家族信託の費用と落とし穴(2026年最新)
家族信託の費用と落とし穴(2026年最新)
Koukyuu Realty
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家族信託にかかる費用の全体像(2026年最新)

2026年4月1日以降、土地・建物ともに信託登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%が適用される。軽減措置(0.3%)は2026年3月31日に期限を迎えており、港区や渋谷区で評価額3億円超の土地を保有する場合、この0.1%の差だけで30万円以上の追加コストになる。家族信託の設定を検討するなら、かかる費用の全体像を正確に把握したうえで判断することが出発点となる。

家族信託は信託法(平成18年法律第108号)に基づく民事信託の一形態であり、委託者が受託者に財産管理を委ねる仕組みだ。不動産を信託財産に含める場合、公正証書の作成・信託登記申請・信託口口座の開設と手続きが続き、各段階で費用が発生する。


家族信託の平均的な費用はいくらか

不動産を含む家族信託の初期費用は、以下の四項目で構成される。

専門家報酬(コンサルティング+契約書作成)

司法書士・弁護士への報酬は信託財産額の1.1%が目安で、最低報酬は33万円程度。信託契約書の作成費用として11〜16.5万円が加算される。受益者連続型の設計や複数物件では別途加算が生じる。

公正証書作成手数料

公証役場への手数料は信託財産額に応じて3〜11万円程度。法令上の義務ではないが、信託口口座の開設要件として金融機関が公正証書を求めるケースが大半であり、実務上は省略できない。

登録免許税

2026年4月以降は土地・建物ともに固定資産税評価額の0.4%。評価額5億円の土地なら信託登記の登録免許税だけで200万円になる。

司法書士の登記報酬

信託登記の申請は司法書士が担当し、1件あたり11〜16.5万円程度の報酬が発生する。物件が複数ある場合は件数分が積み上がる。

これらを合算すると、中規模の案件で初期費用の合計は50〜100万円超が標準的な水準だ。これが家族信託の平均的な費用の目安となる。


家族信託の費用は誰が払うのか

設定時にかかる費用は原則として委託者が負担する。司法書士への報酬・公正証書の手数料・信託登記にともなう登録免許税のいずれも、信託を設定する委託者側のコストとして計上される。

信託設定後の管理費用(固定資産税・修繕費・専門家報酬等)は、信託財産から支出するか受益者が負担するかを信託契約書に明記しておくことがトラブル回避の基本だ。受託者が無報酬か有報酬かについても、契約書に明確な条項を設けることが求められる。この点を曖昧にしたまま設定すると、後から家族間の費用負担をめぐる紛争に発展するリスクがある。


家族信託の30年ルールとは

信託法第91条に基づき、受益者連続型信託の存続期間は信託設定から30年を上限とする制限がある。30年経過後に受益権を取得した者が死亡した時点で信託は終了する。二世代・三世代にわたる財産承継を設計する場合、この30年という期間制限を前提に帰属先を明確にしておく必要がある。設計段階でこの上限を考慮せずに信託を組むと、想定した承継が途中で機能しなくなる。


家族信託の落とし穴:富裕層が見落としやすい税務・実務上のリスク

損益通算の制限

信託不動産の赤字は、他の不動産所得や給与所得との損益通算ができない。翌年への繰越も認められない(租税特別措置法第41条の4の2)。複数の収益物件を保有する投資家にとって、信託財産の組み合わせを慎重に検討すべき最大の理由がここにある。

空き家特例の適用除外

信託終了後に受益者や相続人へ帰属した不動産は、相続した空き家の3,000万円特別控除の対象外となる。昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の物件を信託財産に組み入れる場合は特に注意が必要だ。

ローン付き不動産の扱い

住宅ローンや不動産担保ローンが残っている物件は、債務を信託財産に含めることができない。金融機関の承諾を得るか、ローンを完済・借換えしてから信託設定するかの判断が必要であり、承諾を得られない場合は当該物件を信託財産から除外せざるを得ない。

信託計算書の提出義務

信託不動産から年間3万円以上の収益が生じる場合、受託者は毎年1月31日までに税務署へ「信託の計算書」および「信託の計算書合計表」を提出しなければならない(所得税法第227条)。この義務を失念すると税務上のリスクが生じる。

農地は原則として信託不可

農地は農地法の制約により、原則として信託財産に組み入れることができない。宅地転用の許可を取得した後に信託設定するか、農地のまま別の相続対策を講じる必要がある。

節税効果はない

家族信託の設定後も、信託財産の相続税評価額は変動しない。信託は財産管理の仕組みであり、節税効果を直接もたらすものではない。相続税の圧縮には、生前贈与や生命保険の活用など別途の対策が必要となる。不動産の生前贈与にかかる税金と費用の整理も合わせて参照されたい。


費用対効果の判断基準

初期費用50〜100万円超という水準は、認知症リスクによる資産凍結を防ぐコストとして評価するのが実務的な視点だ。委託者が判断能力を失った後に不動産の売却や賃貸借契約の更新が必要になった場合、成年後見制度を利用すれば家庭裁判所への申立費用と月額数万円の後見人報酬が継続的に発生する。長期的なキャッシュフローで比較すると、家族信託の設定コストは合理的な水準に収まるケースが多い。

港区・渋谷区・千代田区のような高額地価エリアで複数物件を保有する場合、司法書士へのコンサルティング費用に対する投資対効果は特に大きい。信託設計の精度が低いと、損益通算の制限や空き家特例の適用除外といった税務上のデメリットが顕在化する。専門家への相談費用を省いて自己流で設計することは、後から修正のきかないリスクを抱えることになる。

Koukyuu では、麻布・白金台・元麻布をはじめとする東京の格式ある住宅地において、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーとして、初回相談から引渡しまで有資格の宅建士本人が一貫して担当する。家族信託の設定を前提とした不動産取得・資産組み替えについての個別のご相談はお気軽にどうぞ。

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