅周辺の機能強化が要因である。品川は国際的なビジネスハブとしての位置づけが強まり、外資系企業の拠点移転に伴う従業員向け住宅需要が増加している。

渋谷区は全用途12.5%の上昇で、渋谷駅周辺の大規模再開発が2024年に完了した後も、上昇率が衰えていない。これは再開発による付加価値が定着し、新しい消費・就業の場として機能していることを示す。

東京の高級住宅街2026年:三大エリアの現在地と富裕層の選定基準 でも詳述したが、港区・文京区・品川区といった区が、住宅地と商業地の両面で二桁上昇を達成する現象は、東京の不動産市場が従来の「住宅地」と「商業地」の境界を越え、働く・住む・消費する機能が統合された地域を高く評価していることを意味する。

相続税評価額と実勢価格の乖離が最大化する局面

公示地価の上昇に伴い、相続税評価額(路線価)も上昇する。2026年の路線価は公示地価の約80%を基準に決定されるため、港区・台東区・渋谷区といった高上昇率エリアでは、相続税評価額も大幅に上昇することが確定している。

一方、実勢価格は公示地価以上に上昇している可能性が高い。特に港区の麻布・広尾・白金といった一等地では、投資家・外資系企業幹部・医師といった高所得層からの需要が集中し、公示地価を上回る価格での取引が常態化している。この乖離が大きいほど、相続税評価額に対する実勢価格の比率が高くなり、相続対策としての不動産の効率性が高まる。

2026年公示地価:東京23区の1㎡単価ランキングと全国最高価格地点の分析 では、この乖離を詳細に分析しているが、富裕層が不動産を購入する際には、公示地価だけでなく、その背後にある需給構造と実勢価格の関係を理解することが不可欠である。

2026年の東京地価は、投資効率の再考を迫る転機

令和8年公示地価で東京が8.4%の上昇を記録したことは、市場が堅調であることを示す一方で、既に相当な価格上昇が実現した後の局面であることも意味する。銀座の坪単価2.22億円、港区麻布の坪単価1,725万円といった水準は、これ以上の上昇が物理的に難しい領域に入りつつある。

富裕層にとって重要なのは、今後の価格上昇を期待することではなく、現在の価格水準が相続税評価額・法人スキーム・流動化リスクの観点からどう機能するかを精密に評価することである。訪日客需要に支えられた銀座の商業地、再開発完成後の港区住宅地、観光集中による台東区商業地といった各エリアの特性を踏まえ、自らの資産保全目標に合致した選別が求められる時期に入った。

Koukyuu は港区・渋谷区・千代田区をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当し、公示地価と実勢価格の乖離、相続税評価額、法人スキームといった複合的な判断をサポートします。個別のご相談)より、お気軽にお問い合わせください。

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