
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
2026年4月、市場が示す三つの数字
2026年1月、10年国債利回りが2.3%を突破した。27年ぶりの水準である。同じ時期、国土交通省の新設住宅着工統計は2024年の建築物着工床面積が1.03億平方メートルと、59年ぶりの低水準を記録したことを示した。そして東日本不動産流通機構のデータによれば、都心3区の中古マンション価格は2026年3月時点で1億3,829万円に達している。この三つの数字が、2026年の不動産相場予測を読み解く座標軸になる。
金利は上昇し、供給は絞られ、都心の既存物件価格は高止まりする。単純化すれば構造はそうなるが、実態はもう少し複雑だ。セグメントごと、エリアごとに価格の動きは異なる。資産として不動産を保有・取得しようとするなら、その差異を正確に把握することが出発点になる。
金利環境の変化が相場に与える実際の影響
日本銀行が2024年以降に段階的な金融緩和修正を進めた結果、2026年4月時点の変動住宅ローン金利は1.0〜1.5%水準、固定金利は1.8〜2.5%水準にある。ゼロ金利時代と比較すれば明確な上昇だが、欧米の水準と比べれば依然として低い。
問題は、長期金利の上昇が不動産投資の期待利回りに与える圧力だ。10年国債が2.3%を超えた局面では、キャップレートとの差であるスプレッドが圧縮される。特に利回り3%台前半で取引されてきた都心一等地の収益物件は、価格調整の余地が生じやすい。
ただし、住宅用途の実需物件は収益物件と異なる論理で動く。港区や渋谷区の高額住宅を取得する層の多くは、フルローンに依存しない資金構成を持つ。金利上昇が購買力を直接削ぐ効果は、一般市場ほど大きくない。国土交通省の不動産価格指数(住宅)でも、全国マンション(区分所有)は2025年第3四半期時点で222.2と高水準を維持しており、都心マンション市場の価格が金利上昇だけで急落に転じる根拠は現時点で乏しい。
一方、首都圏新築マンションの初月契約率が2026年初頭時点で60%台前半と、好不調の目安とされる70%を下回っていることは注視が必要だ。完成在庫の増加も確認されており、新築高額物件の一部では売れ行きの鈍化が始まっている。
供給制約が都心既存物件の需給を引き締める構造
新設住宅着工が59年ぶりの低水準に落ち込んだ背景には、建築費高騰と人手不足がある。一部の資材にはピークアウトの兆しが見られるものの、労務費の上昇は2026年以降も継続する見通しだ。デベロッパーは採算の合わない事業を絞り込んでおり、都心での新規供給はさらに限定される。
この供給制約が既存物件の需給を引き締める効果は、東京高級マンションの2026年相場を見ると明確に読み取れる。新築の代替として中古高額物件への需要が集中するため、築年数が浅く管理水準の高い物件は価格の下方硬直性が強い。麻布台ヒルズや六本木ヒルズ周辺の高仕様レジデンスは、2025年から2026年にかけて成約価格の大きな変動が見られない。
全日本不動産協会の2026年3月号の市況分析でも、「市場の過熱ではなく実需に裏打ちされた価格上昇が継続している」との見方が示されている。建築費高騰による新規供給の絞り込みが、既存物件の需給を構造的に支えているという認識は、業界内でほぼ共有されている。賃料市場も同様の傾向を示す。日本不動産研究所の「全国賃料統計」(2025年9月末時点)によれば、調査対象158都市中84都市で共同住宅賃料が上昇した。東京23区の住宅賃料は前年比約10%の上昇となっており、入居者の入れ替え時や更新時に賃料引き上げが成立するケースが増えている。インフレヘッジとしての賃貸住宅の機能は、現時点では有効に働いている。
エリア別の価格動向:二極化の実態
2026年の不動産相場予測で見落とされがちな論点が、エリア間の二極化だ。全国一律の「上昇」でも「下落」でもなく、需要の強弱によって価格の方向性が分岐している。
東京都の住宅総合指数は2025年第3四半期に前期比マイナス2.5%を記録した。住宅地はマイナス8.1%、戸建はマイナス2.4%と下押し圧力が見られる一方、マンションは横ばいを維持している。この差は、エリアと物件タイプによって相場の動きが大きく異なることを示す。
港区・渋谷区・千代田区の超高額レジデンスは、国内外の富裕層需要に支えられ価格の下方硬直性が強い。南青山・西麻布・白金台・元麻布のような住宅地は、住環境の希少性と供給の少なさから成約価格が安定している。一方、都心から距離のある郊外エリアは、人口減少と需要低下が重なり横ばいから下落傾向が続く。
首都圏中古マンション全体では、売り出し価格から平均3〜5%の値引き成約ケースが2026年3月時点で増加している。これは市場全体の需給緩和を示すシグナルだが、港区・渋谷区の上位物件では値引きなし成約も引き続き多い。価格帯と立地によって、まったく異なる市場が並存している。
大阪府の住宅総合指数は2025年第3四半期に前期比プラス2.5%と堅調だが、東京都心の格式ある住宅地との比較では依然として価格水準に大きな差がある。
資産保全の観点から見た2026年の購入判断
相続対策・資産保全・インフレヘッジという三つの目的で不動産取得を検討する富裕層にとって、2026年の市場環境は以下の論点を提示する。
第一に、インフレ局面における実物資産としての機能だ。名目雇用者報酬が着実に増加し(内閣府「国民経済計算」2025年7〜9月期2次速報)、賃料も上昇している局面では、適切な立地の不動産は購買力の維持に寄与する。不動産インフレヘッジの実態と2026年東京都心の資産論理は、この点を詳しく論じている。
第二に、相続税評価との乖離の問題だ。都心高額マンションの相続税評価額と市場価格の乖離については、国税庁が2023年以降に評価方法の見直しを進めており、タワーマンションを中心に評価額の引き上げが行われている。取得前に現行の評価基準を確認することは不可欠だ。
第三に、流動性の確保だ。3億円以上の物件は市場参加者が限定されるため、売却時の流動性は一般市場より低い。ただし、港区・渋谷区・千代田区の希少性の高い物件は、海外富裕層の需要も一定程度存在し、国内市場が軟化した局面でも成約事例が継続している。国土交通省の調査(2018〜2024年)では、東京区部における購入後1年以内の短期売買の割合は高い時期でも約2割にとどまり、投機的売買が市場を席巻している状況ではないことが確認されている。
リスク要因として明確にしておくべきは、長期金利のさらなる上昇と建設コスト高による企業設備投資意欲への波及、そして非正規雇用者数の減少傾向(総務省「労働力調査」)が消費に与える影響だ。これらが重なれば、実需を支えてきた雇用・所得環境に変化が生じる可能性がある。
Koukyuu では、南青山・北青山・元麻布・白金台をはじめとする都心の格式ある住宅地において、3億円以上の物件取得を検討するクライアントに対し、条件整理から候補選定まで非公開の形で対応している。
2026年後半に向けた相場の方向性
2026年後半の不動産相場予測において、市場関係者の間でほぼ共通する見方は、急落でも急騰でもなく、エリアと物件タイプによって方向性が分岐する「静かな二極化」の継続だ。
供給制約は短期間で解消しない。建築費と労務費の水準が下がらない限り、都心での新規供給は限定的なままだ。2025年1〜11月の新設住宅着工累計は67.9万戸と前年同期比マイナス7.0%であり、2025年通年では1963年以来初めて1億平方メートルを下回る可能性がある。この供給不足は、既存物件の価格を下支えする構造的な要因として機能し続ける。
一方、長期金利が2.5%に向けてさらに上昇するシナリオでは、収益物件の価格調整圧力が強まる。住宅ローン利用者の返済負担も増し、一般市場の需要が抑制される可能性がある。都心超高額住宅への影響は限定的でも、価格帯が5,000万〜1億円前後の物件では成約価格の軟化が顕在化しやすい。
賃料上昇が継続する限り、インカムゲインを目的とした保有は引き続き合理性を持つ。ただし、取得価格が高水準にある現状では、利回りの確保が難しい物件も多い。取得価格・賃料水準・金利コスト・将来の流動性を組み合わせた精緻な試算が、2026年の資産判断には不可欠だ。
Koukyuu は港区・渋谷区・千代田区・表参道・青山をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)は随時承っております。
