令和6年改正で相続人3人以上の控除上限が2000万円に変わった理由
令和6年改正で相続人3人以上の控除上限が2000万円に変わった理由
Koukyuu Realty
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2026年4月、国税庁は「空き家3000万円控除」の適用状況を公表した。令和5年度の確定申告でこの特例を利用した譲渡件数は前年比12%減の8,400件。件数減の背景には、令和6年1月1日からの改正がある。相続人が3人以上の場合、控除上限が3000万円から2000万円に引き下げられた。この改正は、相続税の納税猶予制度と同じく「相続人が多数い場合の税負担の公平性」を重視した調整である。

対象物件の硬い条件:区分所有建物登記が存在しないこと

空き家特例の対象となる家屋は、厳格な要件を満たす必要がある。まず建築時期だ。昭和56年5月31日以前に建築された家屋に限られる。この日付は1981年6月1日に施行された新耐震基準の前日である。旧耐震基準以前の建物が対象となる背景には、空き家の増加と老朽化対策という政策目的がある。

次に建物形態だ。区分所有建物登記がされていないことが必要だ。マンションや分譲住宅の一部である区分所有建物は、この特例の対象外となる。登記簿上で「敷地権」または「専有部分」として登記されている建物は、戸建てとは異なる税制適用を受ける。

居住状況の要件も厳しい。相続開始直前に被相続人が単独居住していたこと、かつ被相続人以外の居住者がいないことが必要だ。被相続人が老人ホームに入所し、実家が空き家となっていた場合でも、一定の条件下では対象となる。ただし、賃貸に出していたり、事業用に利用していたりする家屋は対象外だ。相続時から譲渡時まで、事業・賃貸・居住のいずれの用にも供されていないことが条件となる。

譲渡期限の計算:3年は正確にどこまでか

売却期限は「相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」と定められている。この表現は具体計算を要する。

例えば、2023年6月15日に相続が開始した場合、3年経過する日は2026年6月15日である。この日の「属する年」は2026年となる。したがって、譲渡期限は2026年12月31日までとなる。相続開始日から実際に3年を超えても、その年の年末までは猶予があるのだ。

この期限を過ぎると、空き家特例は適用できない。通常の譲渡所得課税が適用され、長期譲渡所得であれば所得金額から控除されるのは譲渡所得の特別控除の50万円のみとなる。3000万円(または2000万円)と50万円の差は、税額で数百万円単位の影響をもたらす。

売却代金1億円以下の制限と複数回売却の合算

特例適用には売却代金の上限がある。土地と建物の売却代金の合計が1億円以下であることが必要だ。この1億円は、複数回に分けて売却する場合も合算して判定される。

例えば、相続した空き家を2026年3月に6000万円で売却し、残る土地を2026年8月に5000万円で売却した場合、合計1億1000万円となり、特例適用を受けられない。分割売却を検討する場合は、合算での1億円超に注意が必要だ。

売却代金が1億円を超える場合、空き家特例は適用できないが、別途「相続税取得費加算の特例」が検討できる。この特例は、港区・渋谷区の高額不動産で特に効力を発揮する。取得費に相続税額を加算できるため、譲渡所得を圧縮できる。

耐震基準・解体の3つの売却パターン

空き家特例を受けるためには、譲渡時点で一定の耐震基準を満たすか、または解体済みである必要がある。具体的には3つのパターンがある。

パターンAは、耐震改修済みの家屋を敷地ごと売却する場合だ。譲渡時点で一定の耐震基準を満たすことが必要だ。耐震適合証明や耐震診断結果の書類が求められる。

パターンBは、解体して更地で売却する場合だ。譲渡前に建物を取り壊し、譲渡時まで更地として利用していないことが条件だ。解体費用は譲渡費用として控除できる。

パターンCは、令和6年1月1日以後に新設されたケースだ。買主が譲渡後に耐震改修または解体を行う場合、譲渡後から譲渡年の翌年2月15日までに工事を完了すれば特例が適用される。このパターンでは、譲渡契約書に「買主が耐震改修または取壊しを行う旨」の記載が必要だ。また、買主からの完工証明書類を確定申告時に添付する必要がある。

被相続人居住用家屋等確認書の取得と確定申告

空き家特例を受ける手続きは2段階ある。まず、市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」を取得する。この書類は確定申告の際の添付書類として必要だ。

確認書の取得には、戸籍謄本、登記簿謄本、建物の図面、被相続人の居住状況を証明する書類などが必要となる。市区町村によって必要書類に差異があるため、事前に確認が必要だ。確認書の発行には2週間から1ヶ月程度を要する場合もある。

次に、確定申告で特例適用を申請する。申告しないと控除を受けられない点に注意が必要だ。譲渡所得の計算において、所得金額から3000万円(相続人3人以上の場合は2000万円)を控除し、残りに税率を適用する。

確定申告の期限は、譲渡のあった年の翌年3月15日までだ。ただし、パターンCの場合、翌年2月15日までの完工証明が必要となるため、スケジュール管理が重要になる。

他の控除との併用関係

空き家特例は、他の譲渡所得の特別控除との併用が原則としてできない。例えば、居住用財産の3000万円特別控除、または対象地域での譲渡所得の特別控除(譲渡所得の軽減税率)との併用はできない。

ただし、相続税取得費加算の特例との併用は可能だ。相続税取得費加算は、相続税を課税された財産を譲渡した場合、取得費に相続税額を加算できる制度だ。空き家特例で譲渡所得を圧縮した上で、さらに取得費を加算できるため、節税効果が大きい。

また、空き家特例は、譲渡損失の繰越控除との併用も可能だ。過去に譲渡損失があった場合、空き家特例適用後の譲渡所得から損失を控除できる。

令和9年12月31日までの延長と今後の展望

空き家特例の適用期間は、令和9年12月31日まで延長されている。2023年の税制改正で4年の延長が決定した。令和10年以降の見通しは現時点で不明だ。

延長の背景には、空き家の増加が続いている現実がある。総務省統計によると、2023年の全国の空き家数は899万戸に達し、住宅ストックの13.8%を占める。昭和56年以前の建物の空き家は、老朽化と相まって地域の防災・防犯上の課題となっている。

政策目的は「空き家の発生抑制」にある。相続人にとって税金負担が重い場合、空き家を放置するインセンティブが働く。特例措置によって、売却を促進し、土地の有効利用を図るのがねらいだ。

ただし、特例の恒久化は見送られている。一定の期限付きで、政策効果を見極めながら運用されている。令和9年以降の延長の有無は、空き家の推移や税制改革の議論を注視する必要がある。

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