2026年、相続税評価額と実勢価格の乖離が港区・渋谷区で縮小する条件
2026年、相続税評価額と実勢価格の乖離が港区・渋谷区で縮小する条件
Koukyuu Realty
記事監修 ✓ 認定済み
Koukyuu 宅地建物取引士 記事監修アドバイザー

Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修

港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

2026年5月12日現在、東京都心部の高級不動産市場は静かな転換期を迎えている。令和8年度税制改正により、2027年1月1日以降の相続・贈与から適用される「5年ルール」が、貸付用不動産の評価方法を根本から変える。従来、路線価方式や倍率方式を用いた相続税評価額の算出は、実勢価格との間に大きな圧縮効果を生んでいた。この構造が、取得時期という一つの条件で大きく変動する。

路線価方式と倍率方式、現行の二軸

相続税・贈与税における不動産評価は、土地の所在地域によって二つの方式に分かれる。路線価が定められた都市部中心部では路線価方式、それ以外の地域では倍率方式が適用される。

路線価方式では、国税庁が公示する路線価(単位:千円/㎡)に各種補正率を乗じ、面積を掛け合わせる。2026年の路線価は、港区の主要幹線道路沿いで1㎡あたり300万円を超える地点も散見される。対照的に、家屋部分は固定資産税評価額の1.0倍で評価され、マンションでは敷地利用権と区分所有権を合算する。

倍率方式では、固定資産税評価額に評価倍率(国税庁が地域ごとに定める1.0〜1.1倍程度)を乗じる。東京都心部では路線価方式が圧倒的だが、田園調布や成城などの低層住宅地でも評価の乖離は顕著だった。

この二つの方式が生み出す「評価圧縮」は、特に高級不動産で効果を発揮する。取得価格3億円の一棟マンションが、相続税評価額では1.2億円程度に収まるケースは珍しくない。圧縮率60%は、税率50%の相続人にとり約9,000万円の節税効果に相当する。

2027年からの「5年ルール」と新評価式

令和8年度税制改正の核心は、相続開始前5年以内に取得・新築した貸付用不動産への新評価方法の導入だ。2027年1月1日以降の相続・贈与から適用される。

新評価式は以下の通り。

取得価額等 × 地価変動率 × 80%

従来の路線価方式や倍率方式は原則として適用されない。貸付事業用宅地の減額、借家権評価減といった圧縮スキームも封印される。先述の3億円取得物件の例で試算すると、新制度下では評価額が約2.4億円に跳ね上がる。税率50%層で単純計算6,000万円の増税となる。

この改正の背景にあるのは、2022年4月の最高裁判決だ。国税当局が勝訴した同判決は、評価額と時価の乖離を「課税上の弊害」と位置づけ、制度の抜本改正に繋がった。貸付用不動産の「5年ルール」が相続税評価を変える、2026年の構造転換において、本改正の技術的な詳細を別途検討している。

不動産小口化商品への時価評価適用

2026年税制改正のもう一つの柱は、不動産小口化商品への時価評価の導入だ。任意組合型、匿名組合型、信託受益権型を問わず、課税時期の通常の取引価額で評価される。

これまで小口化商品は、組合財産としての不動産評価額を基準とし、出資口数で按分する方式が一般的だった。相続税評価額が時価を大幅に下回る構造が、節税ツールとして普及した背景だ。2027年以降、このメカニズムは実質的に機能しなくなる。

特に2018年以降に組成されたファンドで、都心高級物件を組み入れた商品は影響を受けやすい。組合期間中に相続が発生した場合、評価額の跳躍が想定される。既存投資家は組合規約の変更、早期償還条項の発動、あるいは相次ぐ組合解散を迫られる可能性がある。

2026年「駆け込み」取得のリスク構造

税制改正前の2026年中に取得すれば、従来の評価方法が適用される。しかし「駆け込み」には重大なリスクが伴う。

租税回避行為否認の規定(租税法総則6項)は、相続直前の急激な資産移転を対象にし得る。2026年後半、特に第四四半期に3億円を超える不動産を取得し、2027年初頭に相続が発生したケースは、税務調査の標的になりやすい。取得動機、賃貸運営の実態、管理委託の有無が厳格に審査される。

加えて、2026年の都心不動産市場は価格の山を越えつつある。港区の新築マンション平均価格は2026年3月時点で1億2,840万円。前年同月比8.3%の上昇率は、2024年のピーク時(同15.2%)から鈍化している。駆け込み需要が価格を押し上げ、2027年以降の値下げリスクを内包する。

本質的な資産保全を目指すなら、評価方法の変更を「避ける」より「組み込む」設計が求められる。5年を超える長期保有を前提とした購入、あるいは自用地としての利用(貸付用に該当しない)など、新制度下でも評価圧縮を維持する選択肢がある。相続税法第13条の債務控除が、2026年の貸付用不動産評価見直しで複雑化するで、債務控除との組み合わせについて検討している。

港区・渋谷区における乖離縮小の条件

今回の改正が最も効果を発揮するのは、相続税評価額と実勢価格の乖離が最大だった地域だ。港区と減谷区はまさに該当する。

2026年の路線価を基にした試算では、六本木周辺の商業地と実勢価格の乖離率は依然として45〜55%に達する。しかし新制度下では、この乖離は一挙に20%程度に縮小する。評価額が実勢価格に近づくことで、相続税の税基が拡大する。

ただし、乖離の縮小が「悪いこと」だけではない。評価額の上昇は、取得価額としての認識基盤を強化し、将来の譲渡所得計算における取得費の水準を確保する。相続税と譲渡所得税のトータルバランスで最適解は変動する。単年度の税負担だけで判断せず、30年〜50年の資産サイクルで設計することが、3億円以上の不動産購入において不可欠だ。

Koukyuu は、港区・渋谷区・千代田区をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)はこちらより。

お問い合わせを開始する
すべてのお問い合わせは、完全な裁量で処理されます。 当社のチームメンバーが24時間以内に対応いたします。

    このフォームを送信することにより、お客様の情報が当社のプライバシー慣行に従って完全に機密に取り扱われることを承認するものとします。

    Compare Listings