60代からの不動産投資、減価償却が終わる前に知るべき実質利回りの計算
60代からの不動産投資、減価償却が終わる前に知るべき実質利回りの計算
Koukyuu Realty
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2026年5月、財務省が閣議決定した令和8年度税制改正大綱は、退職金を不動産投資に組み入れる設計に根本的な影響を与えた。投資用マンションの相続税評価における「時価寄せ」強化により、従来のタワーマンション節税スキームは実質的に終焉を迎えた。同時に、住宅ローン控除の省エネ性能要件の見直しは、ZEH水準や長期優良住宅認定物件への投資インセンティブを明確にしている。この二つの流れは、退職金運用の重心を「節税目的の短期保有」から「実需重視の長期運用」へと移行させている。

退職金の規模と資金配分の現実

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、2024年時点で大企業正規雇用者の退職金平均は2,200万円から2,500万円、中小企業では1,000万円から1,500万円に留まる。この金額をいかに配分するかは、60代以降の資産形成を決定づける。

国土交通省の調査によれば、退職後の夫婦生活費は月額平均26万円。3年分の生活防衛資金として、退職金の30%から40%を確保することが前提となる。残りの60%から70%のうち、金融庁ガイドラインは高齢者の資産形成において不動産投資への配分を30%から40%以内と指標化している。

具体的な計算で言えば、大企業退職者の場合、不動産投資に回せる金額は660万円から1,000万円が第一ステップとなる。この規模では、東京23区の区分マンション1室、または築年数の経過した中古木造アパートの一部持分が現実的な選択肢に入る。

2026年税制改正が変えた不動産投資の勘定

令和8年度税制改正大綱の最大の変更点は、相続税評価における「時価寄せ」の厳格化である。従来、投資用マンションは賃貸用割合を適用した上で路線価ベースで評価され、実勢価格との乖離が大きかった。2026年以降、相続直前の短期保有物件や、賃貸需要と乖離した高額物件については、実勢価格に近い評価が課されるケースが増える。

この変更は、築浅タワーマンションの節税効果を大幅に縮小する。従来、タワーマンションの低層階・小面積住戸は、相続税評価額が実勢価格の3割から4割に留まる事例が散見されたが、今後は評価乖離が縮小し、節税目的での購入はリスクを伴う。

一方、住宅ローン控除については、ZEH水準や長期優良住宅認定物件の借入限度額が拡大される。床面積40㎡以上という要件は、都市部のコンパクト物件も対象に含む。これは、省エネ性能を備えた小規模投資物件の新築・取得に対して、税制面での優遇が継続することを意味する。

区分マンションと一棟物件、段階的組み入れの設計

退職金による不動産投資は、単発の大口投入ではなく、段階的なスケーリングが収益性とリスク管理の両面で優位に立つ。

初年度は区分マンション1室、500万円から1,000万円の投資で実績を蓄積する。東京カンテイの賃貸市場レポートによれば、山手線沿線・駅徒歩10分以内の築10年以内物件は、空室率5%以下を維持しやすい。表面利回り10%の物件でも、管理費・修繕積立金・空室リスクを差し引くと実質利回りは6%から7%となる。この実績を2年から3年で確認し、収益の安定性を検証してから一棟物件への拡大を検討する。

一棟物件への移行時期は、不動産所得が年間900万円を超える段階で法人化を検討する価値がある。個人の所得税率が最高45%に対し、法人税率は15%から23.2%に留まる。ただし、法人化には登記費用・税理士報酬・決算業務のコストが発生し、規模の経済が前提となる。

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減価償却を最大化する物件選定と税務戦略

国税庁の耐用年数通達に基づく減価償却は、不動産投資の節税効果を左右する核心である。新築RCマンションの耐用年数は47年の定額法が適用されるが、中古木造アパートで築22年以上の物件を取得した場合、償却期間は4年間に短縮される。この短期償却が可能な物件は、退職金投入後の短期間で大額の損失を計上し、他の所得との損益通算が可能となる。

タワーマンションの場合、建物割合が大きい構造が償却費の最大化に寄与する。土地と建物の割合は、固定資産税評価額や建築時の工事費明細で確認可能。建物割合が70%以上の物件は、減価償却による節税効果が相対的に大きい。

ただし、減価償却は期間限定の税務上の利益である。償却終了後は、賃料収入からの課税が増加する。黒字転換後の税金対策として、リファイナンスによる借入金利息の計上、不動産リファイナンス戦略2026:金利上昇局面での資産保全とキャッシュフロー最適化の検討、または次の物件へのロールオーバーを含めた10年から15年のキャッシュフロー設計が必要となる。

融資制約と相続対策の新たな枠組み

金融庁ガイドラインに基づき、多くの金融機関は完済時年齢を80歳未満とする住宅ローン・投資ローンの審査基準を設けている。70歳での融資申請は、返済期間が10年程度に限定される。これは、退職金の一部を自己資金とし、残りを融資で補完する際の計算前提となる。

相続対策については、従来型の「タワーマンション節税」から転換が必要である。令和6年改正が変えた相続時精算課税、不動産贈与で110万円の基礎控除が実務的に何を意味するかを踏まえつつ、長期保有による地域密着型賃貸運用が、評価額の安定化と実需の確保という両面で優位に立つ。青色申告における「5棟10室基準」は事業的規模の判定目安となり、家事関連費・通信費の按分計上が認められる範囲を広げる。

実効税率の観点から、不動産所得が年間400万円を超える段階で税率が23%から33%へと跳ね上がる。これを避けるための所得分散、配偶者への持分移管、または法人化の検討タイミングは、取得時からシミュレーションしておくべきである。

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