
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
2026年4月の政策金利と住宅ローン市場の現状
日本銀行は2026年3月に政策金利を0.75%へ引き上げた。これにより変動金利型住宅ローンの基準金利は主要都市銀行で1.15%から1.35%の範囲に上昇している。三菱UFJ銀行の変動金利は2026年4月時点で1.275%、みずほ銀行は1.325%を提示する。固定期間選択型では10年固定が2.1%から2.4%、フラット35の最頻金利は2.05%で推移する。
港区の新築マンション平均価格は2026年3月時点で1億8,240万円に達した。渋谷区では1億6,890万円、千代田区では2億1,120万円である。これらの水準は2024年比で約12%の上昇を示す。都心3区における3億円以上の取引件数は2025年度通年で1,847件を記録し、前年度比8.3%増となった。
富裕層の購入行動に変化が見られる。全額現金で決済する割合は2024年の68%から2026年3月時点で61%へ低下した。金利上昇局面でも融資を部分的に活用し、手元資金を分散投資や事業資金に振り向ける判断が増えている。
富裕層が住宅ローンを選択する理由
資産1億円以上の購入者が融資を利用する動機は明確である。第一に、レバレッジ効果の活用だ。自己資金を不動産に全額投じる代わりに、年利1.3%の融資を受けて残余資金を利回り3%から5%の金融商品や事業投資に配分すれば、差額が純益となる。実際、2026年4月時点で東証プライム上場企業の平均配当利回りは2.8%、米国債10年物は4.1%で推移する。
第二に、相続税対策としての機能である。居住用不動産は相続税評価額が時価の7割から8割に圧縮される。さらに住宅ローン残債は債務として相続財産から控除できる。例えば5億円の物件を3億円の融資と2億円の自己資金で購入した場合、相続税評価額は約3.5億円、債務控除後の課税対象は5,000万円程度まで圧縮される。
第三に、流動性の確保だ。手元に現金を残すことで、急な事業機会や市場変動に対応できる。2026年1月に実施された経営者向け調査では、回答者の74%が「手元流動性を3カ月分以上確保している」と答えた。住宅購入で全額を支出すれば、この余裕は失われる。
白金高級住宅街の2026年相場と邸宅物件の選び方で示した通り、白金台の戸建て取引では融資併用が2024年比で17ポイント増加している。3億円以上の物件購入における融資条件の実態
都市銀行とプライベートバンクでは、3億円を超える融資に対して異なる審査基準を適用する。年収倍率は一般に7倍から10倍が上限とされるが、金融資産の残高と収入の安定性が重視される。三井住友信託銀行のプライベートバンキング部門では、融資額3億円に対して年収4,000万円以上かつ金融資産1億5,000万円以上を目安とする。
担保評価は物件の立地と築年数で大きく変動する。麻布・広尾・白金台の築浅物件では時価の80%から85%が融資上限となる一方、郊外や築古物件では60%程度まで低下する。2026年4月時点で、Brillia一番町 ブリリア一番町 4億7990万円(3LDK)のような千代田区番町エリアの新築物件は、評価額の85%まで融資可能とする金融機関が複数存在する。
返済期間は年齢と物件タイプで決まる。完済時年齢の上限は多くの銀行で80歳、一部で85歳まで延長可能である。50歳の購入者であれば最長30年の返済期間を設定できる。ただし、収益物件として賃貸運用を前提とする場合、返済期間は20年から25年に短縮される傾向がある。
金利優遇幅は取引実績と属性で変わる。メガバンクの変動金利基準が1.275%でも、優遇後の適用金利は0.475%から0.675%に下がる例が多い。プライベートバンク顧客や上場企業役員には、さらに0.1%から0.2%の上乗せ優遇が提示されることもある。
現金購入と融資併用の損益分岐点
5億円の物件を全額現金で購入する場合と、3億円を融資で調達する場合を比較する。融資条件は変動金利0.6%、返済期間30年、元利均等返済とする。月々の返済額は約90万円、総返済額は3億2,400万円となる。
一方、手元に残した3億円を年利3%で運用できれば、30年間の運用益は複利計算で約4億2,800万円に達する。融資の利息負担2,400万円を差し引いても、4億400万円の純益が残る計算だ。実際には税金と運用コストが発生するが、それでも全額現金購入を大きく上回る。
2026年4月時点での米国債10年物利回りは4.1%、日本国債10年物は1.2%である。為替リスクを許容すれば、より高い利回りを狙える。また、自社株や投資用不動産への再投資も選択肢となる。東京都心の賃貸マンション利回りは表面で3.5%から4.2%、築浅で駅近の物件でも3.8%程度を確保できる。
損益分岐点は運用利回りと融資金利の差で決まる。融資金利が1.3%、運用利回りが2.5%であれば、差は1.2%となる。3億円に対して年360万円、30年で1億800万円の利益が生まれる。逆に運用利回りが1.3%を下回れば、融資を利用する意味は失われる。
現金購入が有利となるのは、運用先が見当たらない場合か、金利上昇リスクを完全に排除したい場合に限られる。日本経済新聞の2026年1月の記事では、都心の富裕層購入者の39%が「融資を利用しても手元資金を残す」方針を採ったと報じられている。
金利上昇局面での変動・固定金利の選択
2026年4月の金利環境では、変動金利と固定金利のどちらを選ぶかが重要な判断となる。変動金利の優遇後適用金利は0.5%から0.7%、10年固定は1.8%から2.2%、フラット35は2.05%で推移する。
変動金利を選ぶ利点は当初の返済額の低さである。3億円を変動0.6%、30年返済で借りた場合、月々の返済額は約90万円となる。同条件で10年固定2.0%を選べば約110万円、フラット35の2.05%では約111万円に上昇する。年間で約240万円、10年間で2,400万円の差が生じる。
一方、変動金利には金利上昇リスクが伴う。日銀が今後2年間で政策金利を1.5%まで引き上げた場合、優遇後の適用金利は1.2%から1.4%へ上昇する可能性がある。月々の返済額は約105万円となり、当初より15万円増える。ただし、富裕層の場合は繰上返済や借換えで対応できる余力があるため、リスクは相対的に小さい。
固定金利を選ぶ理由は、返済計画の確実性である。10年固定であれば、少なくとも10年間は返済額が変わらない。事業収支や家計の見通しを立てやすく、金利変動に神経を使う必要もない。ただし、金利が低位安定すれば、変動金利との差額が無駄なコストとなる。
2026年4月時点での日銀の金融政策見通しでは、政策金利は2027年末までに1.25%程度まで段階的に引き上げられる想定が示されている。この前提であれば、変動金利の優遇後適用金利は2027年末に1.0%前後となる。10年固定2.0%との差は依然として1.0%残る計算だ。
実務では、融資額の半分を変動、半分を固定とする「ミックスローン」を選ぶ購入者も増えている。3億円のうち1.5億円を変動0.6%、1.5億円を10年固定2.0%で借りれば、平均金利は1.3%となる。金利上昇リスクを抑えつつ、当初の返済負担も軽減できる。
港区・渋谷区・千代田区の実例と購入判断
港区麻布台ヒルズ周辺では、2026年3月に竣工した新築タワーマンションの最上階住戸が8億2,000万円で成約した。購入者は医療法人の理事長で、融資額は3億5,000万円、自己資金4億7,000万円の内訳である。変動金利0.55%、返済期間25年の条件で、月々の返済額は約132万円となった。手元に残した資金は事業拡大と金融資産への分散投資に充てられた。
渋谷区松濤では、築5年の低層マンション3LDKが4億9,000万円で取引された。購入者は外資系金融機関の役員で、全額現金での決済を選択した。理由は「為替リスクを取りたくない」「融資審査の手間を省きたい」という2点である。手元資金は十分にあり、運用先も確保していたが、居住用不動産には確実性を優先した。
千代田区番町では、ヴェラハイツ広尾 3億6380万円(3LDK)に類する築浅物件が3億8,500万円で成約した。購入者はIT企業の創業者で、融資額2億5,000万円、自己資金1億3,500万円の構成である。10年固定1.95%を選び、月々の返済額は約93万円とした。固定期間中に株式上場を予定しており、その時点で全額繰上返済する計画である。
これらの事例に共通するのは、融資の有無が資産総額や信用力で決まるのではなく、資金配分の戦略で決まる点である。全額現金で購入できる層でも、融資を活用して手元資金を温存する判断が増えている。逆に、融資可能な条件を満たしていても、確実性や簡便性を重視して現金購入を選ぶ層も一定数存在する。
購入判断で重視されるのは、物件の資産価値と立地の持続性である。港区・渋谷区・千代田区の格式ある住宅地では、築年数が経過しても価格の下落幅が限定的である。2026年4月時点で、麻布・広尾・白金台の築10年マンションは新築時価格の85%から95%を維持している。これに対し、郊外や駅距離の遠い物件では70%程度まで下落する例が多い。
富裕層の住宅ローン活用における実務上の注意点
融資を利用する場合、事前審査と本審査の2段階を経る必要がある。事前審査は通常3営業日から1週間、本審査は2週間から3週間を要する。購入申込から決済までの期間が短い場合、融資承認が間に合わず契約が流れるリスクがある。特に人気物件では、現金購入者が優先される傾向が強い。
必要書類は、確定申告書3期分、源泉徴収票、金融資産の残高証明書、会社の決算書(経営者の場合)、不動産の登記簿謄本(既存保有物件がある場合)などである。プライベートバンク顧客であれば、一部書類の簡略化が認められることもある。
団体信用生命保険の加入が融資条件となる場合が多い。健康状態に問題があれば、保険加入が認められず融資も不可となる。ただし、ワイド団信や引受基準緩和型の保険を利用すれば、一部の疾患でも加入できる。保険料は通常の団信より0.2%から0.3%高くなる。
繰上返済手数料の有無も確認が必要である。変動金利型では手数料無料とする銀行が多いが、固定期間選択型では固定期間中の繰上返済に対して2%から3%の手数料を課す場合がある。3億円の融資に対して3%の手数料は900万円となり、無視できない金額である。
融資実行後の資金使途は居住用不動産の購入に限定される。投資用不動産や事業資金への流用は契約違反となり、一括返済を求められる可能性がある。ただし、購入後に賃貸へ転用することは、金融機関への届出を条件に認められる場合が多い。
Koukyuuは麻布・広尾・白金台をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談)より承ります。
