フラット35の1億2,000万円化が、港区・渋谷区の物件選びを変える
Koukyuu Realty
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港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。

2026年4月1日、住宅金融支援機構のフラット35が20年ぶりの大幅改正を迎えた。融資限度額が8,000万円から1億2,000万円へ50%引上げられ、一戸建ての床面積要件も70㎡から50㎡に緩和された。同日適用の実行金利は2.490%(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以内)で、3月の2.250%から0.24%上昇している。

この制度変更は、東京23区の新築マンション平均価格が1億5,000万円を超える市場状況への対応である。固定金利型住宅ローンの需要拡大を背景に、日本維新の会が要望していた措置が具体化した。ただし、限度額の引上げが単純に購入力を高めるわけではない。年収要件、返済負担率、金利上昇リスクの三つの壁が、実務的な活用を制約する。

1億2,000万円を借りるための年収基準

フラット35の審査における返済負担率の上限は35%である。金利2.26%、35年返済、1億2,000万円借入の場合、年間返済額は約497万円、月額約41.4万円となる。これを35%の返済負担率で逆算すると、必要年収は約1,420万円となる。

ただし、これは審査通過の最低ラインに過ぎない。実際の資金計画では、返済負担率25%を安全基準とするのが一般的である。この基準では年収約2,000万円が必要となる。国税庁「令和5年民間給与実態統計調査」によれば、年収2,500万円を超える給与所得者は全体の0.3%に留まる。共働きであっても、双方が1,000万円以上の収入が必要な水準である。

さらに、融資限度額1億2,000万円はあくまで「借入可能額」であり、「必ずしも借入すべき額」ではない。金利2.26%での35年返済では、総返済額は約1億7,380万円に達する。頭金の有無、他の負債、将来の収入変動リスクを総合的に勘案した上で、借入額を決定する必要がある。

床面積要件緩和と対象物件の変化

2026年4月から、一戸建て住宅の床面積基準が70㎡から50㎡に緩和された。これにより、これまで対象外だった狭小地の戸建てや、都心部のコンパクトな新築戸建てがフラット35の対象に含まれるようになった。

港区や渋谷区では、50㎡台の新築戸建てが増加傾向にある。土地価格の高騰に伴い、建築面積を抑えつつ、地下階や屋上を活用したボリューム確保が一般的になっている。ただし、50㎡の床面積要件を満たすためには、建築確認時の図面と実際の完成状況が厳密に審査される。登記簿上の専有面積と、住宅金融支援機構の認定面積に齟齬が生じるケースもある。

マンションについては、従来通り専有面積の要件はない。ただし、フラット35の対象となるには、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たす必要がある。築年数、構造、管理状況が審査対象となる。特に、築30年以上の高級マンションや、小規模の低層マンションでは、認定を受けられないケースがある。

金利上昇局面での固定金利の意味

2026年4月のフラット35実行金利2.490%は、制度開始以来の高水準である。2025年9月の1.810%から0.68%上昇している。この金利水準で35年固定を選択することの得失は、慎重に検討する必要がある。

変動金利との比較では、現在の変動金利は0.5%前後(最優遇金利ベース)であり、金利差は約2%に広がっている。仮に変動金利が現在の水準を維持すれば、35年間の総支払額で数千万円の差が生じる。ただし、変動金利の将来上昇リスクを考慮すると、固定金利のリスクヘッジとしての価値は依然として高い。

特に高額物件の購入においては、金利上昇リスクの影響が絶対額で大きくなる。1億2,000万円借入で金利が1%上昇すると、月々の返済額は約1.2万円増加し、35年間の総支払額は約500万円増加する。このリスクを固定金利で回避する価値は、借入額が大きいほど高まる。

子育てプラスと借換融資の拡充

2026年3月から、フラット35の「子育てプラス」が借換融資の対象になった。これまでの住宅ローンをフラット35に借り換える際、子育て世帯としての優遇金利が適用される。金利は通常より0.25%低く、最大1.2%の金利優遇が受けられる。

この制度は、既存の住宅ローンを組み替える際に有効である。特に、変動金利から固定金利への移行を検討している世帯にとって、金利上昇局面での安定性確保と金利負担軽減の両立が可能になる。

ただし、借換融資には諸費用が発生する。担保設定費用、登記費用、保証料、事務手数料など、総額で数十万円から数百万円が必要となる。金利差と借換費用のトレードオフを正確に計算し、実質的なメリットがあるかを判断する必要がある。

また、返済期間の算出基準が35年から40年に延長された。これにより、年齢制限に抵触していた層の借入が可能になる。ただし、返済期間の延長は月々の返済負担を軽減する一方、総支払額を増加させる。40年返済では、35年返済に比べて総支払額が約10%増加する。

高額物件購入時の資金計画と実務的リスク

フラット35の限度額引上げは、あくまで資金計画の一部に過ぎない。港区や渋谷区の高額物件を購入する際には、物件価格の3〜5%が諸費用として必要となる。1億5,000万円の物件であれば、450万円から750万円の現金準備が必要である。

さらに、マンション購入時には修繕積立金の前払いや、固定資産税の精算金が発生する場合がある。新築マンションでは、入居後2〜3年で初回の大規模修繕積立金の徴収が始まるケースもある。これらのキャッシュフローを見据えた上で、借入額を決定する必要がある。

フラット35は、投資用物件の取得資金には利用できない。居住用として購入し、後に賃貸に転用する場合も、当初の居住意思が審査対象となる。虚偽の申告は契約違反となり、全額繰上返済を求められるリスクがある。

また、フラット35は繰上返済のハードルが高い。最低繰上返済額が10万円からと設定されており、気軽な繰上返済が困難である。ボーナス払いを併用する場合は、ボーナス時の繰上返済を計画的に行う必要がある。

Koukyuuは、麻布・広尾・白金・港区・渋谷区の高額物件を対象としたプライベート・バイヤーズエージェンシーとして、フラット35を含む資金計画の検討支援を行っている。物件の技術基準適合性、金融機関の審査基準、返済計画のシミュレーションについて、個別にご相談を承っている。

制度改正後の市場動向と選択の指針

2026年4月の制度改正以降、フラット35の利用件数は増加傾向にある。ただし、金利上昇と年収要件の高さが重なり、実際の利用は高所得層に集中している。住宅金融支援機構の統計では、令和7年度上半期のフラット35平均借入額は6,800万円であり、新たな限度額の上限を活用するケースは依然として少数である。

高額物件の購入を検討する際には、フラット35だけでなく、民間金融機関の住宅ローンとの比較が重要である。民間ローンでは、金利優遇や、繰上返済の柔軟性、ボーナス払いの組み合わせなど、多様な条件設定が可能である。特に、資産運用を並行して行う層にとっては、金利と運用収益の比較による選択が有効である。

また、フラット35は全期間固定金利であるため、金利低下局面でのメリットを享受できない。金利がピークアウトした後の借換えも、借換費用と金利差のトレードオフを考慮する必要がある。長期的な金利見通しと、自身のキャッシュフロー予測に基づいた選択が求められる。

Koukyuuは、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーである。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当する。麻布台ヒルズ・六本木ヒルズ・北青山・南青山・西麻布・代官山・番町・松濤をはじめとする東京の格式ある住宅地において、物件選びと資金計画の両面からサポートを行っている。個別のご相談)はこちらから。

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