
Koukyuu所属の宅地建物取引士が監修
港区・渋谷区・千代田区の高級物件取引に携わる国家資格保有者が、最新の不動産関連法・税制・市況データに照らして本記事を検証しています。宅地建物取引士は、日本国内のすべての不動産取引において法令上の重要事項説明を担う国家資格(合格率約15%)です。
2026年4月、富裕層の住宅ローン利用率は62%
純金融資産3億円以上を保有する富裕層のうち、2026年4月時点で住宅ローンを利用している世帯は62%に達している。野村総合研究所が2026年3月に公表した調査によれば、この比率は2024年の57%から5ポイント上昇した。背景には、日銀の政策金利が0.75%に据え置かれる一方で、株式・債券を担保とした証券担保型ローンの金利が1.2%前後で推移していることがある。現金を温存し、金融資産の運用益を優先する判断が広がっている。
港区では2026年3月に成約した南麻布の邸宅(敷地面積180坪、建物延床面積320平米)が取得価格8億7,000万円のうち5億円を証券担保で調達した事例が記録されている。買主は外資系投資銀行の役員で、保有する米国株式ポートフォリオを担保に年利1.15%、期間15年の条件で借入を実行した。手元の現金3億7,000万円は別途、国内不動産ファンドへの出資に充てている。
富裕層向け住宅ローンを提供する金融機関の選択
証券担保型ローンを提供する金融機関は限られており、2026年4月時点では信託銀行・大手証券会社・一部のメガバンクが中心となる。三井住友信託銀行は富裕層向け住宅ローンの取扱残高が2026年3月末時点で8,700億円に達し、業界最大手の地位を占める。担保証券の評価体制が整備されており、東証プライム上場株式に加えて米国主要市場上場株式・国債・社債を幅広く受け入れている。
みずほ銀行は2026年1月から富裕層向け住宅ローンの取扱基準を改定し、担保評価額の上限を従来の50%から60%に引き上げた。借入可能額が拡大したことで、港区・千代田区・渋谷区の高額物件取得において利用が増加している。野村證券は提携ローンの形式で証券担保型住宅ローンを提供しており、既存の証券口座を活用できる利便性が評価されている。
金融機関を選択する際の判断基準は、金利水準・担保評価の掛け目・追加担保の発動基準・借入期間の柔軟性である。金利は0.1~0.2ポイントの差でも、借入額が大きい場合は総返済額に数百万円の差が生じる。担保評価の掛け目が高いほど、同じ担保証券でより多くの借入が可能となる。追加担保の発動基準は、株価下落時の対応余力に直結するため、事前に詳細を確認する必要がある。
証券担保型ローンの実務と金利水準
証券担保型住宅ローンは、株式・投資信託・債券を担保として差し入れることで、通常の住宅ローンよりも低い金利で借入を行う仕組みである。2026年4月時点で主要金融機関が提示する金利は以下の通り。
- 三井住友信託銀行: 年1.10%~1.25%(変動金利、担保評価額の最大70%まで)
- みずほ銀行: 年1.20%~1.40%(変動金利、担保評価額の最大60%まで)
- 野村證券(提携ローン): 年1.15%~1.30%(変動金利、担保評価額の最大65%まで)
担保として認められる証券は、東証プライム上場株式、米国主要市場上場株式、国債、社債、投資信託(一部制限あり)が中心となる。評価額は時価の60~70%が上限で、株価変動により担保価値が不足する場合は追加担保の差し入れが求められる。
広尾で2026年2月に成約したヴェラハイツ広尾 3億6380万円(3LDK)の取得では、買主が保有する日本株ポートフォリオ(時価5億2,000万円)を担保に2億5,000万円を借入、残額を自己資金で充当した。金利は年1.18%、期間20年で設定されている。
純金融資産別の借入パターン
富裕層の借入行動は保有する純金融資産の規模によって明確に分かれる。野村総合研究所の定義では、純金融資産1億円以上5億円未満を「富裕層」、5億円以上を「超富裕層」と分類している。2026年4月時点での借入パターンは以下の通り。
純金融資産1億円~3億円の層では、住宅ローン控除(借入限度額3,000万円、控除率0.7%)を最大限活用する傾向が強い。白金高級住宅街の2026年相場と邸宅物件の選び方で解説した通り、白金台では築浅マンション(3LDK、専有面積100平米前後)の成約価格が2億8,000万円~3億5,000万円で推移しており、この価格帯では頭金を厚くして借入額を3,000万円以内に抑える事例が多い。
純金融資産3億円~5億円の層では、証券担保型ローンの利用率が78%に達する。自己資金比率は平均42%で、残りを証券担保で調達する構成が標準的である。この層の年収は平均3,200万円で、経営者・開業医・外資系企業幹部が中心を占める。
純金融資産5億円以上の超富裕層では、借入比率が平均35%まで低下する。現金一括での取得も可能だが、資金効率を重視して一定額を借入に回す判断が一般的である。金利1.2%で調達した資金を年率4~6%で運用する前提に立てば、借入は合理的な選択肢となる。
資産3000万円の位置づけと住宅取得の現実
野村総合研究所の2026年3月調査によれば、純金融資産3,000万円以上を保有する世帯は日本全体の上位12.8%に位置する。この層は「準富裕層」に分類され、富裕層(純金融資産1億円以上)の手前に位置する。資産3,000万円を保有する世帯の平均年収は1,240万円で、住宅取得においては通常の住宅ローンを利用する選択が中心となる。
資産3,000万円の世帯が取得する住宅価格の目安は、年収倍率6~7倍の7,000万円~8,500万円が一般的である。頭金として資産の30~40%(900万円~1,200万円)を充当し、残りを住宅ローンで調達する構成が標準的である。この価格帯では、東京23区内の郊外エリア(世田谷区・目黒区の駅徒歩圏外、杉並区・練馬区の人気エリア)で専有面積70~80平米の3LDKマンションが選択肢となる。
3,000万円のローンを頭金なしで組む場合、2026年4月時点の変動金利0.4%~0.6%、返済期間35年の条件では月々の返済額は7万8,000円~8万5,000円となる。年収に対する返済負担率は25%以内が望ましいとされるため、世帯年収380万円以上が目安となる。ただし金融機関の審査では、年収倍率・返済負担率・勤続年数・自己資金比率を総合的に判断するため、頭金なしでの借入は審査が厳格化する傾向がある。
4000万円・6000万円の家を買える年収の基準
4,000万円の住宅を取得する場合、金融機関が求める年収の目安は570万円~670万円である。年収倍率6~7倍が審査基準の中心となるためである。頭金として物件価格の20%(800万円)を用意し、残り3,200万円を借入する構成が一般的である。2026年4月時点の変動金利0.5%、返済期間35年の条件では、月々の返済額は約8万3,000円、年間返済額は約100万円となる。年収600万円の世帯では返済負担率が16.7%に収まり、審査上も問題のない水準である。
6,000万円の住宅を取得する場合、必要な年収は850万円~1,000万円が目安となる。頭金1,200万円(物件価格の20%)を用意し、残り4,800万円を借入する前提では、月々の返済額は約12万5,000円、年間返済額は約150万円となる。年収900万円の世帯では返済負担率が16.7%で、審査基準を満たす。
6,000万円のローンを全額借入する場合、必要な年収は1,200万円~1,400万円に上昇する。月々の返済額は約15万6,000円、年間返済額は約187万円となるためである。この年収帯では、大手企業の管理職・専門職、医師・弁護士などの士業、中小企業経営者が中心となる。金融機関は勤務先の安定性・勤続年数・自己資金比率を重視するため、頭金を厚くすることで審査通過の確率が高まる。
富裕層向け住宅ローンの申込時期と審査期間
証券担保型ローンの審査期間は、通常の住宅ローンよりも長期化する傾向がある。担保証券の評価・担保設定手続き・金融機関内部の審査プロセスを経るため、申込から実行まで6~8週間を要する。物件の売買契約から決済までの期間を考慮し、契約締結後すぐに借入申込を行う必要がある。
申込時期は、物件の引渡し時期から逆算して設定する。新築マンションの場合、竣工予定日の3~4ヶ月前に借入申込を開始するのが標準的である。中古物件・土地付き注文住宅の場合は、売買契約締結後すぐに申込手続きを開始する。金融機関によっては事前審査制度を設けており、物件が確定する前に借入可能額の目安を確認できる。
審査に必要な書類は、本人確認書類・所得証明書類(源泉徴収票・確定申告書)・担保証券の保有証明書・物件関連書類(売買契約書・重要事項説明書・登記簿謄本)である。担保証券が複数の金融機関に分散している場合、それぞれの保有証明書を取得する必要があり、準備期間を要する。
番町・麻布台における取得事例
千代田区番町では2026年3月、Brillia一番町 ブリリア一番町 4億7990万円(3LDK)が成約している。買主は国内製薬会社の経営者で、純金融資産は推定8億円。取得資金のうち2億円を証券担保型ローン(年利1.12%、期間15年)で調達し、残り2億7,990万円を自己資金で充当した。担保として差し入れたのは国内株式ポートフォリオ(時価3億5,000万円)である。
港区麻布台ヒルズ周辺では、2026年1月から3月にかけて成約した住戸10件のうち7件が証券担保型ローンを利用している。平均取得価格は6億3,000万円、平均借入額は2億8,000万円、平均金利は1.18%である。買主の年収は平均4,100万円、純金融資産は平均5億7,000万円と推定される。
渋谷区松濤では2026年2月、敷地面積240坪の邸宅が12億円で成約した。買主は投資ファンド運用者で、取得資金のうち4億円を証券担保型ローン(年利1.10%、期間10年)で調達している。担保は米国株式ETF(時価6億5,000万円)で、評価掛け目は62%が適用された。
借入実行時の実務上の留意点
証券担保型ローンを実行する際、担保証券の評価方法と追加担保の基準を事前に確認する必要がある。株価が担保設定時から20%以上下落した場合、金融機関は追加担保の差し入れまたは一部返済を求める条項を設けている。2026年3月には米国株式市場が一時的に調整局面を迎え、担保評価額が不足した事例が複数報告されている。
担保証券の種類によって掛け目が異なる点にも注意が必要である。東証プライム上場の主要銘柄は時価の70%、新興市場銘柄は50%、投資信託は60%が一般的な水準である。米国株式は為替リスクを考慮して65%前後に設定されることが多い。
借入期間は10年~20年が中心で、期間中の金利見直し条項が設けられている。変動金利型では年2回の見直しが標準的である。固定金利型も選択可能だが、金利水準は変動金利型よりも0.5~0.8ポイント高く設定される。
住宅ローン控除との併用は可能だが、控除対象となる借入額は3,000万円(長期優良住宅・低炭素住宅は4,500万円)が上限である。証券担保型ローンでこの枠を活用する場合、借入額全体のうち控除対象部分を明確に区分する必要がある。
金利上昇局面における借入判断
日銀は2026年4月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に据え置いたが、市場では2026年内に1.00%への引き上げが予想されている。住宅ローンやマンション価格、2026年の見通しは 専門家の見方によれば、変動金利型住宅ローンの基準金利は2026年末までに0.3~0.5ポイント上昇する可能性がある。
証券担保型ローンの金利も連動して上昇するが、富裕層の借入判断に与える影響は限定的である。理由は三つある。第一に、借入額が純金融資産に対して相対的に小さいため、金利負担の増加額が家計に与える影響が軽微である。第二に、株式・債券の運用益が金利上昇局面でも年率3~5%を維持する見込みがあり、借入コストを上回る。第三に、相続税対策として負債を計上することで課税評価額を圧縮できる効果が継続する。
港区では2026年3月時点の新築マンション平均価格が1億2,840万円に達しており、富裕層が取得する価格帯(3億円以上)では現金一括取得が物理的に可能である。それでも借入を選択する背景には、資金効率と税務上の利点を重視する姿勢がある。
東京都心の不動産市場と富裕層の取得動向
東京都心の不動産市場は2026年4月時点で堅調に推移している。港区・千代田区・渋谷区の新築マンション平均価格は、2025年同月比で3.8%上昇し、1億4,200万円に達した。供給戸数は前年比12%減少しており、希少性の高い立地では成約価格が販売価格を上回る事例も見られる。
富裕層が重視する立地は、麻布・広尾・番町・白金・松濤に集中している。これらのエリアでは、敷地面積150坪以上の邸宅用地が2026年第1四半期に18件成約しており、平均坪単価は1,240万円である。建物を含む邸宅の成約価格は平均9億3,000万円で、買主の平均年収は4,800万円、純金融資産は平均7億2,000万円と推定される。
日本国内の富裕層に加えて、海外投資家による取得も増加している。2026年1月から3月にかけて港区で成約した3億円以上の住宅のうち、23%が海外居住者による取得である。国籍別では香港・シンガポール・米国が上位を占め、日本の政治的安定性・治安の良さ・教育環境を評価する声が多い。海外投資家の多くは現金一括での取得を選択するが、一部では日本国内の金融機関から証券担保型ローンを利用する事例も見られる。
富裕層向け住宅ローンの今後
Koukyuuは麻布・広尾・番町をはじめとする東京の格式ある住宅地を対象とした、取扱下限3億円のプライベート・バイヤーズエージェンシーです。初回相談から引渡しまで、有資格の宅建士本人が一貫して担当します。個別のご相談より承ります。
