
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
国土交通省が2025年11月に公表した調査によれば、2025年1月から6月の間に東京都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)で新築マンションを取得した海外居住者の割合は約7.5%に達した。対象は保存登記された約55万戸に及ぶ大規模な調査であり、2026年4月時点における外国人の不動産購入をめぐる制度環境は、この数字が示す以上に複雑な変化の途上にある。法改正の動向、実務上の必要書類、登記の手順、価格への影響について、現時点の事実に基づいて解説する。
外国人は日本で不動産を購入できるか
結論から述べる。日本の法律は、外国人による不動産購入を原則として制限していない。居住資格の有無、国籍の種別にかかわらず、個人として土地・建物の所有権を取得できる。一軒家(戸建て)でも区分マンションでも同様であり、永住権を持たない外国人も売買契約の当事者になれる。外国人が日本で家を購入することは、制度上、現時点で禁止されていない。
適用される法律は複数存在する。外国為替及び外国貿易法(外為法)は、海外居住者が日本国内の不動産を取得した場合に日本銀行への報告義務を課している。2026年4月からは省令改正により、投資目的に限らず居住用途も含む広範な取得が報告対象に加わった。重要土地等調査法は、自衛隊施設・原子力発電所等の周辺区域や国境離島において、外国人を含む土地取得者への調査権限を国に付与している。
2025年7月に施行された国土利用計画法の改正では、大規模土地取得の届出時に国籍記載が義務化された。対象は市街化区域内2,000㎡以上、都市計画区域外1万㎡以上の取引であり、東京都心部の区分マンション売買は通常この規模に該当しないが、一棟買いや大規模な商業用地取得では届出が必要になる。
日本不動産への外国人投資動向2026年:2.4兆円の資金流入が東京市場を動かす構造では、こうした資金流入の全体像と市場への影響を詳細に分析している。外国人の不動産購入規制はいつ変わるか
2026年4月時点で確定している制度変更と、現在進行中の議論を整理して解説する。
施行済みの変更として、外為法省令改正(2026年4月施行)により、海外居住者が居住用を含む日本の不動産を取得した場合の報告義務が拡大した。国土利用計画法改正(2025年7月施行)により、大規模土地取得時の国籍記載が義務化された。 調整中の変更として、不動産登記時の国籍記載義務化が2026年度中の運用開始を目標に検討されている。日本経済新聞の報道(2025年12月)によれば、政府は2026年度中の運用開始を目指しているが、根拠法令の整備状況によっては施行時期がずれ込む可能性がある。本稿執筆時点(2026年4月26日)では確定していない。 業界自主規制として、不動産協会加盟約160社が引き渡し前転売禁止の新方針を策定した。法律上の強制力を持つものではないが、主要デベロッパーが加盟しているため、新築分譲市場における実質的な拘束力は高い。現行の規制は外国人による不動産取得を禁止・制限するものではなく、報告義務と情報把握の強化を主眼としている。規制強化の方向性は「禁止」ではなく「透明性向上」に重心がある。登記時の国籍記載義務化が実現すれば、取引データの蓄積によって今後の政策判断が変わる可能性は排除できない。外国人不動産購入規制がいつ、どのような形で強化されるかは、2026年度の国会審議と省令整備の進捗に依存している。
不動産の三大タブーと外国人購入の実態
不動産取引における三大タブーとして業界内で語られるのは、心理的瑕疵(事故物件)、境界未確定、そして違法建築の三点である。外国人購入者がこれらのリスクを見落としやすい背景には、重要事項説明の内容を母国語で十分に理解できないまま契約に至るケースがある。宅地建物取引業法に基づく重要事項説明は、宅建士が記名した書面を交付して口頭で説明する義務があり、売主・買主のいずれかが外国人である場合もこの手続きに例外はない。三大タブーに該当する物件は、価格が市場相場を大きく下回るケースが多く、相場感のない外国人購入者が割安物件として誤認するリスクが高い。
「外国人の不動産購入が東京の価格高騰を招いている」という言説は、国交省の調査データによって支持されていない。同調査では、都心6区における2億円以上の高額物件について、国外居住者が活発に短期売買している傾向は特に見られないと明記されている。短期売買(購入後1年以内の転売)の割合を見ると、東京23区では国内居住者が9.4%、国外居住者が7.0%であり、外国人よりも日本人の転売率が高い。価格上昇の主因として専門家が挙げるのは、建設資材・人件費の上昇、都心部の用地供給制約、国内の実需層による底堅い購入意欲、そして長期にわたる金融緩和政策である。
ただし、新宿区については2025年1月から6月の海外居住者取得割合が14.6%と突出しており、前年同期の1.7%から急増している。この数字は区分マンション市場における局所的な集中を示しており、規制論議の焦点の一つになっている。
国交省の調査報告(2025年11月公表)は、三大都市圏と地方四市を対象とした約55万戸分のデータを根拠としており、現時点で最も信頼性の高い一次情報である。不動産購入に必要な書類と登記の手順
外国人が日本国内で不動産を購入する際に必要な書類は、国内居住者のそれと基本構造は同じだが、本人確認書類と印鑑証明の取り扱いに実務上の注意が必要になる。
売買契約時の必要書類
売買契約の締結には、以下の書類が一般的に求められる。
- パスポート(有効なもの)
- 在留カード(日本国内に住所を持つ場合)
- 在留資格の証明書類(ビザの種別によって異なる)
- 住所証明書類(住民票または国外の公的住所証明)
国内に住民登録がある外国人は住民票を取得できるため、手続きは日本人とほぼ同等になる。海外居住者の場合、住所証明として本国の公的書類(宣誓供述書・公証済みの住所証明等)が必要になるケースが多く、書類の準備に数週間を要することがある。
登記申請時の必要書類
所有権移転登記の申請には、印鑑証明書に相当する書類が必要になる。日本国内に住民登録がある場合は市区町村発行の印鑑証明書を使用できる。海外居住者の場合は、本国の公証人(ノータリー)が認証したサイン証明書(署名証明書)が代替書類として認められる。在外公館(日本大使館・領事館)で発行するサイン証明書を用いる方法が実務上最も確実であり、発行には通常1週間から2週間程度の余裕を見ておく必要がある。
登記申請は法務局に対して行う。2026年4月時点では、不動産登記時の国籍記載義務化は「調整中」の段階であり、根拠法令と施行日は未確定である。
不動産購入の手続き期間|2026年の実務スケジュールと契約から引渡しまでの日数では、売買契約から引渡しまでの標準的なタイムラインを実務ベースで整理している。外国人売主から不動産を購入できるか
外国人が売主である不動産を購入することは可能であり、手続き上の禁止事項はない。ただし、買主側に特有の注意事項が生じる。
最大の実務論点は源泉徴収の問題である。非居住者(国内に住所を持たない外国人)が日本の不動産を売却した場合、売買代金の10.21%を買主が源泉徴収して税務署に納付する義務が生じる。売買代金が1億円以下かつ買主が自己居住用として取得する場合は例外規定が適用されるが、3億円以上の取引では原則として源泉徴収が必要になる。この手続きを怠ると、買主が追徴課税を受けるリスクがある。
売主が国内居住者か非居住者かの確認は、住民票または在留カードの提示によって行う。外国人売主の場合、登記済権利証(または登記識別情報)の確認に加え、本国での公証書類が必要になるケースがあり、引渡しまでの期間が通常より長くなることを前提にスケジュールを組む必要がある。
3億円以上の物件取得における実務上の論点
東京都心部で3億円を超える物件を取得する外国人にとって、実務上の論点は価格交渉や書類準備にとどまらない。
資金の出所証明(AML対応)は、2026年現在、国内の金融機関・不動産会社が取引開始時に求める標準的な手続きになっている。海外送金を伴う取引では、送金元の銀行口座の確認書類、資金の合法性を示す書類(税務申告書・法人決算書等)の提出を求められることが多い。準備が不十分なまま交渉を進めると、契約直前に手続きが滞るリスクがある。
固定資産税・都市計画税は、外国人所有者にも同様に課税される。港区の新築マンションを例に取ると、固定資産税評価額は市場価格の概ね60〜70%程度で設定されることが多く、年間の税負担は物件価格の0.3〜0.5%程度が目安になる。5億円の物件であれば年間150万円から250万円の税負担を見込む必要がある。
相続税の観点では、外国人であっても日本国内に所在する不動産は日本の相続税の課税対象になる。被相続人・相続人の居住状況によって課税範囲が異なるため、取得前に税理士との確認が必要な論点である。
日本と海外の不動産投資:2026年の構造的違いと資産配分の論点では、こうした制度変化を踏まえた資産配分の考え方について詳しく論じている。購入判断における実務上の優先事項
2026年の東京都心部不動産市場において、外国人購入者が直面する実務上の最大の課題は、複数の手続きを並行して進めるための情報整理と、適切な専門家の確保にある。以下の三点を優先的に確認することを推奨する。
書類準備の先行着手:海外居住者の場合、サイン証明書の取得や本国公証書類の準備に2〜4週間を要する。物件選定と並行して書類の準備を開始しないと、契約後の引渡しスケジュールに支障が生じる。 資金経路の事前整理:海外からの送金を伴う取引では、AML対応書類の準備を金融機関・不動産会社との交渉開始前に完了させておく。3億円以上の取引では特に重要である。 専門家の早期確保:宅建士による重要事項説明は売買の法定要件であり、書類の不備や手続きの遅延は契約の履行に直接影響する。外国人取引の実務経験がある宅建士・税理士・司法書士をチームとして確保することが、取引完了までの最短経路になる。Koukyuu では、港区・渋谷区・千代田区をはじめとする東京都心部において、外国人クライアントを含む購入者の個別相談に対応している。一般公開されていない案件を含め、クライアントの要件に基づいた候補のみを提示する体制を取っている。
Koukyuu は港区・渋谷区・千代田区をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談はこちらから。
