
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
2024年4月1日施行の不動産登記法第76条の2により、相続による不動産取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければ、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象となる。2024年4月1日以前の未登記相続分にも遡及適用されるため、今この瞬間にも対応が必要な資産家は少なくない。遺言書の書き方を正確に理解することは、相続手続きを円滑に進めるための最初の実務的な一手である。
遺言書の種類と富裕層が選ぶべき形式
遺言書には主に3種類ある。自宅保管の自筆証書遺言、法務局保管制度を利用した自筆証書遺言、そして公正証書遺言である。
自宅保管の自筆証書遺言は費用がほぼゼロである反面、無効リスクが最も高く、開封には家庭裁判所の検認手続きが必要になる。法務局保管制度(手数料1通3,900円)を利用すれば検認は不要になるが、法務局は形式のみを確認し、内容の法的妥当性は審査しない。
公正証書遺言は、公証人が内容に関与するため無効リスクが極めて低い。費用は財産額に連動し、数万円から十数万円の範囲になるが、複数の不動産を保有する資産家にとってこの費用は保全コストとして合理的な水準である。2025年10月以降、公正証書作成手続きにおいてWeb会議の活用が順次開始されており、公証役場への出頭要件が緩和されている。港区・渋谷区・千代田区に複数の不動産を保有する経営者や投資家には、公正証書遺言の選択を強く推奨する。
不動産の相続税評価額の計算方法|2026年度税制改正による5年ルールと3000万円相続時の具体的計算例も参照すると、相続税の観点から遺言内容を設計する際の判断材料が整う。不動産を遺言書に記載する際の書き方:登記事項証明書が基準
遺言書に不動産を記載する際の原則は一つである。住居表示ではなく、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載された情報をそのまま転記すること。
住居表示(例:港区白金1丁目2番3号)と登記上の地番(例:港区白金一丁目234番5)は異なる。住居表示のみを記載した場合、法務局が物件を特定できず相続登記が却下されるリスクがある。登記事項証明書の取得費用は窓口で490円、オンライン郵送受取で520円である。
土地の記載方法
所在・地番・地目・地積の4項目を登記事項証明書から転記する。「港区白金一丁目234番5」のように、登記簿上の表記に従う。
建物(戸建て)の記載方法
所在・家屋番号・種類・構造・床面積(各階)を記載する。延床面積が複数階にわたる場合は、各階の面積を個別に記載する。
区分所有マンションの記載方法
一棟の建物の表示、専有部分の表示、敷地権の目的土地、敷地権の割合の4項目が必要である。南青山や元麻布の高額物件では、敷地権の割合の記載漏れが後日の登記手続きで問題になるケースがある。
自筆証書遺言の形式要件と文例
2019年1月13日施行の民法第968条改正により、財産目録のみパソコン作成と登記事項証明書のコピー添付が認められる。ただし財産目録の各ページに署名と押印が必須であり、この要件を欠くと目録全体が無効となる。本文は依然として全文自書が必要である。
日付は「2026年4月25日」のように年月日を具体的に特定できる形式で記載する。「2026年春」のような曖昧な表記は無効と判断されるリスクがある。
区分所有マンションを特定の相続人に承継させる場合の記載例を示す。
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遺言書
遺言者○○○○は、次の通り遺言する。
第1条 遺言者は、下記不動産を長男○○○○(生年月日:○○年○月○日)に相続させる。
記
【一棟の建物の表示】
所在 港区白金一丁目234番地5
建物の名称 ○○○○タワーレジデンス
【専有部分の建物の表示】
家屋番号 白金一丁目234番5の1001
建物の名称 1001号
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 100階部分 125.30平方メートル
【敷地権の目的たる土地の表示】
所在及び地番 港区白金一丁目234番5
地目 宅地
地積 1,200.00平方メートル
【敷地権の割合】
所有権 1000分の25
2026年4月25日
東京都港区白金一丁目2番3号
遺言者 ○○○○ 印
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高額不動産保有者が直面する実務上の注意点
複数の不動産を保有する場合、特に注意すべき点が4つある。
共有名義の回避。 「持分2分の1ずつ相続させる」という記載は、売却・建替え・担保設定のすべてに共有者全員の同意が必要となる。二次相続で共有者が増殖すると、意思決定が事実上不可能になるケースがある。 収益不動産の管理承継設計。 賃貸マンションや駐車場を相続する場合、承継直後から家賃収入の受取と修繕対応が発生する。遺言書に遺言執行者を指定し、管理会社への通知手順まで明記しておくことが実務上有効である。 遺言執行者の指定。 司法書士または弁護士を遺言執行者に指定することで、金融機関での手続きにおいて相続人全員の実印・印鑑証明書の提出を省略できるケースがある。複数の金融機関に口座を持つ資産家には特に有効な設計である。司法書士は相続登記の申請代理も担うため、遺言執行者と登記手続きの担当者を一本化することで、期限管理のリスクが下がる。 遺留分への配慮。 民法第1042条に基づき、配偶者・子の遺留分は法定相続分の2分の1である。この水準を下回る遺言は、民法第1046条に基づく遺留分侵害額請求の対象となる。不動産の遺留分計算:2026年時点の評価基準と富裕層が直面する実務課題では、不動産評価額の算定方法と請求リスクの具体的な検討方法を扱っている。相続登記義務化と遺言書の連携設計
遺言書に不動産の記載が不正確であれば、相続人が3年の期限内に登記を完了できないリスクがある。公正証書遺言を作成する際、公証人は内容の法的妥当性を確認するが、登記事項証明書との照合は依頼者側の責任で行う必要がある。遺言書作成の段階で最新の登記事項証明書を取得し、記載内容と一致させることが、後の相続登記手続きを円滑にする最も確実な方法である。
法務局保管制度を利用する場合、原本は死亡後50年、画像データは死亡後150年保管される。2023年10月からは死亡時通知の指定者を最大3名まで登録できるよう拡充されており、遺言書の存在を確実に相続人へ伝える仕組みとして活用できる。
遺言書の作成は、不動産の承継設計と相続税対策を一体として検討する作業である。港区や渋谷区の高額不動産を保有する資産家にとって、遺言書の書き方の精度が家族の資産保全に直結する。司法書士への相談は、登記事項証明書の取得と並行して早期に着手することを勧める。
Koukyuu は北青山・西麻布・白金台をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談はこちらから。
