宅建士重説の2026年最新実務:改正対応と高額取引で確認すべき論点
宅建士重説の2026年最新実務:改正対応と高額取引で確認すべき論点
Koukyuu Realty
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Koukyuu 宅地建物取引士 記事監修アドバイザー

Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修

港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

2026年3月27日、住生活基本計画が閣議決定された。脱炭素化と既存住宅ストックの流通促進を柱とするこの計画は、重要事項説明の実務に直接影響する。同月には大和総研が「課税時期前5年以内に取得した貸付用不動産を時価評価とする」改正方針を報告し、投資用不動産を保有する富裕層の間で重説時の告知義務に関する関心が高まっている。宅建士による重要事項説明は、単なる法定手続きを超えた取引上の判断材料として、2026年の東京高額不動産市場でその重みを増している。

2025年・2026年施行の改正事項:実務書類への影響

重要事項説明をめぐる法令は、この2年間で複数の改正が重なった。実務担当者が最初に確認すべきは、2025年6月1日施行の刑法改正に伴う欠格事由の文言変更である。

宅建業法第5条第1項第5号(免許)および第18条第1項第6号(宅建士登録)における欠格事由の表記が、「禁錮以上の刑」から「拘禁刑以上の刑」に変更された。懲役刑と禁錮刑が廃止・統合されて「拘禁刑」に一本化されたことによる整合的な改正であり、既存の重説チェックリストや社内書式に旧文言が残っている場合は速やかに更新が必要だ。

宅建業法施行規則の改正(2025年施行)では、重説記載事項にも変更が加わった。事務所標識における専任宅建士の記載が「氏名」から「人数と代表者氏名」に変わり、業者名簿・従業者名簿への住所・性別・生年月日の記載が不要となった。また、建物状況調査(インスペクション)の有効期間については、共同住宅のみ2年以内に延長された。戸建住宅は従来どおり1年以内のままである。この区分は、マンション取引と戸建取引が混在するポートフォリオを持つ投資家にとって、デューデリジェンスの期間設計に直接関わる。

国土交通省の申請経路についても変更があり、国土交通大臣免許の申請は都道府県知事を経由する方式から、国交省地方整備局への直接申請に切り替わった。宅建業法35条書面の改正対応については、2026年の売買・賃貸チェックポイントをまとめた記事も参照されたい。

IT重説の現行要件:全面解禁後の実務運用

IT重説は2022年5月18日の改正宅建業法施行により、売買・賃貸ともに全面解禁となった。国土交通省「ITを活用した重要事項説明実施マニュアル」令和6年12月版が現行の準拠文書であり、以下の4要件を満たすことが求められる。

第一に、相手方の事前承諾を書面または電磁的方法で取得すること。第二に、映像と音声の双方向同時送受信が可能な環境を確保すること。第三に、宅建士証を画面上で提示し、相手方が視認できる状態を確認すること。第四に、重要事項説明書を事前に送付し、相手方が内容を確認した上で説明に臨むこと。

35条書面・37条書面ともに、相手方の承諾を条件として電磁的方法による交付が認められている。電子書面の要件は、相手方が出力(印刷)可能であること、および改変検知措置(電子署名等)が施されていることの2点である。

高額取引においては、IT重説の利便性よりも説明の質と記録の完全性が優先される。南青山や元麻布の物件で10億円超の取引が行われる場合、説明担当者が有資格の宅建士本人であることの確認は、買主側の最低限の確認事項となる。多くの仲介会社では、契約直前まで無資格の営業担当が対応し、宅建士は署名の場面にのみ登場する運用が一般的だが、Koukyuu はその体制を採用しない。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士が一貫して担当する。

省エネ性能表示と重説:2026年の最重要実務論点

2025年4月より、原則としてすべての新築建築物に省エネ基準適合が義務化された。2024年4月に開始した省エネ性能表示制度は、中古住宅取引においても性能ラベルの有無が取引判断に影響する段階に入っており、宅建業法第35条の重要事項説明における省エネ性能情報の提供は、実務上の必須事項として定着しつつある。

ノムコムの試算(2026年3月19日公表)によれば、省エネ性能証明の有無により住宅ローン控除の総額に最大約219万円の差が生じる。令和8年度税制改正では、省エネ等基準適合の既存住宅(中古)について、子育て世帯等の借入限度額を最大4,500万円・控除期間13年に拡充し、新築と同等の扱いとした。重説時に省エネ性能証明の有無を確認・説明することは、買主の税制上の権利保護という観点からも不可欠である。

富裕層向けの高額物件では、ZEH水準・断熱等級6以上の有無が価格形成に直結する。白金台や北青山で竣工した新築マンションでは、省エネ性能の等級が販売価格の根拠として明示されるケースが増えており、重説における記載の正確性が問われる局面が増えている。宅建士の独占業務と重説における専門的価値については、こちらの解説記事も参考になる。

貸付用不動産の相続税評価見直し:重説への波及

大和総研が2026年3月27日に公表したレポートは、高額不動産を保有する富裕層の資産戦略に直接影響する内容を含む。令和8年度税制改正大綱(2025年12月19日閣議決定)に盛り込まれた改正方針によれば、課税時期前5年以内に取得した貸付用不動産については時価評価が適用される。不動産小口化商品(不動産特定共同事業契約・信託受益権)については、取得時期を問わず時価評価の対象となる。この改正は2027年1月1日以降の相続等から適用予定である。

従来、貸付用不動産は路線価等による評価額が時価を大幅に下回るケースが多く、相続税対策として活用されてきた。今回の改正はその前提を変える。投資用物件の取得を検討する段階で、重説担当の宅建士がこの評価見直しリスクを買主に対して適切に説明することは、富裕層顧客への誠実な対応として実務上の重要事項となりうる。

港区や渋谷区の投資用マンションを3億円以上で取得する場合、5年以内に相続が発生した際の税負担の変化は、取得判断そのものに影響する。重説の場で宅建士がこの論点に触れるかどうかは、仲介会社の専門性を測る基準の一つである。

空家・ハザードマップ・管理不全:重説記載義務の拡大

住生活基本計画(2026年3月27日閣議決定)は、空き家対策の深化を10年計画の柱の一つに位置づけた。空家等対策特措法(2023年改正)で新設された「管理不全空家等」カテゴリーは、固定資産税の住宅用地特例解除の対象拡大と連動しており、重要事項説明における「特定空家等」「管理不全空家等」の指定の有無の説明が義務的な実務事項となっている。

隣接地に管理不全空家等が存在する場合、その指定状況と固定資産税への影響は、買主の取得後コストに直結する。高額物件であっても、周辺環境の法的状況は重説で確認すべき事項である。

ハザードマップ情報の重説記載については、宅建業法施行規則第16条の4の3第3号の2(2020年改正で義務化済み)により、水害リスクの説明が既に義務化されている。2026年現在、洪水・土砂災害・高潮の各リスク区域に関する記載の正確性は、取引後のトラブル防止において基本的な確認事項である。番町や松濤など地形的に安定した地区でも、周辺河川の浸水想定区域との位置関係は個別に確認が必要だ。

重要事項説明書の宅建士証提示・IT重説・高額取引の実務チェックポイントについては、こちらの詳細解説を参照されたい。

高額取引における宅建士重説の実質的役割

3億円以上の取引において、重要事項説明は法定手続きの履行にとどまらない。買主が取得後に直面しうるリスク、すなわち省エネ性能証明の有無による税負担の差、貸付用不動産の評価見直しによる相続税への影響、管理不全空家等の指定状況、ハザードマップ上の位置、建物状況調査の有効期間、これらすべてを説明の場で体系的に整理することが、宅建士の専門的価値の核心である。

東京の高額不動産市場では、これらの論点を正確に把握した上で買主に説明できる宅建士が、取引全体を通じて関与する体制を持つ仲介会社は多くない。説明の質は、担当者が宅建士本人であるかどうかによって決定的に異なる。


Koukyuu は表参道・青山・六本木ヒルズをはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)はこちらから。

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