
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
2026年4月時点の都心利回り相場
東京23区の区分マンション平均利回りは、2026年3月時点で4.0〜6.0%の範囲に分布している。港区の築浅ワンルーム物件は3.5〜4.5%、千代田区番町エリアは3.2〜4.0%、渋谷区松濤では3.8〜4.6%が実勢値である。これらの数字は表面利回りであり、管理費・修繕積立金・固定資産税を差し引いた実質利回りはさらに1.0〜1.5ポイント低い。都心の投資用不動産は、2026年の東京高級不動産市場:統計が静かに物語る真実で指摘した通り、利回りよりも資産保全の側面が強く意識される局面に入っている。
日銀が2025年12月に政策金利を0.75%に引き上げて以降、住宅ローン金利も連動して上昇した。変動金利は2026年4月時点で0.9〜1.2%、固定10年は1.8〜2.1%の水準にある。金利上昇は借入コストを押し上げ、レバレッジを効かせた投資の収益性を圧迫する。一方で、現金取得を前提とする富裕層にとっては、相対的な物件価格の調整局面が訪れる可能性もある。
都心と郊外の利回り格差
都心部と郊外の利回り格差は依然として明確である。東京23区外の多摩地域では表面利回り7〜9%、埼玉県南部では8〜10%の物件が散見される。価格帯が低いため利回りは高く見えるが、空室リスク・賃料下落リスク・売却時の流動性リスクは都心と比較にならない。
港区麻布十番の築5年1Kマンション(25㎡、取得価格5,200万円、月額賃料18万円)の表面利回りは4.15%である。一方、埼玉県川口市の築3年1K(同面積、取得価格2,400万円、月額賃料9万円)の表面利回りは4.5%となる。数字だけ見れば後者が有利に映るが、麻布十番の物件は5年後も同水準の賃料を維持できる蓋然性が高く、売却時も買い手がつきやすい。川口の物件は賃料下落と空室期間の長期化リスクを織り込む必要がある。
都心物件の利回りが低い理由は、取得価格の高さだけにあるのではない。入居者の質・賃料の安定性・売却時の流動性という三つの要素が価格に反映されている。投資判断においては、表面利回りの数字だけを追うことは適切ではない。
キャップレートから見る投資適格性
不動産投資の収益性を測る指標として、キャップレート(還元利回り)がある。2026年4月時点で、東京都心部のキャップレートは3.0〜4.0%、準都心部で4.0〜5.0%、郊外で5.0〜7.0%が目安となる。キャップレートが低いほど物件価格は高く、投資家が将来の安定性を評価していることを示す。
千代田区のシティタワー九段下 4億2000万円(3LDK)のような大型区分マンションは、賃貸に出した場合の想定利回りは3.2〜3.8%程度となる。一方で、売却時の流動性・相続時の評価額圧縮効果・居住用としての資産価値は他のエリアと比較にならない。投資対象としてではなく、資産保全の器として選ばれる理由がここにある。
キャップレートの低さは、投資効率の悪さを意味するのではなく、リスクプレミアムの低さを意味する。都心物件は価格変動が小さく、賃料下落リスクも限定的である。金利上昇局面においては、この安定性が再評価される。
金利上昇局面における取得判断
2026年の金利環境は、2023〜2024年とは明確に異なる。変動金利が1%を超え、固定金利が2%に近づく中で、借入を前提とした投資の収益性は低下している。月額賃料18万円の物件を4,000万円のローン(金利1.2%、35年返済)で取得した場合、月々の返済額は約11.6万円となり、管理費・修繕積立金・固定資産税を加えると実質的な手残りはわずかである。
一方で、現金取得を前提とする投資家にとっては、金利上昇は必ずしも不利ではない。借入コストの上昇により、レバレッジ投資家の購買力が低下すれば、物件価格の調整圧力となる。実際、2026年第1四半期の都心マンション成約価格は、前年同期比で横ばいから微減の傾向にある。
取得判断の基準は、利回りの絶対値ではなく、保有期間中のキャッシュフロー・売却時の残存価値・相続対策としての機能の三つを総合的に評価することにある。都心の築浅物件は利回りこそ低いが、これら三つの要素すべてにおいて優位性を持つ。
相続対策としての都心不動産
不動産投資の目的は、必ずしもキャッシュフローの最大化ではない。相続税評価額の圧縮を目的とする場合、都心の区分マンションは極めて有効な手段となる。現金1億円を相続する場合、評価額は1億円のままである。一方、時価1億円の区分マンションを相続する場合、固定資産税評価額(時価の6〜7割)に借家権割合(30%)を乗じた額が評価額となり、実質的に4〜5割程度まで圧縮される。
港区・千代田区・渋谷区の築浅マンションは、賃貸に出した場合の空室リスクが極めて低く、相続後も安定した賃料収入を生む。評価額圧縮と収益性の両立という観点から、富裕層の相続対策において中心的な役割を果たしている。
LIFULL HOME’Sの2026年投資トレンド予測によれば、都心・好立地の物件は「利回りを追求する投資対象としてではなく、資産の保全を目的としたマネーの受け皿」として選ばれる傾向が強まっている。この指摘は、2026年4月時点の市場実態を正確に捉えている。取得後の運用と出口戦略
都心不動産投資において、取得後の運用体制は収益性を左右する。管理会社の選定・入居者審査の基準・修繕計画の精度が、長期的なキャッシュフローに直結する。港区の築浅マンションであっても、管理が杜撰であれば賃料下落と空室期間の長期化を招く。
出口戦略も取得時点で織り込む必要がある。都心の区分マンションは流動性が高く、売却時に買い手がつきやすい。一方で、郊外物件は売却に数ヶ月から1年以上を要することも珍しくない。投資期間を10年と設定した場合、売却時の市場環境を予測することは困難だが、都心物件であれば最低限の流動性は確保される。
渋谷区のパークコート渋谷大山町ザプラネ 悠邸 4億4800万円(3LDK)のような大型物件は、賃貸に出した場合の利回りは3%台前半にとどまるが、売却時の流動性と相続時の評価額圧縮効果を考慮すれば、総合的な投資効率は決して低くない。
2026年における都心投資の位置づけ
2026年4月時点で、都心不動産投資は利回り追求型の投資対象から、資産保全型の保有資産へと性格を変えつつある。表面利回り3〜4%という数字は、10年国債利回り(2026年1月時点で2.34%)と比較しても大きな差はない。金利上昇局面においては、借入を前提とした投資の魅力は低下している。
一方で、現金保有者にとっては、インフレ環境下での資産保全手段として都心不動産の重要性は増している。現金の実質価値が目減りする中で、賃料収入という定期的なキャッシュフローを生み、かつ相続税評価額を圧縮できる都心マンションは、富裕層の資産ポートフォリオにおいて中核的な位置を占める。
利回りの数字だけを見れば、都心投資は割に合わないと映るかもしれない。しかし、リスク調整後リターン・流動性・相続対策機能を総合的に評価すれば、都心物件の優位性は明確である。投資判断においては、単年度の利回りではなく、保有期間全体を通じた総合的な収益性を見る必要がある。
Koukyuuは麻布・広尾・白金をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)より承ります。
