
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
2026年公示地価、麻布十番は坪単価1,173万円に到達
2026年(令和8年)の国土交通省地価公示で、麻布十番駅圏の公示地価平均は355万円/㎡(坪単価1,173万円)を記録した。前年比+16.75%の上昇率は、港区内の主要エリアと比較しても赤坂(+17.08%)と並ぶ水準であり、六本木(+14.85%)や広尾(+15.36%)を上回る。
最高値地点は港区麻布十番2丁目20番7号で、地価は522万円/㎡(坪単価1,725万円)。前年の439万円/㎡から+18.91%上昇し、5年前(2021年)の345万円/㎡と比べると51%の上昇幅となる。この地点は都道に面した幅員40mの幹線沿いで、容積率600%・防火地域の指定を受けた商業地だが、その地価動向は周辺住宅地の相場形成にも直接影響を与えている。
住宅地に目を向けると、港区南麻布1丁目5番11号(駅から約350m)の公示地価は476万円/㎡(坪単価1,573万円)で前年比+16.95%。元麻布3丁目6番2号は276万円/㎡(坪単価912万円)で同+16.95%となっており、駅距離や用途地域の違いを超えてエリア全体が均一に上昇している構図が読み取れる。
5年連続上昇の構造的背景
麻布十番の地価は2021年(令和3年)に239万円/㎡でいったん底を打った後、2022年+1.47%、2023年+3.41%、2024年+7.26%、2025年+12.78%と加速度的に上昇率を高め、2026年に+16.75%へ達した。上昇率の加速は2024年以降に顕著であり、単純な需要増だけでは説明がつかない。
この背景には三つの要因が重なっている。第一に、円安環境が続いた2023年から2024年にかけて海外資本が東京の一等地に集中した流れが、2025年以降も港区南部エリアへの資金流入として継続している点。第二に、麻布台ヒルズが2025年10月に全街区開業し、レジデンス棟の引き渡しが進んだことで、麻布台ヒルズ周辺を含む港区南部全体の居住地としての格付けが上昇した点。第三に、パークコート麻布十番東京(ザ タワー、ノース・サウス2棟構成、総戸数1,342戸)が2026年5月に販売開始予定であり、この大規模供給が周辺の期待値を押し上げている点である。
バブル期との比較も現状把握に有効だ。1991年(平成3年)ピーク時の麻布十番圏公示地価平均は約764万円/㎡であり、2026年現在の355万円/㎡はそのピーク比で約46%の水準にとどまる。上昇率はバブル期以来最速クラスに入るが、絶対値としてはまだ相当の距離がある。この事実は、現在の上昇をバブルと同一視することへの慎重さを促す一方、長期保有の視点では上値余地の議論を可能にする。
パークコート麻布十番東京が変える街区の構造
麻布十番駅から徒歩2分の立地に建設中のパークコート麻布十番東京は、地上42階建て(高さ164.37m)のタワー棟と31階建てのノース棟で構成される港区最大級の複合レジデンスだ。2026年1月時点で建設工事が進行中であり、2026年5月の販売開始に向けて周辺の不動産市場は既に反応を示している。
三田ガーデンヒルズ(2023年竣工、総戸数1,002戸)が港区の大規模高級レジデンスとして一つの基準を作ったのと同様に、パークコート麻布十番東京は麻布十番エリアの住宅地としての密度と格式を再定義しつつある。駅徒歩2分・1,342戸という規模は、周辺の中小規模マンションへの間接的な価格下支えとして機能する可能性が高い。大規模物件の竣工後に周辺相場が調整した過去の事例と、逆に底上げされた事例の両方が存在するため、この物件の実際の販売価格と成約状況は2026年後半以降の重要な指標となる。
港区基本計画(令和6年度から令和8年度の3か年計画)においても麻布地区は重点整備エリアとして位置づけられており、インフラ整備と街区再編が並行して進んでいる。2026年4月現在、建設工事のため一部道路が封鎖中であることは現地確認済みだが、工事完了後の街並みの変化は地価にさらなる上昇圧力をかけると見られる。
相続税評価額と実勢価格の乖離をどう読むか
資産保全の観点から麻布十番エリアを検討するとき、路線価と公示地価の関係は見落とせない。国税庁の路線価は公示地価の概ね80%を目安として設定されており、2026年公示地価355万円/㎡を基準にすると、相続税評価額の目安は約284万円/㎡となる。
実勢価格と相続税評価額の乖離率は、エリアによって異なる。麻布十番のように実勢価格が公示地価を上回る局面では、路線価ベースの評価額との差がさらに広がる傾向がある。この乖離は、現金保有から不動産保有への資産組み換えを検討する経営者や資産家にとって、相続税対策上の有効な論点となる。
小規模宅地等の特例(特定居住用宅地、国税庁タックスアンサーNo.4124)の適用により、330㎡までの居住用宅地は相続税評価額が80%減額される。麻布十番エリアで路線価換算284万円/㎡の土地100㎡を保有する場合、この特例適用後の評価額は約5,680万円となる計算だ。実勢価格との乖離を前提にした資産設計は、物件取得段階から税理士・宅建士と連携して組み立てる必要がある。
東京高級マンション相場2026年の詳細な実勢価格データも、エリア横断的な比較検討に役立てていただきたい。近隣エリアとの比較から見る麻布十番の立ち位置
2026年公示地価の近隣比較では、麻布十番(355万円/㎡)は六本木(434万円/㎡)・赤坂(536万円/㎡)より地価水準は低く、広尾(310万円/㎡)・白金台(305万円/㎡)より高い位置に立つ。港区内の序列としては中間帯に位置するが、上昇率(+16.75%)は六本木(+14.85%)・広尾(+15.36%)・白金台(+15.57%)をいずれも上回っており、相対的な価格上昇の勢いは近隣エリアを凌いでいる。
溜池山王(+14.77%)や虎ノ門(+4.07%)と比べると、麻布十番の上昇率の高さはより鮮明だ。虎ノ門は公示地価平均1,280万円/㎡と絶対値では圧倒的だが、上昇率は+4.07%にとどまっており、成熟した商業地としての値動きの鈍さが現れている。麻布十番は住宅地・商業地が混在するエリアとして、両方の需要を取り込みながら上昇を続けている構造を持つ。
居住地としての選択基準で見ると、麻布十番は都営大江戸線と東京メトロ南北線の2路線が利用可能で、六本木・広尾・白金台のいずれにも15分以内でアクセスできる。エリア内の人口は2026年1月1日時点で4,553人(港区麻布十番駅周辺)であり、0から14歳の割合が港区全体より若干高い。子育て世代の経営者・医師層が一定数居住を選択していることが、この人口構成から読み取れる。
2026年以降の地価展望と購入判断の視点
2026年後半から2027年にかけての麻布十番エリアの地価動向を左右する変数は、大きく三つある。パークコート麻布十番東京の実際の成約価格と消化率、日銀の金融政策の方向性、そして海外資本の東京不動産への継続的な流入規模だ。
現時点(2026年4月)で確認できる事実として、麻布十番2丁目の最高値地点は5年間で51%上昇した。バブルピーク比では依然として46%水準であり、絶対値としての上値余地は数字の上では存在する。ただし、上昇率の加速(2024年+7.26%→2025年+12.78%→2026年+16.75%)は、いずれかの時点での調整リスクを内包している。
長期保有を前提とした資産形成の文脈では、麻布十番エリアの物件は引き続き有力な選択肢となる。エリアの再開発が完成フェーズに近づくにつれ、現在の「建設中・整備中」という割引要因が消滅し、完成後の街区評価が地価に織り込まれていく過程は、2027年から2028年にかけて明確になるだろう。取得タイミングの判断は、物件個別の条件と保有目的に応じて精緻に設計する必要がある。
Koukyuu は港区・南青山・西麻布をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)はこちらから。
